DHLとは?契約手順や発送方法、集荷依頼のやり方などを解説

DHLとは、独自のネットワークを活用して世界中へ配送を行う国際物流企業です。発送方法や集荷依頼のやり方、利用時の注意点を解説します。

DHLとは?契約手順や発送方法、集荷依頼のやり方などを解説

海外への荷物発送を検討している際に、DHLという名前を耳にすることも多いでしょう。DHLは国際物流企業として世界的に有名ですが、実際にどのような会社なのか、どうやって利用すればよいのか分からないという方もいるのではないでしょうか。

この記事では、DHLの基本情報から契約手順、発送方法まで詳しく解説します。集荷依頼や利用時の注意点についても紹介していきます。

DHLとは

DHLとは、ドイツに本社を置く国際物流企業で、世界220以上の国や地域に配送網を持つクーリエ(国際宅配便)サービスを展開しています。特に越境ECの配送に強く、書類から小型荷物、大型貨物まで幅広く対応しています。迅速な通関手続きや豊富な配送オプションも提供しており、航空便を中心に短期間での輸送が可能です。

企業だけでなく個人でも利用でき、利便性の高い追跡サービスや時間指定配達などが揃っています。世界的に認知度が高く、国際ビジネスの信頼できるパートナーとして多くの事業者に選ばれています。

対応地域

DHLは世界220以上の国・地域に配送網があり、国際物流ネットワークの規模では業界でもトップクラスです。アジア、ヨーロッパ、北米、中南米、中東、アフリカの主要な配送先を網羅しています。

主な対応地域例

・アジア・太平洋地域
日本、中国、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、インド、オーストラリア、ニュージーランド

・ヨーロッパ地域
ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、スイス、オーストリア、ロシア、ポーランド

・北米・南米地域
アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、チリ

・中東・アフリカ地域
アラブ首長国連邦、サウジアラビア、南アフリカ、ケニア、エジプト

DHLは各地域に配送ネットワークを構築し、安定した配送サービスを提供しています。

DHL Expressのサービス

DHL Expressは、集荷から通関手続き(輸出・輸入)、航空輸送、最終的な配達に至るまで、すべての工程をDHLが担う包括的な国際輸送サービスです。世界220以上の国と地域に対応し、ビジネスから個人利用まで幅広くカバーします。配送スピードや対応荷物によって複数のプランがあり、以下の表のような特徴があります。

サービス名

特徴

Express Worldwide

書類から貨物までを220以上の国へ配達。1梱包70kg以内、運送状1枚あたり1,000kgまでに対応。

Express 9:00/10:30/12:00

書類や荷物を指定時間までに配達。遅れた場合、条件を満たせば返金される制度あり。

Express Envelope

300gまでの書類を専用封筒で発送。環境に配慮した輸送サービス「GoGreen」を利用。

Express Easy

全国約170カ所のサービスポイントを利用した持ち込み海外発送サービス。

DHLの料金は、荷物の重量やサイズ、発送元と宛先の距離、サービス内容によって変動します。DHLの国際輸送では、重量は「実重量」と「容積重量」の大きい方で計算されます。

容積重量は、縦(cm) × 横(cm) × 高さ(cm) ÷ 5,000 の式で求めた数字です。

支払いは、定期利用の場合、クレジットカード払いや請求書払いができます。1回のみ利用する場合は、現金またはクレジットカードによる支払いとなります。

さらに、荷物に合わせ、保険や配達オプションなどを選択できるのも魅力です。

参考:荷物の追跡はこちら┃discover
参考:DHL Expressサービス┃discover
参考:DHLのご利用をお考えの方へ┃discover

関連記事:DHLのサービスガイド:EC事業の物流ニーズに合わせた最適な選択肢

DHLのメリット

以下に、DHLを利用するメリットをまとめました。

・迅速で信頼性の高い配送
自社保有の280機以上の専用航空機と220を超える国・地域を結ぶ国際輸送ネットワークにより、納期厳守が求められる越境ECや緊急輸送にも対応可能。

・信頼性の高い追跡サービス
リアルタイムで荷物の追跡が可能なため、顧客に安心感を与え、問い合わせやトラブルを減らすことができます.。

・環境に配慮した輸送
持続可能な航空燃料(SAF)を使用することで、二酸化炭素排出量を削減する輸送サービスを提供しています。

・柔軟で便利な発送
全国27のサービスセンターと約80のサービスポイントに荷物の持ち込みが可能。無料のオンラインシッピングツール「MyDHL+」でクレジットカード決済を選択した場合は、日本郵便のレターパックを使って、最寄りの郵便局やポストから手軽に発送することもできます。

参考:会社概要┃discover

DHLの契約手順

DHLを利用するには、法人または個人事業主としての契約が必要です。契約プロセスは大きく3つのステップに分かれており、審査を経て正式にサービスを利用できるようになります。

1. アカウントの開設

まずはDHL公式サイトからアカウント開設の申し込みを行います。ページ内の「DHL Express アカウント開設」ボタンをクリックし、氏名・メールアドレス・会社名など必要事項を入力します。その後、登録確認メールが届くので、記載されたリンクから申し込みフォームに進み、事業内容や発送予定の荷物に関する情報を入力しましょう。

個人事業主の場合は、開業届の提出も必要です。入力内容に誤りがないか確認したら送信し、これで申請が完了します。なお、この時点では審査前なので、利用はまだできません。

2. DHLの担当者と相談

アカウント開設申請後、DHLの担当者から電話またはメールでヒアリングが行われます。質問内容は、会社情報や発送する荷物の種類、発送予定の国、発送頻度や過去の実績、販売サイトのURLなどです。できるだけ具体的かつ正確に伝えることが契約成立のポイントです。

メールの場合は、DHLから専用の記入フォームが送られてきます。内容の誤記やリンクミスがないよう細心の注意を払いましょう。

3. 契約書を締結

ヒアリング後、審査に通過すると、DHLより料金プランや契約書類が送られてきます。条件を確認し、問題なければ必要事項を記入・押印して返送しましょう。その後、DHLから決済設定に関する案内メールが届くので、クレジットカードや銀行口座の情報を登録してください。

決済設定が完了すると、数日以内に正式なアカウントが発行され、DHLの国際配送サービスを利用できるようになります。契約手続き自体はシンプルですが、書類の不備や返送遅れで開始日が遅れることもあるため、迅速かつ丁寧に進めることが大切です。

 DHLの発送方法

DHLで発送する際は、集荷依頼までの一連の流れを押さえておくと後がスムーズです。ここでは初めての方でも迷わず進められるよう、梱包資材の選び方から集荷後の追跡方法まで、3つのステップに分けてご紹介します。

1. 梱包資材の選定

DHLには無料の専用封筒や複数サイズの梱包ボックスが用意されています。安全に配送するために、段ボールは波板状のものを使用し、壊れ物や重量物は2、3層の段ボールを使用するのがおすすめです。強度が落ちている可能性があるため、段ボールの再利用は避けましょう。

発送物は箱の中央に配置し、箱の側面や底面、角から6cm以上の間隔を確保します。中で動かないように、緩衝材を詰めて隙間を埋めましょう。複数商品は個別包装し、仕切り板などで固定すると安心です。

箱を閉じる際は圧着テープを使ったH字貼りが基本です。箱の合わせ目と縁をすべて封止することで、輸送中の開封や破損を防げます。

国際配送では、しっかり梱包することが配送トラブルの回避に直結するため、資材選定と作業手順をしっかり確認しておきましょう。また適切な梱包は、輸送中のダメージ防止だけでなく、通関手続きのスムーズ化にもつながります。

参考:DHL Express Easy | サービスポイントからお得に海外発送┃discover

 2. 発送ラベルの作成

梱包が完了したら、送り状を作成します。DHLの「MyDHL+」では無料で作成可能です。

発送ラベルには配送先・差出人の情報、出荷情報などを入力します。「MyDHL+」ではインボイスも同時に作成されるので、品目の詳細情報は正確に記載しましょう。最後にラベルを印刷して荷物にしっかり貼付します。

送り状作成時に、Ship&coを利用すれば、「MyDHL+」同様、国際配送ラベルと同時にコマーシャルインボイスが自動生成されます。コマーシャルインボイスは通関時に必要となる重要な書類です。作成時は品目や数量を正確に記載し、税関での遅延を防ぎましょう。

 3. 集荷依頼

発送準備が整ったら、「MyDHL+」またはカスタマーサポートへの電話で集荷依頼を行います。希望日時を伝えると集荷スタッフが訪問し、その場で発送ラベルをスキャンして手続き完了です。

集荷後は、追跡番号が発行され、DHL公式サイトで配送状況を随時確認できます。荷物の現在地から配達予定日まで詳細な情報が提供されるため、受取人への連絡や配達スケジュールの調整も容易に行えます。

参考:荷物の追跡はこちら┃discover

DHLを利用する際の5つの注意点

積まれた段ボール

DHLを利用する際は、発送前にルールを理解し、荷物がスムーズに届くよう準備することが大切です。ここでは利用前に押さえておきたい注意点を解説します。

送れないものを確認する

DHLでは、航空法などで発送が禁止されている品目は送れないことになっています。主な禁止品は以下の通りです。

・生きた動物全般(哺乳類・鳥類・魚類・昆虫類など)
・はく製、象牙、サメのヒレ、動物由来で輸入禁止の製品など
・人骨(遺体・遺灰含む)
・貴金属地金、現金、貴石や半貴石の裸石
・銃器・弾薬・爆発物(レプリカ類含む)など
・麻薬や大麻などの違法薬物
・その他、DHLが不可と判断したもの

また、禁制品は国や地域の法律によっても異なります。発送前にDHL公式サイトで禁止・制限品目を確認し、税関での差し止めや返送、破棄を避けましょう。

参考:DHL Express 禁制品目┃discover

荷物の梱包をしっかりする

海外輸送は距離も長く、積み替えも多いため、国内便以上に厳重な梱包が必要です。段ボールは新品または強度のあるものを使い、内部には緩衝材を詰めて品物が動かないようにします。特に壊れやすい品物は緩衝材で包み、外部の衝撃から守りましょう。

送り状(必要に応じて印刷したインボイスも)はしっかりと貼付されているか、剥がれる心配がないかどうかも必ず確認しましょう。適切な梱包を行えば、輸送中の破損リスクを最小限に抑え、良好な状態で荷物を届けることができます。

関税に気を付ける

海外発送では、送付先の国が定める免税範囲を超えると関税がかかる場合があります。特にDHLのようなクーリエは通関チェックが厳格に行われる傾向があるため、関税が発生しやすい点には注意が必要です。

通常、関税は受取人が支払う仕組みとなっていますが、DHLでは事業者側があらかじめ関税を支払う「関税前払い」(DDP)を選択することができます。この方式を利用すれば、関税が理由で受取を拒否されるリスクを抑えられるでしょう。

また、関税発生の可能性については、購入者に事前に知らせておくことが重要です。商品ページだけでなく、販売後に送信するメールにも記載しておくと、トラブルの発生を未然に防げます。

返送料が別途かかる

海外発送では、関税に驚いた受取人が受け取りを拒否するケースがあります。この場合、荷物は返送されますが、その費用は発送人が負担することになります。返送料に加え再輸入税がかかるため、費用が高額になることも少なくありません。また、返送には発送時の割引が適用されないと考えた方が良いでしょう。

高い返送料を避けるためには、受取人への事前案内を徹底し、受け取り拒否が起きないよう工夫することが大切です。現地倉庫で一時保管し、別顧客へ再発送するのも有効な手段です。

発送に必要な書類を確認する

海外への発送には送り状やインボイスが必須ですが、内容物や発送先によって追加書類が求められる場合があります。

書類不備は税関での保留や返送の原因となり、配送の遅延や追加費用につながります。発送前にDHLの公式サイトやカスタマーサービスで必要書類を確認し、正確に準備することがスムーズな国際配送の第一歩です。

DHLについてよくある質問

海外発送が初めての方や、DHLの利用を検討している方からよく寄せられる質問をまとめました。箱や梱包の条件、国際郵便との違いなど、事前に知っておくとスムーズに利用できるポイントをご紹介します。

1. DHLで送る箱はなんでもいいですか?

DHLでは、必ずしも専用の箱を使用する必要はなく、市販の段ボールや自作の箱でも利用できます。ただし、輸送に耐えられる強度と安全性が求められます。薄手のものや劣化した段ボールは避け、できるだけ新品か状態の良いものを使用しましょう。

また、サイズや形状は配送規定内に収める必要があり、内容物に合わせて緩衝材を入れることも重要です。DHLの拠点や公式サイトで梱包のガイドラインを確認すれば、安心して発送準備が進められます。

2. DHLと郵便の違いは何ですか?

DHLは国際宅配便サービスを提供する民間企業で、専用航空機や独自ネットワークを活用し、世界各国へスピーディーに荷物を届けます。

一方、日本郵政が提供する国際郵便(EMSなど)は、各国の郵便ネットワークを利用して配送します。国際郵便は小型貨物や書類に便利ですが、配送スピードはDHLより遅い場合があります。

迅速さや追跡精度を重視する場合はDHL、コストを抑えて気軽に送りたい場合は国際郵便が向いています。

3. DHLでビニールポケットがなくても荷物を送れますか?

DHLで海外発送する際は、運送状やコマーシャルインボイスなどの必要書類をビニールポケットに入れ、荷物の上部に貼り付けるのが基本です。ビニールポケットがなければ、集荷時にDHLドライバーへ依頼すれば用意してもらえます。

佐川急便が集荷を担当する場合は、透明封筒に必要書類をまとめて入れ、しっかり封をしてから荷物の上部に固定します。複数の箱を送る場合は、それぞれの箱に運送状を貼り付け、メインの箱に原本と必要書類を貼付することで、通関がスムーズに進みます。

4. My DHL+とは何ですか?

「My DHL+」は、DHLが提供する無料のオンライン配送管理ツールです。発送ラベルや通関書類の作成、送料の見積もり、集荷依頼、荷物追跡などの機能をまとめて利用でき、発送業務を効率化できます。

初回利用時に登録すれば、2回目以降はログインするだけでスムーズに利用できます。集荷予約や運送状の作成が短時間で済み、配送の進捗確認も簡単にできるため、国際配送の業務効率を大幅に向上させられます。

5. DHLとEMSのどちらがいいですか?

DHLは国際宅配便の独自ネットワークを持ち、最短で海外に荷物を届けられるのが強みです。時間指定や細かい追跡が可能で、ビジネスや急ぎの発送に適しています。

一方、日本郵便が提供する国際郵便サービスEMSは、料金が比較的安く、小型の荷物や書類を手軽に送るのに向いています。費用を抑えたい場合はEMSが便利ですが、配送速度や追跡精度ではDHLに劣ることがあります。用途や優先条件に応じて選ぶと良いでしょう。

まとめ

DHLは国際輸送のスピードに優れ、世界を結ぶネットワークにより迅速に荷物を届けられるのが特徴です。関税の事前支払いや時間指定など柔軟なサービスも魅力で、高い信頼を得ています。

オンラインツールの「My DHL+」はインターネット上で出荷書類の作成から集荷依頼、発送状況確認まで必要な手続きができて便利です。ただし、DHLに特化しているため、他の配送会社には利用できません。

Ship&coなら複数の配送業者を一元管理でき、DHLや日本郵便、FedExなどさまざまなサービスから最適な配送方法を選択できます。発送履歴の一括管理や自動化機能により、海外発送業務の効率化を大幅に実現できるでしょう。