「ECサイトで化粧品を販売するのは難しい?」
「化粧品ECで成功するにはどうしたら良い?」
「化粧品ECの成功事例を参考にしたい」
この記事では、こんなお困りを解決していきます。
近年ではネットショッピングの利用者が多くなり、個人のECサイトを運営する方も増えてきました。なかにはECサイトで化粧品の販売を考えている方もいるでしょう。
ただし化粧品ECには大きな課題があり、EC化率も伸びていません。やみくもに化粧品ECを始めても、うまくいかない可能性が高いのです。
そこで本記事では、化粧品ECを成功させるための方法を6つご紹介します。化粧品ECの市場規模や課題についても解説するので、ぜひご一読ください。
化粧品EC(コスメEC)の現状

EC(Electronic Commerce、電子商取引)とは、インターネット上で物の売買を行うことです。つまり化粧品ECとは、インターネット上で化粧品の売買を行うこと。化粧水や乳液などの「基礎化粧品」、ファンデーションやアイシャドウなどの「メイクアップコスメ」等を扱います。
化粧品・コスメECの特徴は、定期購入につながりやすい点です。自分に合った商品が見つかれば、それをリピートして購入する消費者が多いのです。
ただし化粧品は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の対象であるため、商品の表示や広告の内容には注意しなければなりません。誤解を招く表現や誇大広告などは薬機法違反となり、罰金や懲役を科せられる可能性があります。
化粧品ECは売上アップやコスト削減につながる
ECサイトで化粧品を販売するメリットは、機会損失が減り、売上アップが見込める点。店舗での販売と違って営業時間はありませんし、消費者がどこに住んでいても商品を届けることができます。
また実店舗を運営する場合と比べて、コストが抑えられるのもメリットです。たとえば家賃や水道光熱費等の固定費、受付スタッフ等の人件費を削減できますし、開業時の初期投資も大きく減らせます。
そして定期購入ができる点も、ECならではの特徴です。リピーターが増えれば長期的に売上を確保できるので、大きなメリットといえるでしょう。
化粧品市場のEC化率はあまり高くない
経済産業省のデータによると、化粧品・医薬品において2023年のEC化率は8.57%にとどまっています。EC市場規模を見ても、化粧品・医薬品の分野は他分野と大きな差があります。
- 食品、飲料、酒類:2兆9,299億円
- 生活家電、AV機器、PC・周辺機器等:2兆6,838億円
- 衣類・服装雑貨等:2兆6,712億円
- 書籍、映像・音楽ソフト:1兆8,867億円
- 化粧品・医薬品:9,709億円
2020年頃は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、化粧品の需要が低下していました。近年は需要が回復してきたものの、化粧品ECの市場規模とEC化率はあまり伸びていません。
化粧品業界はEC化の難易度が高いことがわかりますね。
出典:令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
化粧品業界のEC化における3つの課題

化粧品のEC化率を高めるに当たって、課題となるのは主に以下の3点です。
- 実店舗で買う人が多い
- 販売チャネルが多い
- Webマーケティングが難しい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
課題1)実店舗で買う人が多い
化粧品を買う際に、実店舗を選ぶ方は多いです。実店舗のメリットは、実際に商品を試すことができる点。化粧品によって色味や使い心地が異なるため、インターネット上で自分に合う商品を探すのはなかなか難しいですよね。その点実店舗なら、自分の目で確認できるため安心です。
またデパートの化粧品売り場であれば、美容部員からのアドバイスが受けられるというメリットもあります。化粧品の選び方やメイク方法など、細かい相談ができるのも心強いでしょう。
一方でドラッグストアにはプチプラコスメが売られており、送料がかかるECより安く買えるケースも多いです。このようにメリットが大きいため、実店舗で化粧品を買う方が多いのです。
課題2)販売チャネルが多い
化粧品には販売チャネルが多い点も、EC化が進まない要因の一つです。たとえば主なチャネルには、以下が挙げられます。
- 実店舗(ドラッグストア、百貨店、コンビニ など)
- 訪問販売
- 通信販売(カタログ、テレビ など)
実店舗での化粧品販売は、利便性が高く価格も手頃という魅力があります。訪問販売は、スタッフと相談しながら商品を選べるため失敗しにくい点がメリット。育毛剤など人前で買いづらい商品には、通信販売も便利です。
販売チャネルが多いのは悪いことではないものの、EC化を進めるうえでは大きな課題となります。
課題3)Webマーケティングが難しい
近年の化粧品業界は、競争が激しいレッドオーシャン市場となっています。資生堂やコーセー、花王など資金力のある大手企業が多いため、広告費が高騰しているのが大きな特徴です。
以前の化粧品業界では、アフィリエイトサイトを活用したマーケティングが盛んでした。これはアフィリエイターに口コミ記事を書いてもらい、そこからECサイトへとつなぐ手法。実際にこの方法で成果を上げていた企業も多いです。
ただ、数度にわたってGoogleのアルゴリズムが変更された結果、アフィリエイトサイトは検索結果の上位に表示されにくくなりました。そしてSEO対策がしづらく、Webマーケティングの難しい分野になったのです。
化粧品・コスメECを成功させるためのポイント6選
化粧品ECを成功させるには、課題を乗り越える工夫が必要です。ここでは6つの方法をご紹介します。
- オンライン接客:ユーザーの疑問を解消して購入率を上げる
- バーチャルメイクサービス:オンライン上でメイクを試して安心感を高める
- SNSの活用:口コミや情報拡散を狙う
- インフルエンサーマーケティング:ブランドの認知度と信頼感を高める
- ユーザーレビューの充実:ユーザーが商品を選ぶ際の参考になる
- 越境ECへの参入:国外市場へと拡大する
扱う商品やターゲット層によって、適する方法は異なります。まずは自社のターゲット層を分析し、ニーズに合った方法を選んでくださいね。
①オンライン接客

オンライン接客とは、店舗と同等の接客をオンライン上で行うこと。店舗に行かなくてもスタッフからアドバイスをもらえる、あるいは相談できることから、購入率アップにつながります。
オンライン接客には、主に3つのツールがあります。
- ポップアップ型:ユーザーごとに表示される広告や案内
- チャット型:無人チャットと有人チャットがある
- ビデオ型:Zoomなどのビデオ通話ツールを使用。オンラインカウンセリングなどに有効
詳しく見ていきましょう。
1)ユーザーへの訴求力が高い「ポップアップ型」
ポップアップ型のツールは、ユーザーの閲覧履歴や購買履歴などのデータをもとに、パーソナライズされた案内や広告を表示するものです。ユーザーのニーズや好みに合った商品が提示できるので、訴求力が高いのが特徴です。
また自分に合った情報が出てくることで、ユーザーの満足度も高めることができるでしょう。
2)ユーザーの疑問解決に役立つ「チャット型」
チャット型のツールでは、チャットを通じてユーザーの疑問や困りごとを解決します。チャットツールを使うことで、電話やメールよりも効率よく対応できます。
チャットツールには、スタッフが対応する有人型とAIが対応する無人型のチャットボットがあります。チャットボットは業務効率化に大きく貢献しますが、ユーザーの悩みによっては解決できない場合もあるかもしれません。そんな時はスタッフにつなぐなどの工夫ができると良いですね。
3)店頭レベルの接客ができる「ビデオ型」
近年はZoomなどのビデオ通話ツールを活用して、直接スタッフとやり取りできるサービスも増えています。店頭と同じレベルでの接客ができるので、ECサイトでの購買率アップにつながります。
たとえばオルビスにはオンラインカウンセリングがあり、誰でも無料でビューティーアドバイザーへの相談が可能。商品の使い方や購入前の疑問点などを、スムーズに解決できます。商品の使用感や色味なども、詳しく伝えられるでしょう。
デジタル診断コンテンツも増加している
スタッフによる接客とは少し異なりますが、デジタル診断コンテンツも増加しています。これはECサイト上で肌悩みや生活習慣等に関する一問一答を行い、ユーザーに合った商品をおすすめするサービスです。
なかにはAIによる肌解析を行っているサービスもありますよ。
②バーチャルメイクサービス
近年増えてきているバーチャルメイクとは、AI技術を活用してメイクを施した姿を確認できるサービスです。CANMAKE TOKYOや資生堂など、さまざまなメーカーに導入されています。
使い方も簡単で、自分の顔写真をアップロードし、気になるコスメを選択するだけ。複数の色をまとめて比較できる点も、バーチャルならではの良さといえます。
化粧品は人によって似合うもの、似合わないものがあります。オンラインで商品を買ったものの、「使ってみると似合わなかった」という苦い経験のある方もいますよね。
その点バーチャルメイクを導入すれば、こうした事態を避けられます。ECでも安心して化粧品を購入できるでしょう。
③SNSの活用

化粧品を選ぶ際に、ユーザーの口コミを参考にする方は多いでしょう。口コミサイトなどを利用する方もいますが、最近ではSNSを使って情報収集する方も増えています。つまり化粧品ECにとって、SNSは絶好のマーケティングの場なのです。
SNSの大きな特徴は、情報拡散がしやすい点。この点を活かせば、次のような使い方ができます。
- ユーザーに役立つ情報を発信する
- ユーザーの感想を紹介する
- キャンペーンの告知をする
特にInstagramにはショッピング機能が搭載されており、投稿から直接その商品を購入することも可能です。たとえばRMKはショッピング機能やライブコンテンツなどを活用し、効果的に情報を発信しています。
④インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーとは、SNSで多くのフォロワーを抱えており影響力の強い人物のこと。そしてインフルエンサーマーケティングとは、その影響力を活用して自社商品のPRに使うことです。
化粧品のインフルエンサーマーケティングでは、写真や動画などで商品の特徴やメイク前後の変化などを伝えることができます。インフルエンサーを通じてリアルな使用感が伝わるので、ユーザーの安心感や共感を得られるのです。憧れのインフルエンサーがおすすめしていることで、購買意欲が高まる方もいるでしょう。
DiorはInstagramでインフルエンサーを活用した投稿を行い、多くの「いいね」やインプレッションを獲得しています。
⑤ユーザーレビューの充実

上述のとおり、化粧品を買う際にユーザーレビューを確認する方は多いです。レビューを読むことで商品の使用感がイメージできたり、自分に合う商品が選びやすくなります。そのため購買意欲の向上にもつながるでしょう。
たとえばDECENCIAは、レビュー・口コミ・Q&Aエンジンの「ZETA VOICE」を導入し、ユーザーに役立つレビューを表示する工夫をしています。公式ページにレビューを表示するほか、SNSなどでレビューを紹介するのも効果的です。
ただし化粧品のレビューにおいては、薬機法や景品表示法に抵触しないよう留意しなければなりません。必要に応じてレビューを編集するなどの工夫が必要です。
⑥越境ECへの参入
日本の化粧品は世界的にも信頼性と需要が高いです。そのため国内市場だけでなく、海外市場に目を向けても良いでしょう。越境ECでターゲット市場を大きく広げられれば、売上アップも見込めます。
現地のニーズに合った商品であれば、爆発的に人気が出るケースもあります。たとえばFujikoの「フジコポンポンパウダー」は、中国の天猫国際で大きな話題となり、一時生産が追い付かないほどの人気となりました。ほかにも越境ECで成功している企業は多くあります。
ただし越境ECは、発送に時間やコストがかかる点がデメリット。Ship&coなどの送り状発行システムを使って、出荷作業を短縮できると良いですね。
化粧品ECの成功事例
化粧品ECを行っている企業は多いですが、ここでは成功事例を3つご紹介します。いずれも大手企業ではありますが、企業の規模を問わず参考になる部分があるはず。気になる方は、実際の公式ページも確認してみてくださいね。
1)資生堂|国内外で認知度の高い老舗メーカー

引用:資生堂オンラインストア(旧 ワタシプラス)
- マス広告とデジタル広告を融合した
- 登録者限定の特典を提供している
- 公式ページの利便性が高い
資生堂はクレ・ド・ポーやマキアージュ、アネッサなどさまざまなブランドを提供している老舗の化粧品メーカーです。大きな特徴は、マス広告とデジタル広告を融合して認知度を上げている点。テレビCMと動画広告を併用することで、アプローチできない層をなくしているのです。
また資生堂のオンラインストアには、「Member’s+」というサービスがあります。登録者限定でポイント還元、送料無料などの特典を用意し、リピーター獲得につなげています。
そして資生堂のECサイトは、ユーザーの利便性が高い点が構築ポイント。肌悩みに合ったトピックやキャンペーン情報が手に入るほか、オンラインカウンセリングも受けられます。
2)ファンケル|化粧品販売サイトのなかでもランキング上位

引用:【無添加】化粧品の通販|ファンケルオンライン
- 日常生活に取り入れやすいアプリを開発した
- LINE公式アカウントで定期的に特典を配信している
- オウンドメディアを通じてファンを増やしている
ファンケルはクレンジング・洗顔料など、基礎化粧品の評価が高いメーカーです。化粧品ECのなかでもトップクラスの売上額を誇ります。
独自アプリ「FANCLメンバーズ」は、Google Playで★4.5(2024年1月時点)という高評価。買い物に加えて天気予報や肌予報、診断コンテンツなどの内容も充実しています。
またLINE公式アカウントを友達追加すれば、キャンペーン情報やお得な特典をいち早く手に入れられます。プッシュ通知も送れるので、リピーター獲得に効果的です。
オウンドメディアの「FANCL CLIP」では、化粧品情報だけでなく、ママパパ向けの情報やレシピ、占いなども配信。ファンの増加に役立っています。
3)花王|化粧品と家庭用品の人気が根強い

引用:家庭用品・化粧品通販 | 花王公式通販【My Kao Mall】
- ユーザーの口コミを効果的に活用している
- スタッフとユーザー間のコミュニケーションがとりやすい
- アジアを中心とした越境ECに取り組んでいる
花王は、KATEやCurelなどを提供しているメーカーです。ECへの参入時期は決して早くはありませんでしたが、効果的なデジタルマーケティングで結果を出しています。
特徴の1つが、ユーザーの口コミをうまく活用している点。たとえば口コミを参考にユーザーニーズをつかみ、それをプロモーションに活かしています。
スタッフによるライブ配信をはじめ、Webサイト上や会員限定イベントなどでもユーザーとの交流機会を作っているのもポイントです。コミュニティサイトのQ&Aコーナーなどは、多くの人が参考にしています。
さらに越境ECに向けた取り組みも進行中。国やブランドの特徴に合わせたマーケティングを進めています。
マーケティングを工夫して化粧品のECサイトで成功しよう
本記事ではECサイトで化粧品・コスメの販売を考えている方に向け、化粧品・コスメECの課題や市場規模、成功ポイントなどを解説しました。現在のところ、化粧品・コスメのEC市場規模はさほど大きくありません。実店舗で購入する人も多いですし、大手の競合企業も多いです。
ただし効果的なマーケティング手法を取り入れることで、新規顧客の獲得やリピーターの増加を狙うことは可能です。特に化粧品業界はSNSやインフルエンサーとの相性が良いので、うまく活用できると良いですね。オンライン接客やバーチャルメイクサービスなど、最新技術を取り入れるのも有効です。
ご紹介した成功事例も参考にしながら、化粧品ECを成功させましょう。
出荷作業を効率化するならShip&co
ECサイトを運営するうえで大変なのが、商品の出荷作業です。規模が大きくなるほど出荷作業にかかる労力が増え、時間が足りなくなるケースも珍しくありません。そんな時におすすめなのが、EC向けの出荷管理システム・Ship&coです。
Ship&coを使えば、最短2クリックで送り状発行ができるので、出荷作業にかかる時間を大幅に短縮できます。一度に最大50件の送り状を発行できるうえ、同時にECサイトのステータス管理も可能。AmazonやeBay、Shopifyなど、連携できるECプラットフォームも多いです。
またAPIを提供していて、社内システムに組み込める点も特徴です。サポート体制も整っていて安心ですよ。
越境ECを検討している方にもおすすめ
越境ECを行う際のデメリットは、発送コストが高くなること。その点Ship&coなら運送会社ごとに送料比較ができるため、可能な限り発送コストを抑えられます。DHLやFedEx、UPSなど、複数の海外運送会社と連携できますよ。
さらに電子インボイスにも対応しており、ペーパーレスでの出荷も可能。ユーザーからも「伝票作成の手間が減った」「手順的には1/10くらいになった」という声が出ています。発送コストだけでなく、発送時間も削減することができるでしょう。