物流におけるAPI連携で自動化できる作業やメリットを解説

物流の現場では、追跡番号の転記、配送状況の照会、在庫データの突き合わせなど、地味な手作業に思いのほか時間がかかるものです。単純な作業でも件数が増えればミスが起きやすくなり、対応にも時間を要します。API連携はこうした反復作業を自動化する手段として、物流業界で活用されています。

本記事では、自動化できる業務の範囲、メリット・デメリット、代表的なAPIの種類を解説します。

API連携とは

API(Application Programming Interface)とは、異なるシステム同士をつなぐコネクターで、システム間の「共通言語」のような働きをします。APIを使って、異なるシステム同士をつなぐことをAPI連携といいます。

物流の現場では、ECサイトの受注データを倉庫システムへ送信したり、配送会社から荷物の状況に関する情報を即座に取得したりと、複数のシステムが絶えず情報をやり取りしています。これを支えているのがAPIです。

以前はCSVファイルやEDIによる、データを一定量まとめて送るバッチ処理方式が主流でした。ただ、この方法は処理のタイミングにズレが生じやすく、リアルタイムの情報反映が苦手です。APIはデータ発生と同時に送受信できるので、情報の鮮度が大きく向上します。既存システムをゼロから作り直す手間もかからず、必要な機能だけを外部から呼び出して組み込めるのも大きな利点です。

APIを使った物流管理作業の自動化

API連携を図ると、これまで手作業で行っていた物流業務の多くを自動化できるようになります。主な対象は以下のとおりです。

  • ECストアの注文データを基幹システムへ自動取り込み
  • 倉庫管理システム(WMS)への出荷指示データの自動反映
  • 配送準備完了後の問い合わせ番号(追跡番号)の自動付与
  • 商品マスタの自動更新
  • 入庫完了にともなう在庫数の自動反映
  • 出荷完了ステータスへの自動切り替え

注文が入るたびにデータをダウンロードして別システムへ貼り付ける、といった作業がなくなるだけで、1日あたりの処理時間は大きく削減できます。件数が多ければ多いほど、その差は顕著です。

こうした自動化を物流領域で実現するツールの1つが、Ship&co APIです。配送ラベルの発行や追跡情報の取得、注文ステータスの更新などをAPI経由で操作でき、自社システムや外部サービスとの連携もできます。

物流におけるAPI連携のメリット

API連携によって得られる恩恵は、多岐にわたります。ここでは、導入によって得られる具体的なメリットを整理しました。

業務効率化によるコストの削減

受注処理や在庫更新、ラベル発行などの定型業務は、自動化の効果が出やすい領域です。特に件数が増えてきた場合、API連携を導入すれば大きな効果を実感できるでしょう。手作業が減れば、ミス対応や残業にかかっていた時間が減り、こうした積み上げがコストを着実に減らしていきます。

手作業で処理していた業務をAPIで自動化すると、そこに割いていた人員をほかの仕事へ割り振れます。浮いたリソースを新規顧客の開拓やサービス改善に充てられるようになるのも、自動化のメリットのひとつです。

自動化によるヒューマンエラー防止

人間の判断力や集中力には限界があり、ミスをゼロにはできません。作業に人の手が加わる限り、ヒューマンエラーは避けて通れないといえるでしょう。ミスを減らすには、作業を自動化できるシステムを導入し、人が関わる場面を減らすのが有効です。

API連携ならシステム間でダイレクトにデータ通信ができるので、手作業を最低限に抑えられます。CSVの手動アップロードやEDIのバッチ処理と異なり、情報がリアルタイムでアップデートされるので、タイムラグによる在庫ズレや誤出荷も防ぎやすくなります。

サービス品質と顧客満足度(CS)の向上

APIを活用すると、発送通知や追跡情報の通知を自動化できます。配送状況の問い合わせは、物流を扱う上で避けて通れない業務です。しかし顧客からの問い合わせを待つのではなく、進捗をこちらから能動的に通知すれば、問い合わせ自体を減らせます。

また、通知を自動化すれば、手間が省けるだけでなく情報の正確性も担保でき、購入体験の向上が期待できます。サービスの質を上げながらコストを抑えられるのは、API連携の大きなメリットです。

物流におけるAPI連携のデメリット

API連携は効率や正確性など多くのメリットがありますが、注意が必要なポイントもあります。

連携先の企業の影響を受ける

API連携はシステムを接続して運用するので、連携先のシステムに不具合があると自社システムも影響を受けるリスクがあります。他社のシステムの問題のため、対応は難しく、場合によっては復旧に時間がかかることも想定しておかなければなりません。その際は業務が停止することも考えられるので、API連携だけに依存するのは避けたほうが無難です。

セキュリティ対策が必要になる

APIを利用したシステム連携でも、セキュリティ対策は欠かせません。外部と接続する性質上、サイバー攻撃を受ける危険性は常に存在します。

不正アクセスを受けてAPIキーやシークレットキーなどのセキュリティ情報が漏洩し、データの改ざんや情報流出が起きると、信頼の失墜や大きな損害につながります。OAuth2.0(ユーザーがパスワードを使うことなく、別のアプリがデータにアクセスすることを認可する仕組み)などの対策を導入して、常に最新のセキュリティ水準を保つことが大切です。

自社にデータがたまりづらい

API連携は基本的に外部の機能を利用するので、自社にデータが蓄積しにくい側面があります。やり取りされるデータは、対策を行わなければ社内のサーバー上に自動保存されません。

また、外部ツールに依存しすぎると、内製化する際の開発力や運用スキルが社内で育ちにくくなります。

物流業界の代表的なAPIの種類

物流領域で活用されるAPIは、大きく配送業者、ECプラットフォーム、送り状発行システムの3種類に分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

配送業者のAPI

国内の主要配送業者も、独自のAPIを提供しています。例えば、ヤマト運輸の「配送連携API」は、フリマやEC、買取サイトなど向けに設計されたAPIです。送り状を作成しなくてもQRコードをかざすだけで発送でき、コンビニやPUDOステーション(オープン型宅配便ロッカー)など全国41,000拠点以上から荷物を出せます。匿名配送も可能で、発送者と受取人が個人情報を開示することなく配送が完結するのもポイントです。

佐川急便の「スマートAPI」は、ECサイトと佐川急便のシステムを連携させ、注文情報から配送状況までをEC管理画面内で一元管理できるプラットフォームです。購入者がECサイト上で配達日時の変更や配送状況の確認もでき、問い合わせ件数の削減と顧客満足度の向上を同時に目指せます。再配達の削減にも効果が期待できるでしょう。

ECプラットフォームのAPI

ECプラットフォームのShopifyはAPIを幅広く提供しており、物流システムとの連携用途でも活用されています。

GraphQL Admin APIを使えば、商品情報、注文データ、顧客情報、在庫状況などの管理画面上のデータを外部システムから操作できます。また、倉庫管理システムや配送ツールとの接続も可能です。アプリストアで公開されているサードパーティのアプリも、多くがこのAPIを使って構築されました。

なお、他にREST Admin APIもありますが、現在はレガシー扱いになっています。開発者向けの現行標準はGraphQL Admin APIなので、新規で連携を構築するなら、こちらを選ぶべきでしょう。

送り状発行システムのAPI

配送ラベルの発行や追跡番号の取得を、ECサイトや基幹システムから直接操作できるようにするのが、送り状発行システムのAPIです。

Ship&co APIは送り状の発行が自動化できるサービスで、API連携が可能です。ヤマト運輸や佐川急便など複数の配送業者をカバーしており、業者を使い分ける際の管理の手間を削減できます。手作業でラベルを印刷していた工程をシステム上の操作で完結できるので、自動化の入口としても使いやすいサービスです。

株式会社オープンロジのAPI連携の事例

物流フルフィルメントプラットフォーム「オープンロジ」を運営する株式会社オープンロジは、Ship&co APIを導入して複数配送業者との連携開発を効率化しています。

オープンロジの課題は、配送業者ごとにAPI仕様が異なり、1社ずつ連携を構築するのに膨大な開発工数がかかる点でした。仕様確認をするだけでも時間を取られ、テスト作業まで含めると、サービス拡張のスピードに開発が追いつかない状況でした。

Ship&co APIは複数の配送業者の仕様を一つのAPIに集約しているので、個別に連携を構築する必要がありません。RESTful形式で設計されており、オープンロジのエンジニアが扱いやすい仕様だった点も導入の後押しとなりました。

結果として実装コストとテスト工数の両方を削減でき、佐川急便やDHL Expressなど国内外の配送業者との連携を実現しています。新たな配送業者を追加する際も、Ship&co API経由であれば手間を大幅に省けるでしょう。

関連記事:オープンロジ:Ship&co APIの活用で物流システム開発時間の短縮を実現

物流におけるAPI連携についてよくある質問

ここでは、API連携の導入に関する質問で、よくあるものをまとめました。

1. 配送APIとは何ですか?

配送APIとは、配送業者のシステムと自社のシステムを接続するためのインターフェースです。利用すると、配送ラベルの発行、追跡番号の取得、配送状況の確認といった処理を、自社システム上で行えます。

各配送業者が独自のAPIを提供しており、ヤマト運輸の「配送連携API」や佐川急便の「スマートAPI」がよく知られています。ただ、業者ごとに仕様が異なるので、複数社と連携しようとすると開発の手間が増える点には注意してください。Ship&coのような送り状発行システムのAPIを介せば、複数の業者をカバーできて便利です。

関連記事:配送APIとは?導入事例やメリットをくわしく紹介!

2. API連携にかかる費用はいくらですか?

必要な費用の金額は一概にはいえません。API連携の費用は、「導入時の開発費用」と「連携後の利用料」の2つに大別されます。導入時の開発費用は、システムの規模や既存環境との相性、内製か外注かによって大きく変わります。シンプルな連携であれば比較的低コストで済む場合もありますが、複数システムをつなぐ構成になると相応の費用が必要です。

連携後は、接続先サービスの月額利用料が継続的に発生します。ちなみに、Ship&coの料金の詳細は公式の料金ページに掲載されています。

まとめ

物流におけるAPI連携は、手作業の反復業務を自動化し、ヒューマンエラーを減らしながらコストと品質を改善できる方法です。配送業者やECプラットフォーム、送り状発行システムなど、連携できる対象は幅広く、業務フローに合わせて組み合わせを選べます。

一方で、連携先のシステム障害の影響を受けるリスクやセキュリティ対策の必要性など、導入前に把握しておくべき注意点もあります。メリットとデメリットを整理した上で、自社の課題に合った連携先を選びましょう。