近年、サブスクリプションのビジネスモデルは注目されており、ECサイトでもサブスクを取り入れる動きが数多く見られます。
サブスクECは、収益が安定しやすく、顧客との長期的な関係を築きやすいビジネスといえるでしょう。
本記事では、サブスクECサイトの構築のポイントを中心に、サブスクサービスの成功事例もあわせて紹介します。
成功事例から構築のポイントを学び、サブスクECサイトの運営を成功させましょう。
サブスクリプション型ECサイトとは?
サブスク型EC、サブスクリプション型ECサイトとは、定期購入のビジネスモデルを取り入れたECサイト(ネットショップ)のことです。
サブスク型ECは一般的には定期便やサブスクと呼ばれ、単品の買い切りとは異なり一定のサイクルで商品を購入する形で契約がおこなわれます。
また、顧客が選んだ商品を定期購入する定期販売との違いとして、サブスクECには、以下のようにさまざまなタイプがあります。
- 毎回同じ商品を届ける
- ニーズに合わせた商品を届ける
- ショップがセレクトした商品を届ける
とくに、ニーズに合わせた商品や、ショップが選んだ商品を届けるスタイルは、体験型サービスとしても注目されています。
サブスクECのメリット4つ
サブスク型ECサイトのメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
- 顧客と長期的な関係が築ける
- 新規顧客を獲得しやすい
- LTVの向上が期待できる
- 顧客が増えると収益が安定する
1. 顧客と長期的な関係が築ける
サブスク型ECでは、サブスクリプション購入により継続的な契約をすることで、単発購入よりも長期的な関係を築けるのがメリットです。
たとえば、顧客と長期的な関係を築くことにより、以下のような効果が期待できます。
- 顧客のニーズをより深く理解できる
- 顧客をブランドのファンとして教育することができる
このように、サブスク型ECでは、顧客との長期的な契約を通して、相互理解や信頼関係を深めることができます。
2. 新規顧客を獲得しやすい
サブスク型ECは、価格面において新規顧客が獲得しやすいというのもメリットです。
たとえば、サブスクでは継続的な商品の購入を契約する代わりに、初回購入時の割引等がおこなわれています。
これにより、新規顧客が商品を購入しやすいのです。
また、気になっているけれど価格がネックだと感じている顧客にも商品のよさを体験してもらえることが増えるため、新規顧客を獲得しやすいといえます。
3. LTVの向上が期待できる
サブスク型ECでは、LTV=顧客生涯価値の向上が期待できます。
LTVとは、顧客が生涯で企業にもたらす価値のことです。
サブスクで商品を長期的に購入してもらうことで、LTVを高めることができます。
また、継続利用によりユーザーのニーズを深く理解して、サービスの改善等でそれらを満たすことができれば、LTVを効果的に増加させることもできるでしょう。
4. 顧客が増えると収益が安定する
サブスクECサイトのメリットとして、顧客が増えると収益が安定する点が挙げられます。
単発購入型のECサイトの場合、商品にもよるがシーズン等により購入数が増減することもあるでしょう。
一方、サブスクリプションECの場合、長期的に決まった金額で契約する形態のため、顧客が増えればその分収益が安定するというわけですね。
サブスクECのデメリット3つ
サブスクリプションECサービスには多くのメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットも考えられます。
- 契約や解約のハードルが高いと感じるユーザーも
- 長期契約をしてもらう工夫が必要
- 契約者数が少ないと収益が安定しない
1. 契約や解約のハードルが高いと感じるユーザーも
サブスクECは、価格の面では初回購入割引等により新規顧客が入りやすいものの、一方で定期購入という契約に対してハードルを感じるユーザーもいます。
初回は安いけれど、続けなければならないなら買わないという場合や、定期的にほしいわけではない、1回だけ買いたいなど、その理由はさまざまです。
また、サブスクでありがちな「解約できない・しにくい」という思いをしたことがあるユーザーや、そのようなイメージを抱いているユーザーにとっては、サブスクモデルが魅力的ではない場合もあります。
2. 長期契約をしてもらう工夫が必要
サブスクECはそのビジネスモデル上、いかに多くの人に購入してもらうかよりもいかに継続してもらうかに重きをおくことが大切になります。
サブスクリプションサービスは音楽や動画を始め数多く展開されており、不要だと思われたものは固定費の節約のために解約されがちです。
とくに物を提供するECでは、商品が期待やニーズにそぐわないと感じられたり、飽きられてしまうと優先的に解約されてしまい、チャーンレート(解約率)に影響します。
チャーンレートは収益の安定にも影響しますので、できる限り抑制する工夫が重要です。
そのため、長期契約者が得をするような仕組み(長期契約による割引)や、回数を重ねるごとに契約者の好みに合致するようなシステム等の工夫も必要になります。
3. 契約数が少ないと収益が安定しない
サブスクECは、サービス開始直後や解約の増加時に収益が不安定になる可能性があります。
そのため、新規顧客を増やしつつも、上記の項目で記載したように、さらに長期契約者が離れないようにしなければならないのです。
サブスク型ECサイトの構築方法
サブスク型ECサイトの構築方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- フルスクラッチ
- ECカートシステムを導入する
スクラッチ開発によりECサイトを構築する
スクラッチ開発というのは、既存のシステム等を利用せずいちからECサイトを立ち上げる方法です。
スクラッチ開発では、自社に合わせた柔軟なサイトを構築することができます。
一方で、開発コストが高いことと開発までに年単位の時間がかかることから、スクラッチ開発は採用に至るまでのハードルが高い方法といえるでしょう。
ECカートシステムを導入する
サブスク型ECサイトを構築する方法としてより手軽なのが、ECカートシステムを導入することです。
ECカートシステムとは、ECサイトを構築・運営するために必要な機能を提供するシステムです。
たとえば、以下のようなシステムを利用することで、サブスク型ECを構築することができます。
- Shopify
- カラーミーリピート
- 楽楽リピート など
上記のシステムには、サブスクに必要な定期購入が可能な機能が搭載されている、もしくは定期購入カートシステムを追加できるアプリ等があります。
これらのシステムを活用することで、サブスク型ECに必要な機能を備えたサイトを構築可能です。
サブスク型ECサイトに必要な機能
サブスク型ECサイトでは、通常のECサイトに必要な機能に加えて、継続的な購入に関わる機能が必要となります。
具体的には、サブスク型ECで必要となる機能は以下のようなものです。
- 購入サイクルの設定機能
- 一時停止・スキップ機能
- クーポンや割引機能
- メール機能 など
購入サイクルの設定機能
サブスクECサイトに必須となるのが、購入サイクルの設定機能です。
大抵の場合、1ヶ月ごとのお届けとなるサブスクリプションサービスが多いですが、サービスによっては、ユーザーに合わせたサイクルの設定が適しているものなどもあります。
そのため、提供するサービスや商品に合わせて、柔軟にサイクルを設定できる機能があるとよいでしょう。
一時停止・スキップ機能
サブスク・定期購入に必要な機能として、一時的に休止したりスキップしたりすることのできる機能が挙げられます。
この機能が備わっていないと、ユーザーは商品が不要となった場合等に解約してしまう可能性が高くなってしまうでしょう。
解約率を抑えるという意味でも、スキップ等の選択肢を提示しておくことは重要です。
クーポンや割引機能
長期購入者に向けたクーポンや割引が設定できる機能も、サブスクECにおいて必要になります。
サブスクの契約期間が長くなるごとに○%割引で購入できるなど、長くサブスクを利用してくれる顧客が得できる仕組みを取り入れることで、長期的に続ける動機をプラスすることも可能です。
メール機能
フォローメールに関連する機能も、サブスクECでは大切になります。
サブスクの場合、次回配送日や決済のタイミングでのメールはトラブル防止の意味でも重要です。
これらのメールを、タイミングに合わせて自動で送信できる機能を導入できると、より効率的で正確な運営ができるでしょう。
関連記事:自社ECサイトの運営に欠かせない発送完了メール:メールを作成する10のコツ
サブスク型ECを構築する際のポイントや注意点
サブスク型ECを構築するうえでは、以下のような点に注意しましょう。
- 使いやすく最適化する
- 適切な価格設定
- マイページ等で簡単に配送をスキップできるようにする
使いやすく最適化する
サブスクECを構築するうえでは、なによりユーザーが使いやすいECサイトとして最適化することが重要です。
デザインをユーザーのターゲットに合わせたものにすることはもちろん、操作しやすく迷わない、わかりやすいUIにすることもポイントです。
これは筆者の経験ですが、ハイセンスで気になるサービスを見つけたものの、メニューがわかりにくく迷ってしまい購入を諦めたことがあります。
このように、サブスクECサイトを構築するうえでは、使いやすさを意識することで、顧客獲得の機会損失を防げるのではないでしょうか。
適切な価格設定
昨今、サブスクビジネスに参入する企業は多く、価格設定はさらに重要なものになってきています。
ユーザーはサブスクサービスを選ぶ際に、さまざまなサービスを比較検討するでしょう。
そのため、納得できる価格が設定されていないと、選ばれることはありません。
もしも同カテゴリのサブスクECよりも高い価格設定をする場合は、ブランドの魅力を上手に伝えるなどで、納得してもらえるような工夫が必要になります。
マイページ等で簡単に配送をスキップできるようにする
サブスク型ECを構築するうえで、マイページの作りもポイントになります。
サブスクを利用していて徐々に商品が使い切れず余ったり、一度休止したいと感じたりするユーザーもいますよね。
このような場合に、マイページ等で配送を休止・スキップすることができれば、ユーザーは「定期購入自体をやめる」という選択肢を選ばなくてもすみます。
また、商品に飽きてしまうユーザーもいることから、フレーバーや種類の変更をマイページ等で変えられるようにすることも重要です。
このように、マイページを活用することで、顧客のサブスク解約率を抑制することができます。
サブスク型ECサイトの成功事例
本項目では、サブスク型ECサイトの成功事例を紹介しています。
今回紹介するのは以下のサイトです。
- The Stationery Selection
- ICHIGO
- PostCoffee
The Stationery Selection
The Stationery Selectionは、日本の文房具をサブスクリプションボックスで世界に伝えるオンラインショップです。
日本の高品質な文具のニーズに気づいてECサイトを立ち上げたのち、米国のみならずカナダやヨーロッパなどの数々の国に商品を発送しています。
また、The Stationery Selectionでは、送り状発行サービスであるShip&coを活用することで、発送ラベルの発行や配送コストの計算作業を効率化することに成功。
素早く商品を届けることで、顧客のショッピング体験をさらによいものにしています。
ICHIGO
ICHIGOは、海外向けのお菓子のサブスク「TOKYO TREAT」や「Sakuraco」を展開する企業です。
「Sakuraco」では和菓子のボックスをサブスクとして提供しており、自治体などと連携するなどで魅力的なボックスを発信し、事業を拡大。
各ブランドごとに分けたSNSでは消費者と密にコミュニケーションをとっている上、忌憚ない意見をくれるロイヤルカスタマーが多いことも強みです。
このように、ICHIGOは、200万人を超える会員数と深いリレーションによって、強固な顧客基盤を作り上げています。
PostCoffee
PostCoffeeは、ユーザーの好みに合わせたスペシャリティコーヒーが届くサブスクサービスです。
コーヒーの好み診断から始まる顧客との関係を積み重ね、最初のデータを成長させていくことでユーザーの満足度を高めています。
2020年にサブスクリプションサービスを開始後、定期購入分ではコーヒーが足りないユーザーに向け、EC事業も展開。
単品購入とサブスクを併用するユーザーも多く、サブスクからEC、ECからサブスクと誘導することでLTVをさらに伸ばすことに成功しています。
サブスクECに向いている商品・サービスの例
サブスクECに向いている商品やサービスとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 消耗品
- コスメやスキンケア商品
- 食品
- 洋服
- お花や宝石 など
消耗品
日常的に使用し、定期的に購入の必要がある消耗品は、サブスク型ECに向いた商材だといえます。
たとえば、以下のようなものが、サブスク型ECで取り入れられている商品です。
- 洗剤
- ペーパー類 など
これらの商品は、定期的に消費してなくなってしまうので、いちいち自分で買いに行くのは面倒というユーザーに求められています。
一方で、消耗品はよりお得に買いたいと考えている層も多いことから、価格競争に巻き込まれてしまう可能性もあるのがデメリットです。
コスメやスキンケア商品
コスメやスキンケア商品も、日常的に使用し、消耗することから、サブスク型ECサイトに向いているといえます。
コスメ・スキンケア商品では、以下のようなサブスクリプションが多く見られます。
- さまざまなコスメの詰め合わせボックス
- 継続して利用することで効果を感じられるようなスキンケア商品
- ヘアカラー
- プロテイン など
美容に関するサブスクリプションは新たな発見を求める方にも人気があるため、ボックス系も数多くあるようですね。
食品
サブスクの商品としては、以下のようなお菓子やミールキットなども展開されています。
- お菓子の詰め合わせ
- 食事が簡単に作れるミールキット
- 各地のパン など
お菓子の詰め合わせやセレクトされた食品などは利用者にワクワク感を届けることができるほか、日々が忙しいけれどしっかりとした食事をとりたいという方にはミールキットも人気です。
洋服
洋服のサブスクリプションには、以下のようなものがあります。
- 自分が借りたいものを一定期間レンタル
- 似合うものをセレクトしてレンタル・購入
洋服等のサブスクは、いろいろな服を着たいけれどコストや収納の問題があって購入するのは難しいという方にも人気なほか、似合うものがわからない、選ぶのが面倒という人にとっても注目されています。
お花や宝石
定期的にお花や宝石などが届くサブスクサービスもあります。
日常を彩るお花は、丁寧な暮らしを求める方にも人気です。
また、宝石が届くサブスクサービスには事情があって廃棄となってしまう宝石を詰め合わせて配送するというものもあります。廃棄を減らしたいという事業者の気持ちと、宝石に興味はあるけれど高価なものには手が出にくいというユーザーのニーズを満たすサービスです。
ポイントを抑えてサブスクECの運営を成功させよう
今回は、サブスクECについて解説しました。
サブスク型ECでは、新規顧客の獲得のほか、長期契約者との関係が重要になってきます。
顧客との長期的な関係を通して理解を深め、よりニーズを捉えたサービスの提供をしていくことが大切です。
そのためにも、サブスクECサイトにはユーザーが快適に契約を継続できる機能を用意する必要があるほか、長期的に続けたいと思わせるような工夫が必要になります。
ポイントを抑えて顧客との信頼関係を築き、サブスクECの運営を成功させましょう。
サブスクECにも便利なShip&co
サブスク型ECの運営にも、送り状発行サービスShip&coが大変便利です。
Ship&coは、さまざまなサービスと連携して数クリックで送り状を発行できるほか、海外向けでは配送料の計算や比較も可能。
ECカート、そして複数の配送業者に関する出荷作業もひとつのインターフェイスでおこなえるため、より素早く顧客に商品を届けることができます。
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