佐川急便の飛脚宅配便とは?料金やサイズ、重さ制限を解説

配送の質が事業の信用を左右する今、サービス選びには一層の慎重さが求められています。そんな中、多くの事業者が注目するのが、佐川急便の飛脚宅配便です。しかし、料金の仕組みやサイズ制限、発送方法などで複雑な部分もあるため、詳細を把握していない場合も少なくないと思われます。

この記事では、飛脚宅配便の特徴や料金体系、発送までの流れについて詳しく解説します。利用できない荷物や割引制度、配送にかかる日数などの情報も紹介していきます。

飛脚宅配便とは

飛脚宅配便とは、佐川急便が提供している全国対応の宅配サービスです。個人・法人を問わず、幅広い荷物の配送に対応し、日常の小包から業務用の発送にまで幅広く利用されています。

佐川急便は大手の配送会社として、多様なニーズに応じたサービス展開をしており、その中心となるのがこの飛脚宅配便です。通常の宅配のほか、スキー板やゴルフバッグなどのレジャー用品の往復配送も可能で、利便性の高さが特徴です。

多様なニーズに応じた柔軟な対応が、多くの事業者に選ばれる理由といえるでしょう。

飛脚宅配便のサイズ・重量・料金

飛脚宅配便では、荷物のサイズと重さ、配送先までの距離によって送料が決まります。東京都内間の通常配達は、以下のような料金設定になっています。

サイズ(3辺計)

重量上限

料金(東京都内)

60サイズ

2kg以内

910円

80サイズ

5kg以内

1,220円

100サイズ

10kg以内

1,520円

140サイズ

20kg以内

2,180円

160サイズ

30kg以内

2,440円

なお、これらは一般向けの基本料金です。法人契約などの条件を満たせば、ビジネス向けの特別料金が適用されることもあります。割引率などの条件は契約内容によって異なるため、詳細を知りたい場合は直接佐川急便にお問い合わせください。

参考:関東発 宅配(陸・航空)料金表 通常配達│SAGAWA

飛脚宅配便以外の佐川急便のサービス

佐川急便では、基本の飛脚宅配便以外にも、荷物のサイズや配送スピード、内容物に応じた多様なサービスが用意されています。以下の表で、それぞれのサービスと特徴をまとめました。

サービス名

特徴

飛脚ラージサイズ宅配便

3辺合計が最大260cm・重さ50kgまでの大型荷物に対応

飛脚航空便

航空機での翌日配達が可能(全国対象)

飛脚ラージサイズ航空便

大型荷物の輸送にも航空機使用でスピーディーに対応

飛脚クール便

冷蔵・冷凍対応で鮮度保持

飛脚ゆうパケット便

小型荷物を郵便局経由でお得に配達

飛脚ゆうメール便

法人発送専用の郵便局経由サービス

飛脚メール便

発送者・受取人ともに法人限定のサービスで、雑誌・カタログなどを安価にポスト投函で届ける

飛脚特定信書便

請求書や証明書などの信書を安全に配送

飛脚電報便

安価な料金で電報文書を迅速に届ける

飛脚ハンガー便

衣類をハンガーごと配送し、シワを軽減

グリーンメールサービス

環境に配慮し、包装資材を削減したメール便

飛脚ジャストタイム便

翌日午前9時以降の時間指定配送が可能

これらのサービスをニーズに合わせて使い分けることで、より効率的な配送が実現できます。

参考:宅配・配送サービス一覧│SAGAWA 

飛脚宅配便で送れないもの

飛脚宅配便では、安全性や取扱いの制限から、送れないものが定められています。誤って発送しないよう、事前に確認しておくことが大切です。以下は主な禁止対象物です。

・火薬類などの危険品、不潔な物品など、他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの
・現金、小切手、株券などの有価証券
・遺骨、位牌、仏壇
・銃や刀などの武器類
・犬、猫、小鳥などの動物
・再発行が困難な書類など(受験票、パスポート、車検証類、各種チケット類)
・毒物・劇物類
・原稿やテープ、フィルムなど再生不能な記録媒体
・個人情報を含む特に慎重な取り扱いが必要なもの
・一梱包あたり30万円を超える高額品

この他にも制限されている品目があります。詳細は佐川急便の約款 第六条「引受拒絶」項目をご確認ください。

参考:佐川急便(飛脚宅配便・飛脚ラージサイズ宅配便)約款│SAGAWA

佐川急便の料金割引

佐川急便では、荷物を自分で営業所や取次店へ持ち込むと、1個につき100円の割引が適用されます。これは「持ち込み割引」と呼ばれるサービスで、送料を少しでも抑えたい方にはうれしい制度です。

適用されるのは、元払い発送時のみで、契約運賃が設定されている場合や着払いでの発送は対象外となります。持ち込み先は、佐川急便の営業所やサービスセンター、または正規の取次店です。

参考:飛脚宅配便│SAGAWA

飛脚宅配便のお届け日数

飛脚宅配便の配達日数は、発送地と届け先の距離によって異なります。通常は1〜2日で届くことが多く、遠方でも数日以内に配達されます。土日や祝日も配達を行っているため、週末に届けることも可能です。

より正確な日数を確認したいときは、佐川急便の公式サイトにある「お届けまでの日数検索」ツールを活用すると便利です。また、冷蔵や冷凍状態を保つ「飛脚クール便」を利用する場合は、配送日数が変化する場合があるため、事前に確認しておきましょう。

参考:お届けまでの日数│SAGAWA

飛脚宅配便の発送手順

飛脚宅配便を利用する際は、荷物の梱包から送り状の準備、集荷や持ち込みまでの一連の流れを把握しておくとスムーズです。ここでは発送までの具体的な手順について紹介します。

1. 荷物の梱包

発送前には、荷物が破損しないようしっかりと梱包することが大切です。段ボールは荷物の大きさに合ったものを選び、中身が動かないように隙間には緩衝材を詰めましょう。ガラス製品や精密機器などは特に注意が必要です。

また、外箱には「ワレモノ」や「天地無用」などの注意表示をすると配慮して扱ってもらえます。重量がある荷物は底抜けしないよう、しっかりとテープで補強してください。

佐川急便では内容物に合わせた梱包資材も販売されているので、必要に応じて利用するのもおすすめです。

参考:マテリアル販売サポート│SAGAWA

2. 送り状の貼り付け

佐川急便の送り状(伝票)は4つの方法で用意できます。

①【集荷時にもらう】
集荷を依頼する際、ドライバーに伝票の種類(元払い・着払いなど)を伝えれば、集荷時に持参してくれます。

②【営業所・サービスセンターで受け取る】
近くの営業所やサービスセンターへ行けば、伝票を入手できます。

③【取次店でも受け取れる】
一部の書店や店舗が取次店となっており、伝票の配布を行っています。

④【「e飛伝Ⅲ」で作成・印刷する】
佐川急便には「e飛伝Ⅲ」という、送り状を発行するWebシステムがあります。「e飛伝Ⅲ」を利用して送り状を作成すれば、自宅で印刷可能です。

さらに、マルチキャリアに対応した出荷システム「Ship&co」でも、佐川急便の送り状を簡単に発行できます。

3. 荷物の集荷依頼・持ち込み

荷物の発送には、集荷を依頼する、営業所へ直接持ち込む、の2つの方法があります。集荷を希望する場合は、佐川急便のWebサイトや電話で依頼できます。ドライバーが自宅やオフィスまで来てくれるため、重い荷物や大量発送時に便利です。

もう1つの方法は、荷物を営業所やサービスセンターに直接持ち込むことです。持ち込みの場合は1個につき100円の割引が受けられるため、お得に発送できます。営業所や取次店の場所、営業時間は佐川急便の公式サイトから確認できます。ご自身の都合や荷物の量に応じて、便利な方法を選びましょう。

佐川急便のメリット

佐川急便は、ビジネス用途の荷物輸送で高い評価を受ける、大手の運送事業者です。個人利用にも対応していますが、BtoB取引やECビジネスでの活用に適した機能やサービスが豊富にそろっています。主なメリットは以下の通りです。

・法人、企業向けの配送に特化したサービスが充実
定期的な集荷、請求書払い、専用管理システムなど、ビジネス利用に適した環境が整っています。

・大型荷物も対応可能な「飛脚ラージサイズ宅配便」
3辺合計が最大260cm・重さ50kgまでの荷物を取り扱っているため、大型荷物の発送にも便利です。

・家具・家電などの大きな商品も迅速に配送可能
通常の宅配便と変わらないスピードで配達されるため、納期重視の場面でも安心。

・全国に広がる配送ネットワーク
離島や地方エリアへの発送にも対応しており、広範なカバー力が強みです。

・受取人が個人の場合は時間帯指定サービスが利用できる
受取人が法人の場合は時間帯指定ができないものの、「飛脚ジャストタイム便」を利用することで、翌日の午前9時から30分刻みでの細かな時間指定が可能です。

こうした特徴から、コストパフォーマンスや効率性を重視する法人や、大型荷物の取り扱いが多い事業者にとって、佐川急便は使い勝手の良い配送業者といえるでしょう。

佐川急便のデメリット

佐川急便は主に法人向けの配送サービスに力を入れているため、個人利用では不便を感じることもあるかもしれません。以下が主なデメリットです。

・小型荷物ではコストパフォーマンスが劣る場合も
佐川急便の「飛脚メール便」は、小型荷物の配送には割高と感じられることがあります。たとえば300g以内であれば168円と比較的安価ですが、日本郵便のクリックポストは1kgまで一律185円で送れるため、重量のある小型荷物ではこちらの方が割安です。

また、ヤマト運輸の「ネコポス」は法人や個人事業主向けに個別契約で料金が決まるため、条件次第ではより低価格で利用できるケースもあります。

・追跡機能に制限がある
飛脚メール便にはWeb上で荷物の追跡ができるシステムがなく、配達状況を確認するには営業所への電話問い合わせが必要です。気軽にリアルタイムでの確認ができないため、利用者によっては不便さや不安を感じることもあります。

・コンビニ発送が不可
ヤマト運輸や日本郵便のようにコンビニから気軽に発送できないため、利便性の面で物足りなさを感じるかもしれません。

こうした理由から、佐川急便のサービスは個人や小規模な荷物の発送には不向きな面もあるといえます。

飛脚宅配便についてよくある質問

飛脚宅配便を利用する際によく寄せられる疑問をまとめました。

1. 飛脚宅配便はコンビニから発送できますか?

飛脚宅配便は、コンビニからの発送には対応していません。ヤマト運輸や日本郵便のように、店舗と連携している事業者とは異なり、佐川急便は法人向けの集荷や配送を重視しており、コンビニを利用した発送サービスを展開していないので注意が必要です。

2. 飛脚宅配便と宅配便の違いは何ですか?

「飛脚宅配便」は、佐川急便が提供する宅配便サービスの名称です。一方で「宅配便」は、日本郵便など、さまざまな事業者が行う荷物配送サービスの総称を指します。

なお、宅配便と混同されがちな「宅急便」は、ヤマト運輸の登録商標です。佐川急便では独自の名称として「飛脚宅配便」を使っており、これは佐川急便の宅配サービスを示すブランド名と考えてよいでしょう。

3. 飛脚宅配便の支払い方法は何ですか?

飛脚宅配便の支払い方法は、元払い・着払いの2通りがあります。それぞれ、個人と法人で使える手段が異なります。

【元払い】
・現金・クレジットカード・QRコード決済(荷物の引き渡し時に支払い)
・オンライン決済(事前登録のクレジットカードで支払い)
・法人限定の売掛(月締め請求)

【着払い】
・現金・クレジットカード・QRコード決済(受け取り時支払い
・法人限定の売掛(月締め請求)

用途や頻度に応じて最適な方法を選ぶことができ、法人・個人どちらにも対応した柔軟な支払い体制が整っています。

参考:サービス概要│SAGAWA

まとめ

佐川急便は、法人契約を中心に構築された効率的な配送ネットワークや、企業向けの多彩なサービス展開に強みを持つ運送会社です。大口荷主への対応力や全国に張り巡らされた物流網により、スピーディーかつ安定した配送を実現しています。

一方で、個人向けのサービスや利便性は限定的で、コンビニ発送の非対応など、不便に感じる場面もあるかもしれません。

送り状の発行には、佐川急便の送り状発行システム「e飛伝Ⅲ」が利用できます。また、「Ship&co」アプリを使えば、佐川急便のお客様コードを使ってスムーズに送り状の発行が可能です。国内外のEC業務を効率化したい方には、Ship&coの導入がおすすめです。