ヤマト運輸の国際宅急便とは?料金や送り方、追跡方法を解説
ヤマト運輸の国際宅急便は、追跡機能付きの国際配送サービスです。料金体系や送れないもの、配送日数などを詳しく解説します。
EC事業者にとって、配送手段は売上や顧客満足に直結するため、信頼性やコスト、手続きのしやすさなどを踏まえて比較する必要があります。
ヤマト運輸の国際宅急便は、国内で培った実績と利便性を活かした海外向けサービスです。しかし、国内配送との違いや料金体系、送り方が分かりづらいと感じる方もいるでしょう。
この記事では、ヤマトの国際宅急便の特徴から、EMSとの違い、料金の仕組み、発送手順、配送日数、追跡方法まで解説します。さらに、利用時のメリットや注意点もお伝えしていきます。
ヤマト運輸の国際宅急便とは
ヤマト運輸の国際宅急便とは、海外の個人や法人宛に荷物を届けられる国際配送サービスです。世界200以上の国や地域に対応しており、贈答品からビジネス用途の荷物配送まで幅広く利用されています。
一部対象外の国や地域もあるものの、対応エリアの広さは大きな強みで、比較的短期間で届くのも特長です。越境ECで配送を行う事業者には、有力な選択肢といえるでしょう。
EMSとの違い
ヤマト運輸の国際宅急便とEMS(国際スピード郵便)は、どちらも海外へ荷物を送る手段ですが、サービスの性質が異なります。EMSは日本郵便が提供しており、世界各国の公的な郵便事業者と連携して運営されています。
一方、ヤマトの国際宅急便は民間のクーリエ(国際宅配便)型サービスで、国際的配送業者UPSなどとの提携により海外配送網を構築しています。通関手続きの代行や配送スピード、追跡精度の面で、国際宅急便が有利となる場面も多いようです。
特に商業貨物の取り扱いや関税処理において、クーリエ型の柔軟性は大きなメリットとなります。ただし、料金体系や対応国の違いもあるため、用途に応じた選択が重要です。
ヤマト運輸の国際宅急便の料金体系

ヤマト運輸の国際宅急便では、料金は送り先の国・地域と荷物のサイズ・重量によって決まります。
例えば、アメリカ向けに80サイズ(3辺合計80cm以内・5kgまで)の荷物を送る場合、2025年10月時点での配送料は6,300円です(変動あり)。送り先によって料金は大きく異なり、またサイズが規定を超える荷物は送れません。発送前にこれらの条件を確認しておくとよいでしょう。
国際宅急便の料金体系はシンプルですが、関税などの追加費用が発生する可能性もあるため、総額でコストを把握する必要があります。
送り先
ヤマト運輸の国際宅急便は、世界200以上の国・地域に対応しており、4つのゾーンに分けられています。
国別の詳細は、こちらのページで確認可能です。
ただし国によって条件は異なり、特に個人宛ての荷物については書類以外を送れない国が存在します。送付先ごとの制限や条件を理解したうえで発送計画を立てることが重要です。
2025年10月現在、以下の国では、依頼主または受取人が個人の場合、書類以外の荷物は取り扱い不可となっています。
・アジア:中国、フィリピン、モンゴル、インド
・北米・中米:カナダ、メキシコ
・南米:アルゼンチン、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ
・ヨーロッパ:ポルトガル、ロシア
・中近東:カタール、サウジアラビア
国際情勢により変更される可能性があるため、詳細は最新情報を確認してください。
参考:ヤマト運輸 国際宅急便
サイズ・重量
国際宅急便では、荷物のサイズと重量に応じて料金が設定されており、規定を超える荷物は発送できません。サイズは縦・横・高さの3辺合計で、最大160サイズ(160cm以内・25kgまで)まで送れます。区分は以下の通りです。
書類パックは、書類のみを送る際に利用可能です。
参考:ヤマト運輸 国際宅急便は、どのようなサービスですか?料金はいくらですか?
関税等諸費用
国際宅急便では、配送料のほかに関税や各種手数料が発生する場合があります。これらは原則として受取人に請求され、UPS社の規定に基づく費用も加算されることがあります。代表的な諸費用は以下の通りです。
・関税消費税等特別手数料:税関で関税や消費税の支払いを代行した際に発生する手数料
・申告料:税関が徴収する場合がある申告関連費用
・禁制品手数料:輸入禁止品目を誤って送った場合の処理費用
・内容点検料:税関で開封検査が行われた際の検査費用
・保管料:追加書類の提出待ちなどで発生する保管費用
・追加通関手数料:申告品目数が一定数を超えた場合の追加費用
・その他:国や品目により異なる追加費用が発生する可能性あり
金額は国・地域・品目によって異なり、事前に正確な金額を把握するのは難しいといえます。
参考:ヤマト運輸 国際宅急便
ヤマト運輸の国際宅急便で送れないもの
ヤマト運輸の国際宅急便では、各国の法令や国際規則に基づき、送れない品目が多数定められています。各国共通禁止品の代表的な例は以下の通りです。
各国共通禁止品の例:
・食品:酒類、生鮮食品、肉製品、乳製品、健康食品、生米など
・動植物:植物、種・土、生きた動物、毛皮、象牙など
・危険物:スプレー、香水、磁石、漂白剤、ライター、刃物など¥
・電子機器:リチウム電池・乾電池を含む製品など
・その他:現金、有価証券、パスポート、医薬品、たばこ、貴金属、美術品など
食品は多くの国に送れませんが、加えて、国ごとに独自の規制もあります。例えばアイスランド・イタリア・ガーナなどにはギャンブル機器、ケニアには商用フィルム・文房具・BL(船荷証券)なども送ることができません。
これらの情報は2025年10月時点のものであり、国際情勢や法令改定により変更される可能性があります。詳細は下記のヤマト運輸の公式サイトをご確認ください。
参考:ヤマト運輸 国際宅急便で送れないもの
参考:ヤマト運輸 国際宅急便国別ガイド
ヤマト運輸の国際宅急便の送り方

ヤマト運輸の国際宅急便を利用する際は、送れる品目や送り先の規制を事前に確認し、必要な書類を準備します。ここでは、確認方法と送り状・インボイスの作成について解説します。
1. 送れるものか確認する
海外へ荷物を発送する際は、まず送れる品目かどうかを確認することが重要です。国際宅急便では、前述の通り、世界共通で送れないものが決まっており、国ごとにも独自の輸入規制があります。誤って禁止品を送ってしまうと、税関で没収されたり、返送されたりする可能性もあるため注意が必要です。
発送前にヤマト運輸の公式サイトで最新の禁止品目や国別の規制品を確認し、安心して国際配送ができるように準備しましょう。
2. 送り状やインボイスなどの必要書類を準備する
国際宅急便の発送には、送り状とインボイスの準備が必要です。送り状は荷物の配送指示書で、インボイスは荷物の内容や価格が記載された書類を指します。インボイスの内容と実際の荷物が一致していないと、虚偽申告と見なされることもあるため注意が必要です。
個人の場合はインボイス付きの送り状が利用でき、英語で作成します。法人はインボイスを社内で用意するか、ヤマト運輸の公式サイトからテンプレートをダウンロードして使用します。
こうした書類作成の手間を軽減したい場合は、Ship&coなどのツールを活用するのが有効です。国際配送ラベルの作成時に、コマーシャルインボイスも同時作成されるため、記載ミスの防止や業務効率化につながります。
3. 梱包する
海外への配送では、荷物が長距離・長時間の輸送に耐えられるよう、しっかりとした梱包が必要です。箱は強度のある無地のダンボールを選びましょう。禁制品の製品名やイラストが書かれていると、中身を誤解されて通関が遅れる原因になることがあります。
また、箱の中で荷物が動かないように、新聞紙やエアクッションなどの緩衝材を使って固定することも大切です。特に精密機器など壊れやすいものは、二重梱包や防水対策を施すと安心です。梱包が不十分だと、輸送中の破損や返品のリスクが高まるため、安全性を意識した丁寧な梱包を心がけましょう。
4. 発送する
梱包と書類の準備が整ったら、発送手続きに進みます。発送前には、送り状とインボイスの記載内容に誤りがないかを最終確認しましょう。発送方法は「自宅で集荷」と「営業所持ち込み」から選べます。
なお、関税や消費税は基本的に受取人が負担するため、事前にその旨を伝えておくと、受け取り拒否などのトラブルを防止できます。
ヤマト運輸の国際宅急便のお届け日数
ヤマト運輸の国際宅急便の一般的な配送所要日数は3〜10日程度です。ただし、実際の到着日は発送先の地域・通関状況・航空機の運航状況などによって変動します。特に悪天候や現地税関が混雑している際には、予定より遅れることもあります。
アメリカ合衆国の主要都市宛ての場合、到着までの所要日数は4〜6日が目安です。日付指定はできないため、到着希望日がある場合は、それまでに届くよう余裕を持って発送しましょう。
ヤマト運輸の国際宅急便の追跡方法
ヤマト運輸の国際宅急便では、発送後に荷物の配送状況を確認するための追跡サービスが利用できます。日本国内での輸送状況は、ヤマト運輸の「荷物お問い合わせシステム」で、送り状番号(伝票番号)を入力して確認します。
通関後は、UPSによる海外輸送に切り替わるため、UPSの公式サイトでUPSトラッキング番号を使って追跡しましょう。到着まで荷物の現在地をリアルタイムで確認できるので安心感があります。
ヤマト運輸の国際宅急便のメリット
ヤマト運輸の国際宅急便は、初めての海外発送でも安心して使えるサービスです。荷物は送り状番号で追跡可能で、1件につき最大20万円(税込)の補償があるため、万が一のトラブルにも備えられます。
また、自宅まで集荷に来てもらえるため、発送の手間を大幅に省ける点も魅力です。さらに、オンラインで送り状の作成や料金の確認ができるなど、手続きの効率化にも優れています。信頼性の高いネットワークで世界各国へスピーディーに荷物を届けられる点が大きなメリットといえるでしょう。
ヤマト運輸の国際宅急便の注意点
スムーズに荷物を届けるためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。まず、インボイスには品名や価格を正確に記載しましょう。記載内容と荷物の中身が異なると、税関で止められる可能性があります。また、発送前に内容確認があるため、封をせずに仮止めの状態で持参してください。
個人・法人を問わず、発送時には写真付きの本人確認書類が必要です。インボイスに記載された氏名や法人名と照合するため、事前にしっかり準備しておきましょう。
まとめ
ヤマト運輸の国際宅急便は対応エリアが広く、料金体系も明確な海外配送サービスです。追跡機能や補償制度も備えられ、初めての海外発送でも安心感があります。スムーズに配送するためには、送り状やインボイスを正確に記載し、丁寧な梱包を心がけましょう。
発送手続きは、ツールを活用すればより効率的に進められます。ヤマト国際宅急便のアカウントをShip&coと連携すれば、一括で送り状の作成とコマーシャルインボイスの自動生成が可能です。業務の効率化と正確でスピーディな発送実現に向けて、ぜひご活用ください。