EMSの関税や通関手続きを解説!アメリカ向け発送の例を紹介

EMS(国際スピード郵便)とは、日本郵便が提供する国際小包の配送サービスです。EC事業者にも利用されていますが、手続きが複雑そうで不安に感じたことはないでしょうか。特にアメリカ向けの荷物は受け入れが一時中止され、2026年4月より再開されたものの、関税ルールの変更が相次いでおり条件も複雑です。書類の記入漏れや、関税の知識不足により、荷物が止まってしまうケースも少なくありません。

本記事では、EMSの関税や通関手続きから、梱包・書類作成・発送までの具体的な流れ、利用時の注意点までを解説します。アメリカ向け発送を例に、EC事業者がつまずきやすいポイントもお伝えします。

EMSとは

EMS(国際スピード郵便)とは、日本郵便が扱う国際郵便の中でも最速の配送サービスです。世界120以上の国と地域をカバーしており、書類から最大30kgの荷物まで送れます。個人利用だけでなく、EC事業者が海外へ商品を発送する際もよく利用される方法です。

発送できる国や地域は、日本郵便の公式サイトで確認できます。公式サイトでは荷物の追跡もでき、配送状況をリアルタイムで把握できます。一部地域では冷凍・冷蔵品を送れる「クールEMS」も利用できるので、食品や薬品なども配送可能です。

EMSとよく比較されるのが、DHLやFedExなどの民間クーリエ(国際輸送業者)のサービスです。クーリエは自社で通関業務まで請け負うので、利用者が自ら通関手続きをすることはありません。料金体系や発送できる重量の上限も、EMSとは異なります。

EMSの場合は国際郵便の枠組みで配送されるので、輸出申告そのものが原則として発生しません。クーリエが「業者が代行するので輸出申告手続きが不要」なのに対し、EMSは「基本的に輸出申告手続きが要らない」という点が異なります。

アメリカ向けEMSの再開

2025年7月にアメリカ政府がデミニミス制度(少額貨物の免税措置)の廃止を発表したことを受けて、日本郵便は同年8月末から、100米ドルを超える個人間の贈答品や販売品を含むアメリカ宛て郵便物の引き受けを一時的に停止しました。

その後、アメリカ税関・国境警備局(CBP)が新たなルールを整備し、2026年4月14日より引き受けが再開されています。2026年8月時点で、アメリカ向けEMSは利用可能です。

EMSの関税

EMSの関税は、送り先の国や商品の内容によって変わるので、金額は一律ではありません。ここでは一例として、アメリカに送る場合の条件を見ていきましょう。

アメリカ向けの場合

アメリカにEMSを送る場合、荷物の価格帯に応じて手続きが違います。2026年8月時点の条件は以下の通りです。

荷物の価格

内容品

引受郵便局

関税の事前支払い

100米ドル以下

書類や書状および個人間の贈答品

指定なし(簡易郵便局を除く)

不要

上記以外

指定あり

必要(DDP)

100米ドル超え〜2,500米ドル以下

全種別

指定あり

必要(DDP)

2,500米ドル超え

全種別

指定あり

不要(アメリカで通常通関)

※本項目は2026年8月時点の情報です。差出条件は今後も改定される可能性があるため、日本郵便の公式サイトで最新情報を確認してください。

100米ドル以下の書類や贈答品を除くと、多くの荷物は指定された郵便局からの発送が必要です。100米ドル超〜2,500米ドル以下の荷物は、発送前にDDP(Delivered Duty Paid:関税込み持込渡し)の形で関税を事前に支払っておく必要があります。

DDPの事前支払いは、日本郵便が推奨するCBP認定事業者、Zonos社を利用します。個人が単発で発送する程度ならZonos Prepayアプリでの手続きも容易ですが、EC事業者のように出荷件数が多いと、荷物ごとにアプリで手続きをするのは現実的ではありません。その場合、EC事業者向け配送管理システムのShip&coとZonosを連携させれば、送り状発行から関税の事前支払いまでをまとめて処理でき、出荷業務の負担を大きく減らせます。

実際の関税にかかる金額は、商品の種類や価格によって違います。関税率は品目ごとに設定されているので、発送前に対象商品の税率を確認しましょう。

EMSの通関手続き

EMSは国際郵便として扱われるので、通常のクーリエを使う輸出のような複雑な通関手続きは発生しません。多くの荷物は国際郵便交換局内にある税関の出張所で検査を受け、利用者自身が個別に手続きをする場面はほとんどないでしょう。

ただし荷物の内容品価格が20万円を超える場合は、日本の税関へ「輸出申告書」を提出する必要があります。輸出申告書とは、荷物の内容や価格、仕向地などを税関に申告する書類のことです。この手続きは日本郵便への委任も可能で、その場合は英語で作成したインボイス、通関委任状の準備に加え、1件につき2,800円の代行手数料がかかります。同じ宛先に同時に発送する場合は、2個以上でも1件とカウントされます。

アメリカ向けに発送する場合はこの輸出申告に加えて、金額に応じた関税の事前支払いなども別途必要です。

EMSの送り方

EMSの梱包から発送までの流れを見ていきましょう。

1. 商品・荷物を梱包する

梱包を始める前に、その荷物が航空危険物や禁制品に該当しないか、発送先の国がEMSの対象地域かどうかを確認しておきましょう。禁制品やサービス外地域宛ての荷物だと、どれだけ丁寧に梱包しても発送を受け付けてもらえません。

確認が済んだら、実際の梱包に入ります。輸送中の振動や衝撃から中身を守るため、緩衝材を隙間なく詰め、商品が箱の中で動かない状態にすることが大切です。

また、EMSには規定のサイズ・重量制限があります。梱包を終えてから制限オーバーに気づくと詰め直しの手間が発生するので、梱包前の段階で箱のサイズと想定重量を計算しておくと二度手間を防げます。

2. 必要書類を作成する

EMSで必要な書類は、発送先の国や送る荷物の種類によって違います。基本的に必要となるのは、税関告知書とインボイスの2種類です。

税関告知書は、荷物の中身や価格を税関に伝える書類で、CN22とCN23の2種類があります。宛先国や内容品の種類・金額に応じて、必要な種類や枚数が異なります。インボイスは、商品名や数量、価格などを記載した明細書で、税関が関税額を算出する際の判断材料になるものです。販売目的の商品は、コマーシャルインボイス(商業送り状)を用意します。

例えばアメリカに商品を送る場合、税関告知書CN23が1通、インボイスが2通必要です。商品以外(書類や贈答品など)を送る場合は、CN22かCN23のどちらか1通となります。書類の種類や必要な枚数は国ごとに細かく異なるので、発送前に日本郵便の公式サイトで最新の条件を確認しておきましょう。

また、書類は通関電子データに対応した方法で作成する必要があり、こうした書類を発送件数分手作業で作るのは、手間もミスのリスクも大きくなります。Ship&coを使えば、注文データをもとに通関電子データに対応した税関告知書やインボイスを自動生成でき、書類作成にかかる時間を短縮できます。

関連記事:ネットでの国際郵便EMSラベル作成方法を紹介!

3. 商品・荷物を発送する

発送の際は、郵便局の窓口に持ち込むほか、自宅まで荷物を取りに来てもらう集荷サービスも利用できます。

発送前には、ラベルに記入した宛先や内容品の情報に誤りがないか、もう一度確認しておきましょう。梱包が緩んでいないかどうかも、併せてチェックしてください。記入ミスや梱包不備があると、荷物が返送される恐れがあります。

EMSを利用する際の注意点

ここではEMSを使う上で、特に注意しておきたいポイントを紹介します。

送れる商品・荷物か確認する

EMSを利用する前に確認すべきことは、大きく分けて2つあります。荷物自体が郵送を禁止されている品目に該当しないか、そして発送先の国や地域がEMSの対象になっているかどうかです。

国際郵便として送れないものの代表例は次の通りです。

  • スプレー缶や花火など、火薬類や高圧ガスを含むもの
  • 香水、マニキュア、アルコール度数24%を超えるお酒類などの引火性液体
  • 電子タバコやモバイルバッテリー、リチウム電池を使った製品(一部条件あり)
  • 麻薬類や向精神剤
  • 生きた動物
  • わいせつな物品
  • 硬貨や紙幣、金・銀・宝石などの貴重品

これらは荷物の引き受け後にX線検査などで確認が行われ、該当した場合は差出人へ返送されます。

また、発送先がEMSの取り扱い国かどうかの確認も必要です。発送できる国は120以上あるとはいえ、全世界をカバーしているわけではありません。国によっては一部の地域の利用が制限されていることもあるので、発送前に日本郵便の公式サイトで対象地域を確認しましょう。

追跡番号を保存しておく

EMSには13桁の追跡番号が発行され、荷物の配送状況を日本郵便の公式サイトで確認できます。追跡番号は発送後、荷物の位置や到着の有無などを把握するのに必要な情報です。万が一荷物が届かない、届くのが遅いなどのトラブルが起きた際、追跡番号がなければ日本郵便への問い合わせもスムーズに進みません。

追跡番号はレシートやラベルの控えに記載されていますが、紛失のリスクがあるので、発送のたびに注文管理システムやスプレッドシートへ記録しておくと良いでしょう。

関連記事:国際郵便 EMS の配達状況・追跡情報を確認する方法を徹底的に解説!

記入する情報を間違えない

宛先住所や氏名、内容品の情報に誤りがあると、荷物が届かなかったり、通関で止められたりする原因になります。特に英語表記の住所は、番地や部屋番号の順序が日本と逆になるので、気をつけないと記入ミスが起こりがちです。

内容品の価格や品目も、税関告知書やインボイスに正確に記載する必要があります。実際の価格より低く申告すると、関税逃れとみなされ罰則の対象になることもあります。発送前にラベルと書類の内容を一度読み合わせ、記入漏れや誤字がないか確認しましょう。

必要であれば保険を活用する

EMSは、2万円までの損害要償額が自動的に適用されます。しかし高額な商品を発送する場合、破損や紛失が万が一起こったら、この金額では補償は不十分です。

2万円を超える補償を希望する場合は、追加料金を支払うと最大200万円まで補償額を引き上げられます。2万円を超える金額に対して、2万円ごとに50円の追加料金を支払います。窓口で差出す際に申し出れば手続きできるので、高額商品を扱う場合はあらかじめ検討しておくと良いでしょう。

EMSの関税についてよくある質問

ここでは特に多く寄せられるEMSの関税についての疑問に答えます。

1. EMSでは関税がかからないのですか?

いいえ、EMSを使えば関税がかからないというわけではありません。免税になるかどうかは、配送方法ではなく宛先国の制度と内容品で決まります。

例えばアメリカ向けに100米ドルのTシャツを贈答品として送った場合は免税対象になります。しかしEUは仕組みが複雑で、個人間の贈答品(CtoC)なら45ユーロ未満で免税になりますが、ネット通販(BtoC)の場合は45ユーロ未満であっても内容品ごとに3ユーロの関税がかかります。

このように宛先国や取引形態によって免税の基準がまったく異なるため、「EMSだから安心」と思い込まず、発送先ごとの条件を確認しておく必要があります。

2. EMSの関税はいつ・誰が支払いますか?

支払いのタイミングや負担者は、宛先国の制度によって変わるので一概には言えません。荷物が届いてから受取人が支払う国もあれば、発送前に差出人側が済ませておく国もあります。

アメリカ向けの場合、関税の事前支払いが必要な荷物ではDDPという形が取られます。荷物がアメリカに到着する前に、CBP認定事業者のアプリを通じて発送人側が関税を事前に支払います。受取人が到着時に追加で関税を請求されることはありません。これは一例で、宛先国によって支払いのタイミングや負担者が変わるため、発送前によく確認しておきましょう。

3. EMSで関税がかかるのはいくらからですか?

関税がかかる金額の基準は、宛先国や品目ごとに異なります。そのため、同じ商品でも国によって扱いが変わります。

2026年8月時点のアメリカでは、書類や個人間の贈答品なら100米ドル以下で免税になりますが、同じ金額でも販売目的の商品には関税がかかります。この基準は制度変更のたびに変わる可能性があるので、発送前に確認してください。

Ship&coでEMSの必要書類を簡単発行

書類作成は、荷物が少ないうちは手作業で問題ありません。しかし、出荷件数が増えても手入力で税関告知書やコマーシャルインボイスを1件ずつ作成していると、入力ミスや記載漏れにつながります。

Ship&coは、こうした作業を効率化する送り状発行システムです。ECサイトや配送会社のデータと連携し、注文情報を自動で取り込みます。通関書類も一括で作成できるので、手作業の工程を減らせます。

Ship&coは、CBP認定事業者であるZonosと連携して、関税の事前支払いが必要な荷物のDDPラベルをまとめて発行できます。荷物1件ごとにZonos Prepayアプリを開いて操作する必要がなくなるので、月に数十件、数百件と発送する場合は、アドバンテージが大きくなります。連携方法や設定手順は、Ship&coのヘルプページに詳しくまとめられています。

まとめ

EMSは国際郵便の扱いになるので、輸出申告は基本的に発生しません。ただし内容品価格が20万円を超える荷物や、宛先国によっては例外的な手続きが必要です。

アメリカ向けの発送は、2025年のデミニミス制度廃止をきっかけに条件が何度も見直されています。2026年8月時点では、荷物の価格帯によって関税の事前支払いやDDPラベルの要否が変わります。制度はこの先も変更される可能性が十分にあるので、発送の際は最新の条件を確認してください。