国際的に商品を販売する「越境EC」を計画している企業にとって、海外向けの配送料を理解することは非常に重要です。商品を海外に送る際にかかる配送料がどのような要因に影響されるかを理解することで、効果的な配送戦略を立て、コストを削減するためのヒントを得ることができます。

この記事では、日本から海外へ商品を送る際に影響を及ぼす主要な5つの要因について説明していきます。配送速度から特別取扱料金まで、効率的な運用のためにぜひ理解しておきましょう。

  • 要因 1:重量
  • 要因 2:梱包材
  • 要因 3:国際ゾーン
  • 要因 4:配達スピード
  • 要因 5:特別取扱料金(サーチャージ)

要因1:重量

日本から海外への発送では、商品の重量が重要な要素となります。送料の計算において、物流業界で使われるのは「実重量」と「容積重量」の2つの重量です。この重要なポイントを理解することは、越境EC事業者にとって必須です。

商品の重さが大きいほど、発送先に支払う送料も増えます。しかし、重量だけでなく、商品の梱包材の寸法も同じく重要です。実際の重量と容積重量を理解し、適切なサイズと重量の商品を用意することが大切です。

実重量と容積重量については、以下のように説明します。

  • 実重量とは、荷物の実際の重さです。
  • 容積重量とは、物体や荷物の大きさ(長さ × 幅 × 高さ × 容積重量係数)に基づいて計算される仮想的な重量です。物体の実際の重さが軽い場合でも、大きな体積を持つ荷物は運送コストが高くなることがあります。

クーリエ(国際宅配便)で発送する場合、配送料は、実重量と寸法重量(容積重量)のどちらか大きい方で計算されますので、商品を収めるのに適切なサイズであると同時に、DIM重量追加料金を引き起こさないようにする必要があります。

要因2:梱包材

梱包材は、商品の運送において大きな役割を果たします。どの種類の梱包材を選ぶかは送料に直結する重要な選択です。

運送業者が提供する専用の梱包材を活用することは、賢い発送戦略です。これによって送料を節約することができます。

たとえば、FedEx Pakという専用のパックを使用する場合、そのパックの重さのみが送料に影響します。商品を箱に入れてそれをFedEx Pakの袋に入れると、送料は実際の重さだけで計算されるため、容積重量の影響を受けません。商品が大きくて軽い場合、FedEx Pakのような専用梱包材を利用すると、送料をお得に抑えることができます。同様に、DHLでもDHL Flyerという専用パックを使うと、実際の重さが送料に反映されるため、送料を節約できることにつながります。

送料を抑えたい場合には、このような専用のパックを利用することを検討してみてください。

要因3:ゾーン(シッピングゾーン、地帯)

クーリエ(国際宅配便)は、基本的に各国と地域をごに設定し、出発地の住所がゾーン1(ゾーンA)になります。荷物が出発地から遠くに移動するほど、配送料が増加する仕組みです。

料金区分表(ゾーンチャート)

以下は、各クーリエの現在のゾーンチャートです。

ここで重要なのは、運送会社によって各ゾーンまでの運賃が異なるので、その点を確認した上で、宛先の国があるゾーンまで最もお得で発送できる運送会社を見つけることがポイントです。

要因4:配達スピード

成長し続けるEC事業は、顧客の要求に対応するために円滑なプロセスが求められています。「配送スピード」は顧客のニーズに応える重要な要素ですが、同時にコストを適切に管理することも重要です。

例えば、FedExの場合、FedEx International Economyという選択肢を利用することで、送料を節約できますが、一方で配達までの時間がFedEx International Priorityよりも長くなる可能性もあります。国際的な郵便にもEMSから航空便まで、幅広いオプションがあります。通常、迅速な配送を希望する場合、送料も高くなる傾向があります。

最初に、顧客の視点で配達スピードについて検討してみましょう。

  • 顧客は、Amazonから2日間での配送を期待していますが、他の企業については通常3日から4日待つことができます。ただし、リアルタイムのトラッキングなど、特定の期待は依然として満たされる必要があります。
  • 顧客の90%は、即時のアップデートとリアルタイムの注文状況の可視化を望んでいます。技術的な解決策を採用することで、配送体験が向上し、消費者からの問い合わせが減少します。
  • 全世界のショッパーの32%は、見積もり配送時間が長すぎると、カートを放棄します。

上記のデータに基づいて、確かに迅速な配送は重要ですが、EC店舗全体のコストによって最も早い配達オプションを提供することが難しい場合もあります。その際、自社EC店舗のターゲット層がどのようなニーズを持っているか(迅速な配送を重視するお客様か、コストを優先するお客様か)を理解することが重要です。これにより、自社に最適な配送オプションを選択できるでしょう。

要因5:特別取扱料金(サーチャージ)

特別取扱料金(サーチャージ)とは、特別な処理が必要な荷物に対して追加でかかる料金のことです。国際宅配業者(FedEx、DHL、UPSなど)を利用して発送する際、特定の場合にこの料金が発生することがあります。通常、以下の2つのサーチャージが適用されます。

  1. 燃料割増金(フューエル・サーチャージ):航空輸送において、運送業者が燃料価格の変動に対応するために課金する追加料金です。石油価格の変動により、運送業者の燃料費が影響を受けるため、これに応じて追加料金が発生します。
  2. 繁忙期割増金(ピーク・デマンドサーチャージ):需要が急増する特定の期間やイベントにおいて、運送業者が追加料金を請求する制度です。例えば、新型コロナウイルス感染症やピークシーズン時が該当します。この割増金は、需要急増に対応するためのコストを補うために導入されています。

この他にも、以下のような条件を満たす荷物にも特別取扱料金が発生します。

  1. 重量が一定の条件を超える場合:
    たとえば、FedExでは実際の重量が31kgを超える場合、DHLでは実際の重量や容積重量にかかわらず70.0kgを超える場合、UPSでは平均重量が32kgを超える場合です。
  2. 危険物に該当する場合:
    たとえば、エアゾール、香水、リチウム電池を含む荷物が危険物に該当します。

EC事業者としては、商品がこれらの条件に該当するかどうかを確認する必要があります。また、複数の商品を一度に発送する場合は、荷物の寸法や重量、梱包に注意して特別取扱料金を避けるように準備する必要があります。特別取扱料金が発生した場合、それに気づくことも大切です。

さらに、追加のオプションサービス(配達署名など)が必要な場合も、それぞれに追加料金が発生することがあります。

各運送会社の詳細なサーチャージについては、以下のリンクよりご覧ください。

FedExサーチャージの詳細:

【2023年版】FedEx国際輸送のサーチャージ(割増金)とは?燃料割増金、特別取扱料金などを解説!
「燃料割増金とは何?」「FedExの送料を全く分からない?」などFedExの国際輸送にかかる運送料金についてまだよく理解できていない方向けにFedExの「輸送料金の計算」から「各サーチャージ(割増金)」まで詳しくまとめましたので、海外向けに発送しているEC事業者がぜひチェックしてください。

DHLサーチャージの詳細:

【2023年版】DHL エクスプレスの輸送料金の計算方法:オプショナルサービス、サーチャージ、通関サービスの料金一覧
DHL Expressで荷物を発送するには、知らないと損をする、「送料」のことを説明していきます。本記事では、輸送料金の計算、DHLのオプショナルサービス、サーチャージ、通関サービスに発生する追加料金についてをまとめましたので、ぜひご確認ください。

UPSサーチャージの詳細:

UPS海外発送のサーチャージ:デマンドサーチャージ、フューエル・サーチャージなど割増金とは?計算方法を解説!
UPSで海外発送をされている場合、まず、知っておきたいのは、UPSの運賃に含めている追加料金です。デマンドサーチャージ、フューエル・サーチャージなどの割増金から、住所変更の場合などの手数料まで、場合によって異なりますので、越境ECの注文を発送する前にEC事業者として理解しておきましょう。

これらの要因を理解することで、越境EC事業者はより効果的な配送戦略を立て、コストを削減できると幸いです。


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