日本の製造企業において、越境ECを開始しようと考えている企業が増加しています。このような場合に考慮すべき重要なことは、「越境ECの配送手段」です。

未経験の状況で調査を進めても、どの配送方法が最適かについて明確な答えが得られず、結局は前進が難しいと感じることがしばしばあります。

本記事では、そんな方々に対して、越境ECを開始する際に、配送会社の各サービスについて簡単にまとめています。さらに、越境ECにおける配送戦略も含めてご紹介します。

越境ECの配送手段

越境ECで配送業者を選ぶ前に把握すべき要点の一つは、どのような物流方法が利用可能かです。越境ECで海外に商品を発送する方法は、大まかに3つのタイプに分かれます。

  1. 自社で発送する
  2. 発送代行サービスを依頼する
  3. 現地に拠点を設けて、現地の提携事業者から発送する

今回は、「自社で発送する」場合におすすめな配送サービスをご紹介します。日本の運送会社から、海外のクーリエ(国際宅配便)サービスまでカバーします。

国際郵便

  • 国際スピード郵便(EMS)
    世界120以上の国や地域に30kgまでの書類やお荷物を送れるサービスです。国際郵便で「最優先」のサービスなので、東京から米国まで約2〜3日間かかります。また、郵便局が提供するサービスなので、海外郵便客のP.O. Boxに送りたい場合でも、便利に利用できます。
  • 国際小包
    EMSより安い方法で、30kgまでの書類やお荷物を送れるサービスです。以下の3種類の発送手段が選べます。
    ① 国際小包 航空便:飛行機で輸送するため、料金は高めですが3~6日程度でお届けすることができます。
    国際小包 船便:船便より速くお届けし、また料金は航空便よりも安く設定されているサービスで、受取人様の住所の国に届くまで、6~13日程度かかります。
    国際小包 SAL便:船で輸送を行います。1~3ヶ月と時間はかかりますが、お安い料金で輸送できます。
  • 小形包装物
    最大重量2kgまでの小形・軽量の物品をリーズナブルに送ることができるサービスです。国際小包のように航空便、船便、エコノミー航空(SAL)便の3つの発送方法があります。また、通常の小形包装物のほか、オプションサービスとして書留サービスを利用できます。書留サービスは、郵便物の受け取りと配達を記録し、もしも郵便物が損傷したり届かない場合に特定の損害補償範囲内で実際の損害を補償するサービスです。
  • 国際eパケットライト:配送状況を追跡サービスにより確認できるSAL便扱いの小形包装物(2kgまでの小形物品)で、配達の際は受取人の郵便受箱に配達するサービスです。
    2023年10月3日現在、お取り扱いを一時停止しています。

国際eパケットサービスは、2023年9月30日(土)をもって、廃止されました。

佐川急便 飛脚国際宅配便

佐川急便が提供している「飛脚国際宅配便」は、220以上の国や地域に配達するサービスです。こちらは、法人向けのサービスであり、個人が利用できる地域は制限されています。個人でのご利用は佐川急便のお客様コード(顧客コード)を取得済みの方に限ります。

運賃は細かく分かれており、実際の重量を0.5kg単位で計算する仕組みです。飛脚国際宅配には、小さなアイテムや書類を送るための便利な以下の2つのサービスがあります。

  • スモールパーセル(ビジネス小包)
  • ドキュメントクーリエ(ビジネス文書)

ヤマト運輸

佐川急便が提供している「国際宅急便」は、世界の国々へ贈り物や商品等を送る場合に利用できる海外向けの宅急便です。地域によって協力会社「UPS」が配達を担当する場合があります。日本から東南アジアへ送る場合、通常、3〜5日間かかります。アメリカへ送る場合、4〜6日間かかります。国際郵便EMSの方が届くのが早いです。

DHL

DHL Expressは、ドイツに本社のある国際輸送物流会社です。FedExやUPSなどと並ぶ、世界的に高い知名度を持つ運送会社で、EC事業者のみではなく、多くのビジネスが海外発送のオプションとして利用しています。EC事業者がよく利用しているDHLのサービスは、以下の3つに分けられています。

  • DHL Express Worldwide:書類・非書類を220以上の国・地域へスピーディに配達するサービスです。書類から貨物まで、幅広く対応しており、1梱包あたり70kg以内、運送状1枚あたり3,000kg以内の貨物が対象です。
  • DHL Express 12:00:正午12時までに、専用の業務体制で書類・非書類を確実に配達するサービスです。
  • DHL Express 9:00(アメリカ合衆国は10:30):朝9時/10時30分までに、専用の業務体制で書類・非書類を確実に配達するサービスです。配達が保証時間を過ぎた場合、一定の条件の下、返金制度がございます。1梱包あたり30kg以内、運送状1枚あたり300kg以内の貨物が対象です。

そのほか、EC事業者のニーズに合わせるように多くのオプションサービスも提供しています。詳しくは、こちらをご参考ください。

FedEx

FedExは、アメリカに本社のある国際輸送物流会社です。世界220以上の国と地域に向けて国際輸送サービスを提供しています。

  • FedEx International First:世界各地への通常配達日数が1~3営業日以内であるサービスです。
  • FedEx International Priority Express:日本からアジア(香港、タイ、シンガポール、オーストラリア)、米国、カナダ、ヨーロッパの特定地域へ1〜3営業日で午前10時30分または正午までに荷物をお届けするサービスです。
  • FedEx International Priority:220以上の国と地域へ当日の最終配送時間までに配送されるサービスです。
  • FedEx International Connect Plus:2021年から提供されているB2Cビジネス向けのサービスです。このサービスでは、よりコスト効率的に1〜5営業日以内に海外へ発送することができます。
  • FedEx International Economy:お急ぎでない貨物を手頃な価格で発送するサービスです。通常、主要地域への配送は2〜5営業日かかります。営業終了時間までに荷物が届くサービスです。

また、68kgを超える場合、FedEx Freightサービスを利用できるので、あらゆるEC事業者のニーズを対応することができます。

UPS

UPSは、世界220以上の国や地域でサービスを展開する世界最大の宅配事業者です。FedExと同様にアメリカに本社のあるクーリエ便です。発送から最短1日でのスピーディーな配送も、大きな特徴の一つです。

  • UPS Worldwide Express Saver(ワールドワイド・ エクスプレス・セイバー)
    書類や貨物を、世界200ヵ国以上の国と地域へ1~3営業日で届けるサービスです。
  • UPS Worldwide Express(ワールドワイド・ エクスプレス)
    ギャランティつき時間指定配達サービスです。「時間指定配達」というのは、指定された配達時間がUPSの条件や制限で決まっている仕組みで、宛先の国ごとに異なります。午前10:30、昼 12:00、午後2:00、午後3:00までに配達いたします。
  • UPS Worldwide Express Plus(ワールドワイド・ エクスプレス・プラス)
    3営業日で平日午前(最速8時)に荷物をお届けするサービスです。
  • UPS Worldwide Expedited(ワールドワイド・ エクスペダイテッド)
    緊急度の低い貨物向けの経済的な配送オプションで、最短3~5業日、終業時間までに配達するサービスです。

DHL、FedEx、UPSのようなクーリエの特徴の一つは、それぞれ自社で飛行機を所有していることです。国際郵便の場合、ANAなどの航空会社の貨物スペースを借りています。このため、コロナなどの緊急時で航空便が制限されると、サービスが一時的に停止され、海外への荷物発送ができなくなる可能性があります。

⋱ 複数の運送会社を導入⋰

越境ECを始める際、自社に最適な配送パートナーを見つけることと送料のコストを抑えることが重要です。ただし、コストを安くする面だけだと、配送スピードが遅くなったり、追跡ができなくなったり、色んな配送課題に繋がるので、自社に最適な配送パートナーを選ぶ際には、注意する必要があります。

そこで、海外によく採用する配送戦略を紹介していきたいと思います。それは、「Multi-carrier shipping strategy」です。EC店舗の荷物を配送する際、複数の運送会社を利用し、出荷することを意味します。

この戦略を導入すると、さまざまな配送オプションとサービスを活用できる一方、サービスの中断が発生した場合のバックアップオプションも提供できます。また、複数の運送会社と取引することで、より良いレートの交渉に繋がり、最良の料金を確実に得ることができます。

また、そんな送料比較作業を簡単に実施したい事業者は、送り状発行システムShip&coが提供している「送料比較機能」をぜひ利用してみてください。


送り状発行システムShip&coとは?

Ship&coは、EC事業者が出荷業務において直面する課題を解決するために開発された送り状発行システムです。シンプルで使いやすいWebアプリならびに出荷APIを開発・提供しており、Webアプリでは、EC店舗の注文情報を自動的に同期してFedEx、UPS、DHL、ヤマト運輸、佐川急便などでの出荷に必要なラベルを簡単に作成することができます。Ship&coを使うことで、煩雑な手作業を省くことができ、出荷業務の効率化と正確性の向上を実現できます。

アカウントの作成はこちらからどうぞ。ご不明点がございましたら、hello@shipandco.comまでお気軽にお問い合わせください。

皆様の出荷業務をより簡単になりますように全力でサポートして参ります!