配送業者のUPSとは?契約手順や発送方法、注意点を解説

UPSとは、世界中のネットワークを使って迅速なサービスを提供する国際的な配送業者です。特徴やメリット、発送の流れなどについて解説します。

高層ビルとUPSトラック

国際配送には煩雑な手続きが付きものですが、どの配送業者を選ぶかによって、発送のスムーズさや業務負担は大きく変わってきます。

UPSは、信頼性の高い世界有数の配送会社として、多くの事業者に支持されてきました。

本記事では、UPSの特徴やサービスに加え、契約から発送までの具体的な流れをわかりやすく解説します。手続きや、利用時の注意点・よくある質問についても取り上げていきます。

UPSとは

UPS(United Parcel Service)とは、アメリカに本社を置く世界的なクーリエ(国際宅配便)企業で、200以上の国や地域に配送ネットワークを持っています。ECの海外発送にも幅広く利用され、スピードと信頼性を兼ね備えたサービスを提供しています。

小口貨物から大口配送、ビジネスから個人利用まで幅広い用途に対応できる点がUPSの強みです。ヤマト運輸と業務提携もしており、日本からアメリカに向けた国際宅急便の配送を担っています。

特徴

UPSの特徴は、広範なネットワークを駆使した高い配送品質にあります。国内はもとより、専用航空機による迅速で安定した国際輸送サービスも充実しています。

また、先進のテクノロジーを活用した追跡システムでは、荷物の位置情報をリアルタイムで把握でき、配送状況の詳細を確認することが可能です。利用者のニーズに合わせ、時間指定配送や翌日配送など、多様な配送オプションも用意されています。

さらに、環境負荷低減にも積極的で、二酸化炭素排出量を抑えるサステナブルな輸送オプションを提供しています。幅広いサービス内容と高い信頼性、そして持続可能な物流への取り組みにより、世界中の企業や個人から支持されています。

対応地域

以下は、UPSがサービスを行っている主な国です。

・北米地域
アメリカ、カナダ、メキシコ

・ヨーロッパ地域
イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド

・アジア太平洋地域
日本、中国、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、インド、オーストラリア、ニュージーランド

・中南米地域
ブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ペルー

・中東・アフリカ地域
アラブ首長国連邦、サウジアラビア、南アフリカ、ケニア、エジプト

ただし、国や地域によってサービスの内容は異なります。また、一部の国や地域では、UPSの配送サービスが制限されている場合や、一時的に停止されていることがあります。例えば、2025年8月現在、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアへの国際配送サービスは一時停止されています。

これらの状況は予告なく変更される可能性があるため、最新の状況については、UPSカスタマーサービスへ直接お問い合わせください。

参考:2025 UPS® Rate and Service Guide|UPS
参考:サービスアラート|UPS

UPSのサービス

市街地のUPSトラック

UPSは、小口貨物も大型貨物も取り扱い、スピード重視や価格重視など、多様なニーズに応える国際輸送サービスを展開しています。

サービス名

特徴

配達時間

UPS Worldwide Express

時間指定配達(10:30・12:00など)、主要都市対応

最短1~3営業日

UPS Worldwide Express Plus

早朝配達(地域によって時間に違いあり)、緊急貨物向け

最短1~3営業日

UPS Worldwide Express Freight Midday

70kg以上のパレット積み貨物を12:00または14:00までに配達、

最短1~3営業日

UPS Worldwide Express Freight

70kg以上のパレット積み貨物を終業時間までに配達

最短1~3営業日

UPS Worldwide Express Saver

リーズナブルに迅速配送、終業時間までの配達

最短1~3営業日

UPS Worldwide Expedited

緊急度低めの国際輸送向け、低コスト

最短2~5営業日

UPS Air Freight Premium Direct

発送人の戸口から受け取り人の戸口まで輸送を行うドアツードアサービス、大型貨物向け

最短1~3営業日

UPS Air Freight Direct

空港間輸送、大型貨物向け

最短1~3営業日

UPS Air Freight Consolidated

空港間輸送、大型貨物向け低コストサービス

最短3~5営業日

UPSの料金は、荷物の重量・寸法、配送距離、サービス種別によって決定します。重量は、容積重量と実重量を比較して重い方が適用されます。追加のサービス料金や燃料サーチャージも加算されるため、正確な料金を知りたいときは事前に見積もりを行うと良いでしょう。

参考:2025 UPS® Rate and Service Guide|UPS
関連記事:UPSのサービスガイド:EC事業の物流ニーズに合わせた最適な選択肢

UPSのメリット

UPSを利用する主なメリットは以下の通りです。

・多様な配送オプション
時間指定配送や翌日配送など、さまざまなサービスが用意されています。これにより、顧客の多様なニーズへの対応が求められる事業者には利用しやすくなっています。

・充実した追跡システム
リアルタイムでの荷物追跡が可能で、配送状況を詳細に確認できます。

・契約条件の柔軟性
国際配送業者と契約する場合、月間発送件数や送料合計の最低基準が設けられることがあります。しかし、UPSではそれがない場合が多く、発送数が少ない事業者でも契約を継続しやすいといわれています。

・九州地方への対応力
UPSは北九州空港から定期便を運航しており、九州で利便性の高い国際配送を提供しています。越境ECを展開する九州の企業にとって、スピーディーで信頼性の高いUPSのサービスを利用できるのは大きな強みです。

関連記事:UPSは、九州地方でのサービスを強化し、九州地方の越境EC事業者を支援!

UPSの契約手順

UPSで出荷アカウントを開設するには、まず公式サイトからプロファイル登録を行います。登録するのは、サービス利用に必要な基本情報(氏名・メールアドレスなど)です。

オンライン申し込みは約5分で完了し、UPSによる情報確認を経て、通常6〜7営業日以内にアカウントが有効化されます。登録完了後は、発送・追跡・料金確認などの各種機能が利用可能になります。

アカウントの新規登録の手順は以下の通りです。

• STEP1:基本情報の入力
UPS公式サイトにアクセスし、氏名、メールアドレスなどの情報を入力する

• STEP2:メールアドレスの認証
登録したメールアドレス宛に認証メールが送信される。メール内のリンクをクリックして認証を完了する

• STEP3:利用者区分の選択
個人利用か法人利用かを選択

• STEP4:会社情報の入力
法人の場合は会社名、住所、連絡先などの会社情報を入力する

• STEP5:出荷タイプの選択
出荷方法は、「アウトバウンド出荷」と「インバウンド出荷」の2種類がある。発送した荷物の追跡を行う「アウトバウンド出荷」を選択するのが一般的

• STEP6:支払い方法の登録
クレジットカード情報などを登録し、申し込み完了後、審査を経て正式契約となる

UPSの発送方法

出荷準備中の段ボール

発送をスムーズに行うには、あらかじめ適切な準備をしておくことが欠かせません。ここでは、発送前に押さえておきたい基本的な流れを3つのステップに分けて解説します。

1. 荷物を梱包する

商品の破損を防ぐため、まず個別に緩衝材で包み、箱内で動かないように配置します。箱は中身に合ったサイズを選び、寸法と重量を正確に測定してください。

封をする際は、粘着力の弱いものやひもは避け、しっかりと固定できる素材のテープを使いましょう。梱包後は、古いラベルや危険物などの表示をすべて除去し、新しい配送ラベルのみが見えるようにします。これにより、誤配送や通関トラブルのリスクを軽減できます。

2. 送り状を発行する

送り状はUPSのオンラインシステムで発行できます。送り状を発行するには、まず「出荷準備」を選択し、送り主と送り先の住所、荷物のサイズ(重量・長さ・幅・高さ)を入力します。次に、希望する配送サービスを選択し、内容物の詳細などの必要情報を正確に入力してください。この際、コマーシャルインボイス(商業送り状)の作成もできます。

配送料金は、UPSの送り状作成時に自動で計算されるので、確認した上でクレジットカードによる支払いを完了してください。ラベル作成後は、プリンターで印刷して荷物に貼付します。プリンターがない場合でも、ラベルデータをメールで受信し、後から印刷することが可能です。

関連記事:【越境EC】UPSの海外発送に必要な書類について解説!送り状のEDI、INV、KEY表記とは?

Ship&coの送り状発行システムを利用すれば、UPS・FedEx・DHLなど複数の配送キャリアを横断してラベルとインボイスを一括管理できるため、キャリアごとの操作や書類作成の手間を削減できます。これにより、複数の配送業者を活用する業務にも対応しやすくなり、業務の統合と効率化に貢献します。

3. 集荷依頼をかける

梱包と送り状の準備が完了したら、集荷の手配を行います。UPSでは2つの発送方法があります。

1つ目はUPSの集荷サービスを利用する方法で、指定した場所まで配送員が荷物を取りに来てくれます。事前にオンラインまたは電話で集荷を依頼し、希望する日時を指定してください。

2つ目は持ち込み発送で、自身でUPS営業所や提携店舗まで荷物を運ぶ方法です。持ち込み場所は、UPSのウェブサイトから検索できます。

どちらの場合でも、ラベルが正しく貼付されていることを確認し、荷物の引き渡し時には送り状の控えを受け取りましょう。

UPSを利用する際の3つの注意点

UPSで国際配送を行う際は、いくつかの重要な注意点があります。ここでは、その中でも特に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

禁制品目と輸送制限品目を確認する

UPSを利用する際は、発送できないものや条件付きでしか発送できないものを事前に把握しておきましょう。ここでは禁制品目と輸送制限品目を整理してまとめます。

禁制品目(発送不可)
・弾薬(UPS規定に明示される場合を除く)
・銀行券、紙幣、硬貨以外の通貨
・遺体(火葬された遺体含む)
・花火
・有害廃棄物
・象牙
・マリファナ(薬用含む)
・郵便切手
・フカヒレ
・法律で禁止されている貨物
・CBD(カンナビジオール)含有製品

輸送制限品目(条件付きで発送可能)
・アルコール飲料
・動物製品、非家畜製品(例:マザーオブパール象眼細工、蛇皮の時計バンド)
・高価な品または希少品
・生物由来物質(カテゴリーB、適用免除 ヒト・動物由来検体など)
・危険品
・銃器・武器(不活性兵器・レプリカ爆発物含む)
・毛皮
・金やその他の貴金属
・生きた動物
・生鮮品
・個人の身の回り品(パーソナルエフェクト)
・植物
・種子
・タバコ
・500米ドルを超える腕時計

輸送制限品目は、条件を満たせばUPSの契約に基づき発送可能です。発送前に最新のサービス約款を確認してください。

参考:禁制品目と輸送制限品目リスト|UPS
参考:サービス約款|UPS

強度のある梱包資材を使う

国際配送では、輸送中の衝撃や積み重ねにも耐えられる強度のある梱包資材が不可欠です。UPSでは、耐久性の高い段ボール箱や専用箱の使用を推奨しており、オンラインで資材の注文も可能です。

特に重量物や壊れやすい商品には、二重構造の箱や厚手の緩衝材を使うと良いでしょう。封をする際は、幅広で耐久性のあるプラスチックまたはナイロン製のテープを使用すると、輸送中の開封・破損防止につながります。資材の選定は、商品の形状や重量、配送距離に応じて最適化しましょう。

出荷に必要な書類をそろえる

国際配送では、通関手続きに必要な各種書類の提出が求められます。商業価値のない書類を除き、すべての越境出荷にはコマーシャルインボイスの添付が必須です。これは、関税の算出や輸入管理に使用される重要な書類で、貨物の内容や取引条件を明確に示します。

加えて、原産地証明書の提出が求められることもあります。これは届け先国の規則による場合や、関税の優遇措置を受ける場合などに必要です。パッキングリストは国によって不要な場合もありますが、貨物の構成や梱包状態を明示できるため、通関手続きを円滑に進めるのに役立ちます。

なお、必要書類や条件は国や地域によって異なり、頻繁に変更されることがあります。出荷前には、UPSの輸出入ツールを活用して、最新の要件を必ず確認しましょう。

UPSについてよくある質問

UPSを利用する際によく寄せられる質問と回答をまとめました。配送日程や住所変更、不在時の対応について解説します。

1. UPSは土日に配達しますか?

UPSはアジア、ヨーロッパ、アメリカなどの一部の国と地域で週末配達サービスを提供しています。基本的には月曜日から土曜日まで個人およびビジネス向けの荷物を配達していますが、日曜日の配達は行っていません。

ただし、週末に配達されるかどうかは配達地域やサービス内容によるため、具体的な配達スケジュールについてはUPSの担当営業にお問い合わせください。

参考:FAQ|UPS

2. UPSで配送先を変更するにはどうすればいいですか?

配送先の変更はUPSの無料オンラインツール、UPS My Choiceサービスを利用すると便利です。利用するには、まずUPS My Choiceアカウントにログインし、ダッシュボードを開いてください。

次に変更したい荷物を選択し、「配達を変更」をクリックします。画面の指示に従って、新しい配達先住所や配達日時を指定できます。

ただし、荷送人がこのオプションを制限している場合は変更できません。また、既に配達済みの場合も変更不可となりますので、早めの手続きが重要です。

参考:お受け取りになる配達を変更|UPS
関連記事:【海外発送】住所に誤りがある場合に発生する配達先変更手数料とは?

3. UPSの配送で不在だった場合どうなりますか?

配達時に不在の場合、UPSドライバーがInfoNotice(不在連絡票)を残します。まず荷物の追跡番号から配送状況を確認し、次回配達予定日や荷物の保管場所を把握してください。不在連絡票には配達の情報やドライバーからのメモが記載されています。

次回の配達が予定されている場合、不在連絡票の「Your Signature」欄に署名して元の場所に戻しておけば、置き配もしてもらえます。ただし、これは成人の署名が不要な場合のみです。また、UPS営業所での受け取りや再配達の日時指定も可能です。

参考:InfoNotice(不在連絡票)の確認方法|UPS

まとめ

UPSは、アメリカに本社を置く世界最大級の物流会社です。200以上の国と地域を結ぶ配送ネットワークや、先進の追跡システムなどに強みがあります。

UPSで国際配送を行う際は、適切な梱包、送り状の発行、集荷依頼の手順を踏み、コマーシャルインボイスなど出荷に必要な書類をそろえる必要があります。UPSのオンラインシステムで送り状やコマーシャルインボイスの作成などは可能です。

Ship&coの送り状発行システムも、UPSのオンラインシステムと同様に送り状とコマーシャルインボイスを同時に作成可能です。さらに、複数の配送キャリアを一元管理できる点が大きなメリットであり、業務の効率化に加え、作業負荷の軽減や人的ミスの防止にも効果を発揮します。