アメリカのHTSコードとは?HSコードとの違いや調べ方を解説

輸出入業務に携わる中で、「HTSコードの調べ方がよくわからない」と感じる方もいるのではないでしょうか。アメリカへの輸出では、正確なコードの選定が関税額や通関手続きに直結するため、HTSコードの理解が欠かせません。

この記事では、HTSコードの仕組みやHSコードとの違い、さらに調べ方のポイントを解説します。加えて、関税計算や規制確認などにおけるHTSコードの重要性にも触れていきます。

HTSコードとは

HTSコードとは、アメリカで使用される関税分類番号です。HTSは「Harmonized Tariff Schedule」の略で、日本語では「統一関税率表」と呼ばれます。HTSコードは輸入品の種類や用途に応じて分類され、越境ECの関税を正しく計算するために欠かせません。

HTSコードは国際共通の6桁のHSコードを基に、アメリカ独自の細分類や統計目的の情報を加えた10桁で構成されています。例えば「軽量小型テント」の場合、前半6桁がHSコード、後半4桁がアメリカ特有のものです。以下の表に数字の意味をまとめました。

桁数

内容

例(軽量小型テント:6306.22.10.00)

前6桁

HSコード(国際共通)

6306.22(テント、合成繊維製のもの)

7〜8桁目

アメリカ独自の細分類

10(軽量小型テント)

9〜10桁目

管理目的や統計用

00(特定用途)

HSコードとの違い

HSコードのHSは「Harmonized System」の略で、世界税関機構(WCO)が定めた国際共通の分類コードです。輸出入される物品を6桁で分類しており、世界中の国で使用されています。

一方、HTSコードはこのHSコードに、アメリカ独自の細分化したコードを追加したものです。違いを整理すると次のようになります。

特徴

HSコード

HTSコード

使用範囲

グローバル

アメリカ

桁数

6桁

8〜10桁

分類の基準

国際標準の分類

アメリカ独自の分類

使用場面

世界各国の輸出入申告時に使用

アメリカへの輸入申告時に使用

HTSコードの重要性

HTSコードは単なる分類番号にとどまらず、アメリカへの輸入ビジネスにおいて多面的な役割を果たします。関税計算や通関手続きなど、実務での重要性を具体的に確認していきましょう。

関税の計算

HTSコードは、アメリカに商品を輸入する際の関税額を決定するために使用されます。コードによって品目が分類され、それぞれに定められた税率が適用される仕組みです。

例えば、「衣類」と一口に言っても、素材や用途によって分類コードが異なり、それに応じて関税率も変動します。仮に誤ったコードを使った場合、本来より高い関税を支払うことになったり、逆に過少申告と見なされて追徴課税を受けたりするリスクもあります。

アメリカではこの分類が厳密に管理されており、税関による審査も非常に厳格です。トラブルを防ぐために、正確なコードの確認と適用は欠かせません。

関連記事:日本からアメリカへの関税はいくらから?関税率の調べ方も解説

通関手続き

アメリカ税関では、HTSコードを参照して輸入品の検査や分類が行われます。コードが正確であれば、通関はスムーズに進みますが、誤りがあると追加の書類提出や検査が必要になることもあります。

特に越境ECでは、1回の発送に複数の異なる商品を含む「少量多品種」のケースが多く、それぞれの品目に適したHTSコードの記載が必要です。分類を誤ると、税関が内容を把握できず、通関の遅延につながる可能性があります。

品目ごとに正しいコードを割り当てることで、通関手続きが円滑に進み、物流の停滞を防ぐことができます。

規制確認

HTSコードは、アメリカでの輸入に際して規制対象かどうかを判断するためにも使われます。特定の品目には、安全基準や環境規制に基づいた輸入許可などが必要な場合があり、HTSコードをもとに該当するルールが適用されるかどうかを確認できます。

例えば、食品や医療機器などは、FDA(米国食品医薬品局)による審査が必要なケースもあり、HTSコードを用いて効率的に確認を行えます商品がどの規制に該当するかを事前に把握し、必要な申請や登録を済ませておくことで、輸入拒否や遅延のリスク回避が可能です。

貿易統計データの収集と分析

HTSコードは、アメリカ政府が輸入品の動向を把握するための統計データの基礎として活用しています。品目ごとの分類が明確なため、輸入量や金額、取引国などの情報が体系的に蓄積されます。これらのデータは一般に公開されており、越境EC事業者もオンラインで確認可能です。

例えば、ある商品の輸入量が急増していれば、需要の高まりや市場の変化を読み取る手がかりになります。HTSコードを通じて得られる統計は、商品選定や販売戦略の立案にも役立ち、通関番号としての役割を超えた価値を持っています。

HTSコードの調べ方

HTSコードを見つけるには、製品の詳細を正確に把握することが重要です。まず、名称や用途、素材、機能などを確認しましょう。そのうえで、アメリカ国際貿易委員会(USITC)が提供するHTS検索サイトを使って分類を絞り込みます。

HTS検索ツール(USITC公式)

検索バーに商品名(英語)やコードを入力すると、該当する分類が一覧表示されます。以下は、表示される内容の例です。

ノートパソコンで検索した場合

項目

内容例

Heading/ Subheading

8471.30.01

Stat Suffix

00

Article Description

Portable automatic data processing machines, weighing not more than 10 kg, consisting of at least a central processing unit, a keyboard and a display

Unit of Quantity

No.

Rates of Duty

1 General / Free

   Special /  –

2 35%

これを見るとノートパソコンのHTSコードは8471.30.01.00で、日本から輸入する場合、関税はかからないことがわかります。

HTSコードに関する注意点

アメリカ向けに商品を輸出する際、HTSコードの記載ミスは通関遅延や追徴課税につながります。ここでは、選択時に注意すべきポイントを解説します。

正確に設定する

関税や消費税を正しく支払うためには、インボイスや通関書類にHTSコードを正確に記載することが重要です。特に2025年8月29日以降、アメリカではデミニミス制度(800ドル以下の免税枠)が廃止され、すべての輸入貨物が課税対象となりました。

この制度変更により、越境EC事業者にはより慎重な対応が求められます。Ship&coではDDP(関税込み持込渡し)方式による事前納税にも対応しており、米国向けの出荷におけるリスク軽減を支援しています。最新情報は以下のページで確認できます。 

米国向け出荷におけるDe Minimis規定廃止 (2025年8月29日以降) とDDP対応について

最新データを確認する

HTSコードは頻繁に更新される点に注意が必要です。アメリカではHTSUS(米国統一関税率表)の小規模な改訂が年間を通じて行われており、分類や関税率が変更されたり、コードの追加や削除が行われます。

USITCの公式サイトでは、最新のHTSコードと関連情報が公開されており、誰でもアクセス可能です。古い情報をもとに申告すると、誤課税や通関トラブルの原因になるため、必ず公式サイトを確認しましょう。

全ての国で対応しているわけではない

HTSコードはアメリカ独自の関税分類システムであり、全世界共通の制度ではありません。各国にはそれぞれ独自の関税コードや分類規則が存在し、同じ商品でも国によって分類や関税率が異なる場合があります。

越境ECを行う際は、アメリカ向けのHTSコード、中国版の税番、日本の輸出入統計品目番号など、国ごとの関税分類システムの違いを理解しておく必要があります。

懸念点がある場合は専門家に相談する

HTSコードは、商品ごとの細かな違いによって分類が変わるため、どのコードか迷う場面も少なくありません。特に高額商品や分類に悩む製品、規制対象となる可能性がある品目を扱う場合は、専門家に相談すると安心です。

通関業者や貿易コンプライアンスの専門家なら、実務経験に基づいた有用なサポートをしてくれるでしょう。不安がある場合は、専門家の力を借りて、確実な対応を心がけましょう。

まとめ

2025年8月、米国ではデミニミス制度が廃止され、800ドル以下の輸入品も課税対象となりました。これにより、すべての貨物に対して関税・税金の支払いと通関手続きが必要となり、越境EC事業者にはより厳密な対応が求められています。

インボイスや通関書類に誤ったHTSコードを記載すると、関税の過払いだけでなく、通関遅延や輸入拒否などのリスクにつながる可能性があるため、細心の注意が必要です。

こうした状況に対応するため、Ship&coは、アメリカ向け出荷に対応したDDP(関税込み持込渡し)機能を提供しており、最新規制への対応もサポートいたします。また、Ship&coはShopifyの「国/地域別のHSコード」に対応しているので、Shopifyの商品管理画面に登録されたHTSコードは自動連携されます。複雑化するアメリカへの輸出において、安心・効率的な物流を実現するためのパートナーとして、ぜひご活用ください。