ECサイトの運営には、必ずしも特定の資格が必須というわけではありません。
しかし、習得しておくことでECサイト運営を効率化できる資格や、就職活動や転職活動で有利になる資格もあります。
本記事では、ECサイト運営やEC関連の業界への就職・転職などでお悩みの方に向けて、おすすめの資格や検定をわかりやすく解説しています。
取り扱う商品によってはプラスαで役立つ資格も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
EC・実店舗とも、取り扱う商品によっては資格が必要!
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冒頭で「ECサイトの運営には資格が必須というわけではない」と述べましたが、実際には取り扱う商品によって必要な資格もあります。
また、商品によっては、ECサイトか実店舗かに関わらず必要な資格・営業許可があるため、注意が必要です。これらは、役立つ資格というよりは、なければ販売できないものという位置づけになります。
たとえば、以下のような商品を取り扱う場合には、対応する資格または営業許可を取得しておかなければなりません。
ECサイト運営におすすめの資格・検定
それでは早速、ECサイト・ネットショップ運営で役立つ資格を紹介していきます。
ECに関する知識・資格は以下のように数多くありますが、すべてを身につけなければいけないというわけではありません。目指すサイト作りや就職したい企業等に合わせて、必要なものを取り入れていきましょう。
- ネットショップ検定(ネットショップ実務士)
- ネットマーケティング検定
- マーケティング・ビジネス実務検定
- D2Cエキスパート検定(旧通販エキスパート検定)
- ウェブ解析士
- Googleアナリティクス認定資格(GA4)
- Webアナリスト検定
- ウェブデザイン技能検定
- Webデザイナー検定
- Webクリエイター能力検定
- HTML5プロフェッショナル認定資格
- SEO検定
- Web検定
- ITパスポート試験
- ITストラテジスト
- 応用情報技術者
ネットショップ検定(ネットショップ実務士)
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引用:ネットショップ検定|ネットショップ能力認定機構
ネットショップ検定は、ネットショップについて体系的に学べる検定試験です。ネットショップ検定に合格することで、ネットショップ実務士の資格を得られます。
こちらの検定では、ネットショップに関する以下のような能力が求められます。
- マネジメント能力
- Web制作能力
- 運営能力
- プロモーション能力
ネットショップ実務士にはレベルがあり、各レベルに設定された条件をクリアすることで資格を取得できます。資格取得者には認定証明書が授与されるほか、ネットショップで表示できるロゴマークの利用権利が与えられるため、顧客からの信頼度を高めたい場合にも有用です。
ネットマーケティング検定
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引用:ネットマーケティング検定|サーティファイ
ネットマーケティング検定は、ネットマーケティングに関する基本知識を体系的に習得できる資格試験です。
広告・SEOなどのネットマーケティングに必要不可欠な知識を網羅できる検定で、累計10,000人以上の受験者がいます。
リサーチやSNS、Webの関連法規についても幅広く対応しているため、本格的にネットマーケティングを理解したいという方にもおすすめです。
受験形式はリモートのため、自宅等から試験を受けられるというのもポイントです。
マーケティング・ビジネス実務検定
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引用:マーケティング・ビジネス実務検定|国際実務マーケティング協会
マーケティング・ビジネス実務検定は、マーケティング理論や業務に役立つ実務知識を総合的に学べる検定試験です。
「どの業界・どの職種でも通用するマーケティングスキル」が磨ける検定となっているため、ECサイト運営においても役立つ知識があるでしょう。
なお、マーケティング・ビジネス実務検定を受験する場合は、公式サイトに掲載される受験要項が必読となるため注意が必要です。
D2Cエキスパート検定(旧通販エキスパート検定)
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引用:D2Cエキスパート検定|D2Cエキスパート協会
D2Cエキスパート検定(旧通販エキスパート検定)は、ダイレクトマーケティングのスペシャリストを目指すための資格です。
複数のコースがあり、必要に応じて受験することができます。新コースとして薬機法広告検定も追加されました。
試験は試験期間内であれば通年受験が可能なほか、オンライン受験も可能で受けやすい検定です。
ウェブ解析士
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引用:ウェブ解析士|一般社団法人ウェブ解析士協会
ウェブ解析士は、アクセス解析などのデータを活用しデジタルマーケティングに役立てる「ウェブ解析士認定試験」の合格者です。
ウェブ解析士認定を得るためには、任意で認定講座を受講したのち、ウェブ解析士認定試験に合格する必要があります。
公式サイトには学習期間の目安も掲載されていますが、業界経験の有無によって以下のように目安期間が異なっています。
- ウェブ業界経験者:1か月~1か月半(15~30時間)
- ウェブ業界未経験者:2か月~4か月(40~60時間)
Googleアナリティクス認定資格(GA4)
Googleアナリティクス認定資格(GA4対応)は、Googleアナリティクス4の活用スキルを示すための資格です。現在、Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)に代わり提供されています。
Googleアナリティクス認定資格では、Googleアナリティクス4による正確なデータ解析や、他システムとのデータ連携方法などを学ぶことが可能です。
Googleの提供するスキルショップから無料で講座を受講できるほか、認定試験も無料で受けられます。コース内でデモを触ることもできるので、Googleアナリティクスについて学びたいという人にぴったりです。
また、先述した「ウェブ解析士」の試験においてもGA4の操作が必要なため、受験を予定している場合はこちらの講座で学んでおくのもおすすめです。
Webアナリスト検定
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引用:Webアナリスト検定|日本Web協会
Webアナリスト検定は、Googleアナリティクスについて体系的に学べる検定試験です。
一日5時間で構成される講座を受講することで、Googleアナリティクスの基礎からデータ分析の考え方、実践で役立つスキルなどを身につけることができます。
また、Webマーケティングに関する知識もあわせて身につけられる点も業務に役立つ点です。
ウェブデザイン技能検定
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引用:ウェブデザイン技能検定|インターネットスキル認定普及協会
ウェブデザイン技能検定は、関連国際標準規格等に基づいてウェブデザインに関する知識・技能、実務能力等が問われる国家試験です。
ウェブ制作に関する知識を求められるほかに、ウェブ全般に対するスキルなども必要になる検定となっているため、ECサイトを運営していきたいと考えている方にはおすすめです。
合格率は3級が60~70%となっていますが、2級は30~40%、1級は10~20%と低いため、しっかりとした知識が必要となるでしょう。
Webデザイナー検定
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引用:Webデザイナー検定|画像情報教育振興協会(CG-ARTS)
Webデザイナー検定は、各種Webサイトのデザインのコンセプトメイキング・制作・運用をおこなうための知識やスキルが求められる検定試験です。
出題範囲は以下の通りで、Webサイトの運営やデザインに関する多彩な知識を学ぶことができます。
- 表現の基礎
- 制作準備
- Webサイトの制作と運用
- 知的財産権
ECサイトにおいて全般的にかかわり、見やすいWebデザインを設計したい、という場合にもおすすめの資格といえるでしょう。
Webクリエイター能力認定検定
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引用:Webクリエイター能力認定検定|サーティファイ
Webクリエイター能力認定検定とは、Webサイト制作において必要なコーディングスキル・デザインスキルを認定する検定です。
試験はスタンダード級とエキスパート級にわかれており、スタンダード教材ではページを構成するHTML・CSSの基本から学び、CSSを使った簡単なレイアウトも可能になります。
ECサイト等を構築したい、または基礎知識として制作スキルを身につけておきたい、という場合におすすめの資格です。
認定要件は、スタンダード・エキスパートともに得点率65%以上となっています。
HTML5プロフェッショナル認定資格
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引用:HTML5プロフェッショナル認定資格|EDUCO
HTML5プロフェッショナル認定資格は、JavaScript・HTML・CSSのスキルを証明する認定資格です。
試験はレベル1、レベル2に分かれており、レベル1合格ではHTMLとCSSを、レベル2合格ではJavascriptのスキルを保有していることを証明することができます。
プログラマーとして基本的な知識や、業務で触れないWeb技術についても広く学ぶことができる認定試験です。
SEO検定
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引用:SEO検定|全日本SEO協会
SEO検定は、SEO技術を体系的に学べる検定試験です。
初心者から仕事でSEOを役立てたい人まで、わかりやすい公式テキストで学ぶことができます。
SEO検定では、以下のような内容を習得可能です。
- SEOの基礎知識
- キーワードリサーチと内部要因最適化
- コンテンツSEOと外部要因最適化
- ソーシャルSEOとモバイルSEO
SEO=検索エンジン最適化はサイトの検索順位向上において重要な技術になるため、Web業界に携わる人にはおすすめの検定といえるでしょう。
Web検定
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引用:Web検定|全日本能率連盟
Web検定は、Webに関するリテラシーを基礎とし、さらにデザイン・プロデュース・ディレクションの専門分野を学ぶことができる検定試験です。
現代においてビジネスで必須級となるWebの基礎知識や、Webにおけるマーケティング戦略の考え方などを習得できます。
Web検定には以下の4つの検定試験があり、必要に応じて各分野を受験可能です。
- Webリテラシー試験
- Webデザイン試験
- Webディレクション試験
- Webプロデュース試験
ITパスポート試験
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引用:ITパスポート試験|情報処理推進機構
ITパスポート試験は、合格することでITに関する基礎的な知識を証明できる試験です。
AIやIoTに関する新しい知識のほか、経営全般にまつわるマーケティングや財務・法務など幅広い知識を習得することができます。
ITの基礎知識を身につけECサイト運営に役立てたい場合や、就職・転職活動において基本的な知識を有することを証明したい場合にも有用な試験です。
ITストラテジスト
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引用:ITストラテジスト|情報処理推進機構
ITストラテジストは、システム・ソフトウェア開発の超上流工程で戦略立案等をおこなう専門職です。ITストラテジストには国家資格がありますが、情報処理技術者試験において最難関の資格とされています。 実際の合格率も15%前後です。
実績が少ない場合においても、このような難関資格を習得しておくことで、業界への転職活動に有利に働く可能性はあります。
応用情報技術者
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引用:応用情報技術者|情報処理推進機構
応用情報技術者は、情報処理技術者試験に含まれる国家資格です。
先述したITストラテジストの資格の下に位置するレベルで、合格率は22%程度と難易度が高めになっています。受験に特別な条件はないため、だれでも受けることができますが、深い知識を持っていなければ合格できない試験といえるでしょう。
応用情報技術者においても、ITの活用による戦略立案や高品質のシステム構築のスキルが求められます。高度IT人材としてEC業界に携わりたいという人にはおすすめの資格ではないでしょうか。
その他EC業界の就職・転職でおすすめの資格
ECサイトの運営で役立つ資格として、業界別では以下のようなものも挙げられます。
どのようなサイトを運営するか、またはどういった業界で活躍したいかによって、適した資格を取得するのがおすすめです。
- 雑貨・家具関連のEC:インテリアコーディネーター
- 美容関連のEC:コスメコンシェルジュ
- 食品関連のEC:食品表示検定
- アパレル関連のEC:ファッション色彩能力検定
- 越境EC:語学系の資格
雑貨・家具関連のEC:インテリアコーディネーター
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引用:インテリアコーディネーター|インテリア産業協会
雑貨や家具など生活にまつわるECサイトに関わる場合は、インテリアコーディネーターの資格がおすすめです。
インテリアコーディネーターは、住宅設備や家具などに関する幅広い知識を持ち、適切な助言がおこなえる専門職となっています。
美容関連のEC:コスメコンシェルジュ
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引用:コスメコンシェルジュ|日本化粧品検定協会
コスメコンシェルジュは、化粧品の専門家であることを証明できる日本化粧品検定最上位資格です。
コスメを取り扱うECサイトに携わりたいという場合は、コスメコンシェルジュの資格を取得することで役立てることができるでしょう。
食品関連のEC:食品表示検定
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引用:食品表示検定|食品表示検定協会
食品表示検定は、正しく食品表示を理解し記載できる知識を身につけられる検定です。
食品販売に関わるECサイトを運営する場合におすすめの資格です。
アパレル関連のEC:ファッション色彩能力検定
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引用:ファッション色彩能力検定|日本ファッション教育振興協会
アパレル関連のECサイト運営に携わる場合は、ファッション色彩能力検定の習得もおすすめです。
ファッション色彩能力検定を実施する日本ファッション教育振興協会では、その他にファッションビジネス能力検定も実施しており、商品開発などにおいてはこちらもおすすめとなっています。
越境EC:語学系の資格
越境ECサイト運営では、語学に関する知識が役立ちます。
国内に向けたECとは異なり、越境ECでは海外のターゲットに向けたサポートなども必要なためです。当然、対象となる国の言葉を理解できることは越境ECを運営する上でアドバンテージとなります。
ECサイト運営関連の資格を取得するメリット
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ECサイト運営に関わる上では資格の取得は必須ではありません。しかし、資格を取得することで、たとえば以下のようなメリットを得られる可能性もあります。
就職・転職活動に役立つ
ECサイト運営やWeb・ITに関する資格を取得することができれば、就職活動や転職活動におおいに役立てることができます。
転職の場合、ECサイト運営を経験している場合であれば自分の実績を伝えることで選考での信頼を得やすいでしょう。しかし、未経験の場合や、経験が少ないという場合には相手に信頼してもらう証拠が乏しく苦戦する可能性もあります。
ここで、関連の資格を取得していれば、ある程度の知識を持っていることが証明できます。さらに、業界に対する勉強の意欲も伝えられるでしょう。実績が不足していても有資格者であることを伝えれば、信頼度を補強することができる、というわけですね。
競争力を強化できる
スピード感があり、競争の激しいEC業界で競争力を強化するには、最先端の専門知識を身につけていくことが大切です。
資格を取得することで、業界に関する知識を得てECサイト運営に役立てることができます。
また、資格学習によって基本的な知識を持っていれば、新たな情報が流れてきたとき、うまく活用できるでしょう。何も知らない状態で情報を得てもよくわからず見逃してしまう可能性がありますが、知識があれば何気ない情報をキャッチしてスキルを向上させる、という流れをおこないやすくなります。結果として、競争力を高めやすくなるのです。
上記のように、資格の取得・学習は、競争力を効率よく高められる一つの方法といえます。
EC運営におすすめの資格に関するQ&A
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本項目では、EC運営のおすすめ資格に関するよくある質問を掲載しています。
- ECサイトの運営に必要なスキルは?
- ECコンサルタントに必要な資格はある?
- ネットショップ検定の評判は?
- ネットショップ検定と通販エキスパート検定はどう違う?
ECサイトの運営に必要なスキルは?
ECサイトの運営には、たとえば以下のようなスキルが必要です。
- Webに関する基礎知識
- Webマーケティングスキル
- データ分析力
- 商品企画力 など
携わる工程によっても必要なスキルは異なりますが、ECサイト運営に総合的にかかわる場合は幅広いスキルが必要です。
ECコンサルタントに必要な資格はある?
ECコンサルタントになるために必須の資格などはありませんが、たとえば以下のような資格はおすすめです。
- 応用情報技術者
- ITストラテジスト
- マーケティング・ビジネス実務検定
- Googleアナリティクス認定資格 など
上記のような資格を取得することで、コンサルタントとして適切なアドバイスができる知識・スキルを身につけていることを証明できるでしょう。
ネットショップ検定の評判は?
ネットショップ検定を受験した方の評判としては、以下のようなものが見受けられます。
- 経験者としては知っていることばかりだが、アピールのために取得してもよい
- 体系的に知識を身につけられるため、EC運営を俯瞰して見られるようになった
- 就活で役立たなかったが、実務で使える知識は多い など
上記のように、ネットショップ検定は経験や立場によって評判が異なるようです。
ネットショップ検定と通販エキスパート検定はどう違う?
ネットショップ検定と通販エキスパート検定(現D2Cエキスパート検定)の違いは、以下の通りです。
このように、ネットショップ検定と通販エキスパート検定(現D2Cエキスパート検定)は、主催団体・得られる資格や知識などが異なります。
EC運営におすすめの資格まとめ
今回は、ECサイト運営におすすめの資格や検定を紹介しました。
ネットショップ運営においては、トレンドの流れも速いため、常に新しい情報を取り入れる必要があります。さらに、Web・ITに関する専門知識が必要な領域であることから、資格取得者はとくに信頼度が高くなる傾向があるのではないでしょうか。
上記について考慮すると、資格を取得する、またはそのために学習することは、長くECに関わる上で重要といえます。
今回紹介したさまざまな資格から自分にとって必要なものを検討し、ぜひ知識を身につけてみてくださいね。
EC業務の効率化にはShip&coがおすすめ!
EC業務では、サイト運営だけではなく出荷に関するお悩みもあるのではないでしょうか。より効率的に出荷業務をおこないたいという運営者様には、送り状発行システムのShip&coがおすすめです。
Ship&coでは、送り状発行から荷物の追跡まで自動化可能で、出荷業務を一元管理することも可能!国内の配送業者との連携はもちろんのこと、越境ECで役立つ海外運送会社との連携や配送料金の比較も簡単におこなえます。
最短2クリックで送り状を発行できるため、時短・手作業によるミスを大幅に削減することが可能です。ECサイト運営、出荷業務を効率化したい!という場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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