「ECサイトのAPI連携とは何のこと?」

「どんな場面でAPI連携が使われているの?」

「APIを実装するとどんなメリットがあるの?」

この記事では、こうした疑問を解決していきます。

近年ではインターネットの普及に伴い、EC市場も発達を続けています。個人でネットショップを開設する方も増えており、さまざまなECモールやプラットフォームがサービスを提供しています。そのなかで「API連携」という言葉を聞く機会も増えてきたのではないでしょうか。

そこで本記事では、API連携の概要やメリットについて、事例を交えて詳しく解説します。ECサイトのAPI連携について知りたい方や興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

ECサイトで活用されているAPIとは

ECサイトで活用されているAPIとは

APIとは「Application Programming Interface」の略称です。「Interface(インターフェース)」とは「2つのものをつなぐ窓口」という意味で、API2つのプログラムやアプリケーション、ソフトウェアを結びつける仕組みのことを指しています。

APIにはさまざまな種類がありますが、ECサイトで利用されているのは基本的に「Web API」です。Web APIとは、インターネットを通じて外部のWebサービスにアクセスする仕組みのこと。システム同士のプログラミング言語が違っていても、問題なく利用できるのが特徴です。

また、現在はREST APIがWeb APIの主流となっています。

ECサイト側がAPIを提供している場合

Web APIには、2つの提供型があります。1つはECサイト側がAPIを提供しているパターンで、このパターンでは主に以下の基幹システムと連携されています。

  • 顧客管理システム(CRM)
  • 在庫管理システム
  • 倉庫管理システム
  • 販売管理システム
  • 受発注システム

こうした基幹システムとECシステムをAPI連携することで、顧客情報や在庫情報などのデータを共有できるようになります。データの登録や取得、更新、削除といった処理作業もできるので、スムーズな運営ができるでしょう。

外部システムが提供しているAPIを利用する場合

もう1つのパターンは、外部システムが提供しているAPIをECシステムに実装する形です。

このパターンのAPI連携では、以下のシステムがよく使われています。

  • 決済システム(Amazon Pay、楽天ペイなど)
  • SNS(Facebook、Instagramなど)
  • 地図アプリ(Google Mapなど)

こうした外部システムと連携すれば、より使いやすいECサイトを構築することができます。また、このように外部Webサービスで利用されるAPIは「サードパーティAPI」と呼ばれています。

ECサイトの運営者だけでなく、顧客にとっても多くのメリットが生まれるため、売上アップや顧客満足度の向上にもつながるかもしれませんね。

ECサイトにAPIを導入する方法

ECサイトにAPIを導入する方法

ECサイトにAPIを導入するのは、あまり難しくありません。サービスによって細かな提供方法は異なりますが、基本的には次の3ステップで完了します。

  1. APIの提供元に利用登録する
  2. APIキーとシークレットキーを取得する
  3. マニュアルに沿って実装する

APIキーはID、シークレットキーはパスワードの役割を持ちます。これらはセキュリティを守るために重要な情報なので、紛失しないように注意しましょう。また実装後は動作確認を行い、正常に作動することを確認しておくと安心です。

ECサイトでAPI連携を行う4つのメリット

ECサイトでAPI連携を行う4つのメリット

ネットショップの運営自体は、APIを利用しなくても成り立ちます。ただ外部サービスのAPIを利用することで、ECサイトの機能は大きく向上するでしょう。ここではAPI連携のメリット4点をご紹介します。

メリット1.開発コストや時間を削減できる

APIを使わずにシステム連携を行うには、大規模なシステム開発が必要になります。もちろんコストや時間もかかるでしょう。

その点API連携を行うことができれば、ECサイト自体に機能を実装する必要はありません。そのため本来開発にかかるコストや時間を、大幅に削減することができます。

メリット2.誰でも簡単に導入できる

もう1つのメリットは、プログラミング知識がなくても簡単に実装できる点です。本来であれば、システム開発にはエンジニアやプログラマーなどの専門知識が必要ですが、API連携の場合は誰でも行うことができます。

加えて、仕様書さえあれば外部ベンダーへ開発依頼できる点もポイントです。通常であれば、ECシステムのベンダーしかECシステムを開発できないため、外部システムを導入するには、EC側のベンダーと外部のベンダーで協議を行う必要がありました。

その点、API連携の場合は外部ベンダーへの依頼がしやすく、リソース不足の解消と効率的なシステム開発が実現できるのです。

メリット3.自動で最新情報に更新される

連携先のシステムに変更があった際はその部分が自動で更新される点も、API連携の大きなメリットです。

たとえば両システムで同一の商品を扱っている場合、どちらかの価格に変更があれば、もう片方の価格も自動で変更されます。SNSの最新投稿をECサイトに反映させることも、容易になりますよ。

メリット4.顧客の利便性を高められる

これまでECサイトを訪れた顧客は、会員登録をするために名前やメールアドレス、決済方法などを入力する必要がありました。一方で「会員登録は利用者の負担になっている」「会員登録ページでの離脱率が高い」といった調査結果があるように、顧客にとって会員登録は大きな手間となる部分でもあります。

その点、ECサイトでSNSなどのAPIを使用している場合、顧客はその会員情報を利用してログインすることができます。するとECサイトで新たに会員登録をする必要がなくなるため、顧客の利便性が向上します。

これは新規顧客の獲得や顧客満足度の向上にもつながるため、ECサイト側にとっても大きなメリットとなるでしょう。

参考:ECサイト担当者の9割が「会員登録は利用者の負担になっている」と感じていることが明らかに! | 株式会社ジャクスタポジションのプレスリリース (prtimes.jp)

ECサイトでAPI連携を行う2つのデメリット

ECサイトでAPI連携を行う2つのデメリット

とはいえ、API連携にもデメリットはあります。ここでは2点ご紹介するので、あらかじめ対応策を考えておきましょう。

デメリット1.通信トラブルのリスクがある

API連携はインターネットを経由して行うため、稀にサーバーの不具合やデータロスなどの通信トラブルが起きる可能性があります。もしAPI提供側のサーバーに障害が発生した場合、ECサイト側で対処することは困難です。そのためトラブルが起きる前に、いざという時にどうするか考えておかなければなりません。

データロスについては、こまめなバックアップを取ることである程度回避できるでしょう。いずれもインターネットを使う以上、リスクを0にすることはできないため、適切な対処を行うことが大切です。

デメリット2.APIの提供元に依存することになる

外部システムが一般公開しているAPIを使用している場合、急にAPIの公開が中止となる等のリスクが付きものです。あるいはAPI提供側のサービスが仕様変更したことに伴い、ECサイト側のシステムに不具合が生じるケースもあるかもしれません。

提供元に依存しきっていると、こうしたトラブルに対処できなくなってしまいます。そうなるとECサイトの安定した運営が難しくなるでしょう。だからこそAPI連携のリスクを把握したうえで、対処法を練っておくことが必要です。

ECサイトにおけるAPIの使い方

ECサイトにおけるAPIの使い方

ECサイトでは、たとえば以下のようなAPIが使われます。

  • 商品検索API:楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECモールが提供。商品情報の取得ができる
  • Google Maps Platform:Google Mapが提供。ECサイト上に地図や位置情報を表示させている
  • SNS系API:Instagramプラットフォームなど。自社サイトの表示とSNSの投稿をリンクさせる
  • Message API:LINEが提供。顧客情報との連携や個別メッセージの送信などができる

私も地図が埋め込まれたサイトやSNS投稿付きのサイトを見たことがあります。これはWebサイトに地図やSNSのデータをAPI連携しているということですね。

【事例】Ship&coのAPIを利用して機能を拡張する方法

Ship&co

Ship&coは、日本国内だけでなく海外発送にも対応した出荷管理システムです。

送り状の一括発行(国内発送ではヤマト運輸、日本郵便、佐川急便、海外発送では国際郵便で最大50件まで)をはじめ、注文管理や海外発送時の送料比較など、さまざまな機能を利用することができます。ECサイトにおける出荷業務の改善に役立つでしょう。

ここではShip&coの事例をもとにして、APIを利用する方法や、API連携によって得られる効果を見ていきます。

Ship&coでAPIを導入する方法

まずShip&coでAPIを導入する手順は、以下のとおりです。

  1. Ship&coのアカウントを作成(無料)
  2. 設定ページからAPIトークンを発行する
  3. 仕様書を参考にしながら自社システムに導入する

導入後やトラブル発生時には、スムーズなサポートが受けられるので安心です。

ECシステムにAPIを導入した事例

ここでは実際にShip&coでAPIを導入した事例を2つご紹介します。いずれもAPIの導入によって課題を解決し、自社システムの機能拡張やサービスの向上につなげています。

①株式会社東田ドライ|必要な機能だけを社内システムに実装することができた

  • 抱えていた課題:複数の運送会社とのシステム連携が大変
  • API導入の効果:複数のシステムを連動できるようになった

クリーニングサービス「リナビス」を運営している東田ドライでは、元々CSVデータを用いて運送会社とのシステム連携を行っていました。ただ、複数の運送会社でシステム連携ができない点が課題でした。

そこでShip&coのAPIを導入し、自社システムにShip&coのシステム連携機能を組み込んだのです。すると課題を解決できたほか、作業の効率化につながり、人的ミスも減らせました。

既存の社内システムがある東田ドライでは必要な機能が限られていたため、一般の物流システムのサービスは過剰だったのこと。一方でAPI導入では、低コストかつ簡単に必要な機能のみを実装できたようです。

②Wismettacフーズ|他社に委託していた業務を自社システムに組み込みコストを削減した

  • 抱えていた課題:伝票発行を外部委託するためにコストがかかる
  • API導入の効果:自社システムから伝票発行ができるようになりコストが削減できた

Wismettacフーズでは外部に伝票発行を委託しており、その分コストがかかっていました。そこでShip&coの出荷APIを導入し、自社システムに伝票発行の機能を実装。伝票発行の委託にかかっていた年間約300万円のコストを削減することができたのです。

Wismettacフーズは海外にも商品を発送していたため、越境ECにも対応できるShip&coの導入を決めたとのこと。業務の内製化だけでなく、社内システムの一本化にも成功しています。

ECサイトにAPI連携は欠かせない!活用して利便性を高めよう

ECサイトにAPI連携は欠かせない!活用して利便性を高めよう

本記事ではネットショップを運営している方向けに、API連携の概要やメリット、実際の事例について解説してきました。API連携によってECシステムの機能拡張や改善ができるうえ、顧客にとっての利便性が高まるのも嬉しいところですね。

ただしAPIの提供先に依存しすぎず、トラブル時の対応策を考えておくことも大切です。API連携をうまく活用することで、より良いECサイトを構築しましょう。

送り状発行システムShip&coはAPI連携にも対応

送り状発行システムのShip&coは、出荷作業の改善につながるAPIソリューションの一つです。

API連携によって自社システムの機能を拡張し、業務効率を高めることが可能。国内・国外問わず多数の運送会社と連携させることで、2クリックで送り状の発行ができるようになりますよ。

利用プランは、1件あたり税込 33円の従量課金プランや送り状の発行件数に応じて複数設定のある定額制の月額割引プランがあり、初期費用は一切かかりません。導入コストを抑えられるので、気軽に始められるでしょう。

新規アカウント登録から最初の14日間は無料トライアルも可能なため、気になる方はぜひお試しください。

アカウントの作成はこちらからどうぞ。ご不明点がございましたら、hello@shipandco.comまでお気軽にお問い合わせください。

皆様の出荷業務がより簡単になりますよう、全力でサポートして参ります!h