越境ECで化粧品を販売するポイント|中国発送時の注意点も解説

「越境ECで化粧品を販売したい」

「越境ECで成功するポイントが知りたい」

「中国に化粧品を送る時の注意点は?」

こんな思いを抱えている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

近年では国内・国外問わず、オンライン上で商品の売買をするEC(電子商取引)が人気です。自宅で買い物ができるうえ、海外の商品も気軽に購入できて便利ですよね。個人でECサイトを運営する方も増えています。

特に日本で越境ECを始めるなら、化粧品が狙い目です。日本の化粧品は海外でも高い人気を博しており、うまく運営できれば十分に成功が見込めます。

そこで本記事では、越境ECで化粧品を販売するポイントや、海外発送時の注意点を解説していきます。

ECを始めるなら「自社ECサイト型」か「モール出店型」

ECを始めるなら「自社ECサイト型」か「モール出店型」

そもそもECサイトには、大きく2つの種類があります。それが「自社サイト型」と「モール出店型」。どちらにもメリット・デメリットがありますが、大きな違いとしては以下の3点が挙げられます。

  • 集客力:自社ECサイト型は低く、モール出店型は高い
  • 運営コスト:自社ECサイト型は初期投資が必要、モール出店型は長期的にコストがかかる
  • 独自性:自社サイト型は出しやすく、モール出店型は出しにくい

メリット・デメリットを理解したうえで、自社に合った形を選ぶことが大切です。必要に応じて自社ECサイト型とモール出店型を併用するのも効果的ですよ。

ここではそれぞれの違いを、詳しく見ていきましょう。

1)自社ECサイト型|十分なスキルを持った企業におすすめ

自社ECサイト型とは、自社でECサイトを構築し、運営する形態です。大きなメリットは独自性が高く、他社との差別化がしやすい点。サイト構築時に初期投資をする必要はありますが、手数料がかからないため、長期的な運営コストは抑えられます。

ただしECサイトを構築するには、スキルが必要です。ECプラットフォームや外注サービスを利用する方法もありますが、その分コストは高くなるため注意してください。

また自社ECサイト型は集客の難易度が高く、マーケティング力も求められます。ブランドとしての認知度があれば早い段階でも集客が見込めますが、そうでないならECモールと同時に出店し、認知度を高めていく方法もおすすめです。

2)モール出店型|低予算・低スキルでも始めやすい

ECモールとは、Amazonや楽天市場のように、オンライン上に複数のネットショップが並んでいるECサイトを指します。ここに登録し、商品を販売するのがモール出店型です。

モール出店型は、ECモールそのものに顧客が付いている点が大きなメリットです。0からサイト構築をする必要がなく、出店が簡単なのも嬉しいところ。たとえマーケティングやECサイト構築のスキルがなくても、簡単に始めることができます。

一方で独自性を出しづらく、他社との差別化も難しい点がデメリット。また初期費用は安く済みますが、出店料や手数料がかかるため、利益率は下がります。モール出店から始め、慣れたら自社ECサイトと併用するのも良いですね。

越境ECは市場拡大中

越境ECは市場拡大中

越境ECとは、ECのなかでも海外を対象とした取引のことです。海外向けに商品を輸出するケースもありますし、海外から商品を輸入するケースも含まれます。

特に人気のある越境ECモールには、たとえば以下があります。

  • Amazon
  • eBay
  • Tmall Global(天猫国際)
  • Walmart

さらにShopifyやWooCommerce、Wixなどのプラットフォームを使えば、簡単に自社型の越境ECサイトを構築することができますよ。

越境ECの市場規模

越境ECの市場規模①

経済産業省が発表した報告書によると、世界的に越境ECの市場規模は拡大しています。今後もその傾向が続き、2027年には7.96兆$にも上る見込みです。

なかでも越境EC市場における中国のシェア率は高く、世界の51.3%中国が占めています。2位のアメリカでも19.5%であり、中国市場が圧倒的に大きいことが分かります。

越境ECの市場規模②

日本との取引額が大きいのは、中国とアメリカです。ただアメリカは日本から1兆4,798億円購入しているのに対し、中国が日本から購入している額はなんと2兆4,301億円。これは中国人が観光等で訪日した際に日本の商品を気に入り、帰国してから再購入するケースが多いことも影響しています。

出典:令和5年度 電子商取引に関する市場調査報告書(経済産業省)

【越境ECのメリット】低リスクで売上アップを狙える

越境ECには、さまざまなメリットがあります。

  • 世界的にECのニーズが高まっている
  • 販路が広がるため売上アップが見込める
  • 実店舗を構えるよりも低コスト・低リスク

日本でもECの利用率は高まっていますが、人口減少などの問題を抱えており、販路拡大には限界があります。その点、越境ECでは海外顧客が対象なので、努力次第で販路の拡大が可能。日本以上にECが広まっている国も多いため、売上アップが見込めるでしょう。

またECは実店舗と違って、家賃・水道光熱費等の固定費や、人件費を抑えることができます。そのため開業コストが少なく済み、低リスクで運営を始められます。この点も大きなメリットといえますね。

【越境ECのデメリット】発送に時間とコストがかかる

メリットがある一方で、越境ECにはデメリットもあります。

  • 送料が高い
  • 発送に時間がかかる
  • 為替変動リスクがある

海外発送は、国内発送と比べて送料が高くなります。その分商品の価格を上げても良いのですが、高すぎると売れないため、利益率とのバランスをとるのが難しいでしょう。

また発送に時間がかかるので、顧客満足度の低下も心配です。地域によっては物流が安定しておらず、スムーズに商品が配送されないこともあります。

為替変動のリスクも避けられません。越境ECでは外貨でやり取りをするため、円安や円高の影響を受けて、収支が安定しない場合があります。リスクを0にすることはできないので、変動を見越した体制づくりが必要です。

越境ECの狙い目は日本の化粧品

越境ECの狙い目は日本の化粧品

越境ECでは、日々多くの商品が取引されています。人気の高いジャンルには、たとえば以下があります。

  • アニメグッズ、マンガ
  • ゲーム
  • フィギュア、ぬいぐるみ
  • ファッション用品

日本のアニメやマンガ、ゲームは海外でも強い人気があるので、関連グッズの需要も高くなっています。また衣類や小物、バッグなどのファッション用品も取引数が多く、今後も成長していくジャンルといえるでしょう。

そして越境ECの狙い目として注目を集めているジャンルが、化粧品美容品です。化粧品・美容品は中国の天猫国際をはじめ、多くの越境ECサイトで人気の高いカテゴリーとなっています。

日本の化粧品は中国や東南アジアで人気が高い

日本には資生堂やSK-Ⅱ、FANCLなど多くの化粧品ブランドがあります。世界的に見て、日本の化粧品は品質が高く、信頼されているのが大きな特徴。無添加や無香料、アルコールフリーの商品が多く、安心して使えるのも魅力です。

なかでも高い安全性を求める中国からは強い支持を得ており、コスメグッズはもちろん、スキンケア用品や美容家電など、日々さまざまな商品が取引されています。そのほかシンガポールやインドネシアなどの東南アジア・台湾でも、日本の化粧品は高い人気を博しています。

化粧品ECを成功に導く6つの施策!|業界の課題や成功事例も紹介
近年、化粧品ECの市場規模は拡大していますが、まだまだ課題も残るところ。そこで本記事では、化粧品ECで成功するための方法を6つご紹介します。成功事例も交えて解説するので、ぜひ参考にしてください。

中国越境ECで化粧品を扱う際の留意点

中国越境ECで化粧品を扱う際の留意点

日本で越境ECを始めるなら、市場の大きい中国をターゲット国にするのは良い方法です。そのなかでも、ニーズの高い化粧品を扱いたいと考える方は多いでしょう。

実は化粧品というジャンルのなかでも、特に人気が高いのは洗顔料、化粧水といった基礎化粧品です。それに次いでニーズの高い商品が、メイクアップ化粧品フェイスケア用品など。消費者のニーズに合った商品を販売することで、売上アップにつながります。

ただ、中国向けに化粧品の越境ECを行うには、いくつかの留意点を押さえなければなりません。安心して取引を行うためにも、中国の法律に則って、必要な登録や申請を行ってくださいね。

化粧品を中国輸出する際は必要書類の提出を忘れずに

中国において、化粧品は大きく2つに分類されます。

  • 特殊化粧品:美白、シミ取り、日焼け止めなど、特定の効果があるもの
  • 一般化粧品(普通化粧品):上記に該当しないもの

それぞれ必要な手続きが異なるので、自社で扱う商品がどちらに該当するか知っておきましょう。

また化粧品は、直接肌に触れる商品です。そのため中国では厳しい規制がかけられており、いきなり販売を開始することはできません。

化粧品の販売を始める前に、NMPAへの登録・申請が必要です。

NMPAへの登録・申請とは

中国で化粧品や医療機器、医薬品などを販売するには、NMPA(中国国家薬品監督管理局)への登録・申請が必要です。審査には時間がかかるので、早めに準備しておくと安心ですね。無事に承認されれば、中国での化粧品販売を開始することができます。

ただ、商品に使われている成分によっては承認が得られない場合もあるので、必要に応じて代替成分にするなどの工夫をしてください。社内で成分チェックができない場合は、外部委託をしても良いでしょう。

ラベルの表記にも留意が必要

中国には「化粧品ラベル管理弁法」があり、日本から輸出した商品にもこの法律が適用されます。それに伴い、たとえば以下の内容をラベル表記することが求められます。

  • 製品の中国語名
  • (特殊化粧品の場合)登録証明書番号
  • (登録者が国外企業の場合)国内責任者の名称と住所
  • 製品の標準番号
  • 全成分 など

このように細かく規定されているので、日本の商品をそのまま発送するわけにはいきません。留意しておきましょう。

規定が変更になる場合もあるので注意

中国に限りませんが、政府の対応によって規定が変化することは珍しくありません。化粧品ラベル管理弁法やRF規制法などの新法律が市場に影響を与えることもありますし、反対に規制緩和の動きが見られた時期もありました。

最新の法律や日本貿易振興機構(JETRO)の情報を確認して、適切な対応をしてください。

越境ECで化粧品販売に成功するポイント

越境ECで化粧品販売に成功するポイント

化粧品の越境ECを成功させるには、3つのポイントがあります。

  • 丁寧にマーケティング活動を行う
  • 国のニーズに合わせた決済方法を導入する
  • 送り状発行システムを活用する

順に見ていきましょう。

ポイント1)丁寧なマーケティング

マーケティングには、SEO対策やコンテンツマーケティング、広告など多くの方法があります。ただし国が変われば、有効性の高い施策も異なります。

たとえば中国にはグレートファイヤーウォール(金盾)があるため、日本で中国向けのECサイトを作ってもあまり効果がありません。WeiboやWeCahtなど中国のSNSを活用するほうが、多くの消費者に情報を届けることができます。現地の情報を知ったうえで、適切なマーケティング戦略をとりましょう。

また現地のイベントに合わせてキャンペーンを打つのも効果的です。中国の独身の日(11月11日)、アメリカのブラックフライデーなど、国ごとのイベントを調査しておくと良いですね。

ポイント2)国に合わせた決済方法の導入

国によって、主流となる決済方法が違う点もポイントです。消費者の利便性を重視するなら、決済方法の選択肢として現地で主流の方法を導入しておきたいところ。消費者の利便性が高くなれば、顧客満足度の向上にもつながります。

たとえば国によって、以下のような違いがあります。

  • 中国:QRコード決済(Alipayなど)
  • アメリカ:クレジットカード、PayPal
  • シンガポール:クレジットカード

一方、日本ではクレジットカードのほかに代引きや銀行振込も使われています。ただ、この方法は海外ではあまり利用されていないため、越境ECサイトには不向きかもしれませんね。

国ごとの傾向に合わせて、適した決済方法を導入するようにしましょう。

ポイント3)送り状発行システムの活用

越境ECには、商品の発送に時間やコストがかかるというデメリットがあります。そのデメリットを解消するには、送り状発行システムの活用がおすすめです。

たとえば送り状発行システムのShip&coなら、最大50件まで送り状の一括発行が可能です。さらに注文ステータスの変更、追跡番号の連携も自動化。出荷作業にかかる時間を大幅短縮できるので、スピーディーに商品発送を進められます。

またDHLやFedExなど、海外の運送会社に幅広く対応しているのもポイント。システム上で海外運送業者の送料を比較すれば、常に最安の発送方法を選択できます。発送コストの削減にも役立ちますね。

越境ECで化粧品販売に成功した事例

ここでは実際に越境ECで化粧品を販売し、成功した企業事例を3つ挙げます。

  • 資生堂:国内でも有名な老舗化粧品メーカー
  • G.O.ホールディングス:メンズコスメブランドやジェンダーレスコスメブランドを展開
  • かならぼ:プチプラコスメとしてヒット商品も多い

3社に共通しているのは、現地の状況に合ったマーケティングをしている点。ターゲット国を絞った戦略をとったり、言葉の違いに配慮した対応をとったりと、参考になる部分があるでしょう。

①株式会社 資生堂

SHISEIDO | Skincare, Makeup & Fragrance

引用:SHISEIDO | Skincare, Makeup & Fragrance

  • 中国を中心としたマーケティング施策で売上を伸ばした
  • 公式ホームページは多言語対応している

老舗の化粧品メーカーである資生堂は、アネッサやアクアレーベル、マキアージュなどさまざまなブランドを展開しています。日本国内でもシェア率が高く、知名度も抜群です。

資生堂は中国の天猫国際を利用して売上を伸ばしており、中国国内での認知率も高いです。WeiboやWeChatなどのSNSを活用したインフルエンサーマーケティングでも、高い成果を上げました。

資生堂の公式ホームページは、英語や中国語のほか、ブラジル語やイタリア語、スペイン語など多言語に対応しているのも特徴。現在では中国やアメリカにも主要事業所を構えています。

②株式会社 G.O.ホールディングス

メンズコスメNULL(ヌル)公式サイト

引用:メンズコスメNULL(ヌル)公式サイト

  • 消費者と丁寧にやり取りをした
  • 大型セールの機会を活用した

G.O.ホールディングスは、メンズコスメブランド「Null」を展開している企業です。男性向けの日焼け止めクリームや化粧水など、スキンケアグッズを中心に扱っています。

Nullが越境ECで成功した理由に、消費者との丁寧なやり取りが挙げられます。問い合わせに回答する際はニュアンスの違いが出ないよう配慮したり、商品の説明はネイティブな表現も取り入れたりと、細かい部分まで工夫しています。

またG.O.ホールディングスではShopeeを使っており、年に4回の大型セールの機会を有効活用。セールをきっかけにリピーターを増やしつつ、売上増につなげました。

③株式会社かならぼ

【公式】Fujiko(フジコ)

引用:【公式】Fujiko(フジコ)

  • フジコポンポンパウダーで一点突破する戦略を立てた
  • 情報の拡散が売上アップを後押ししている

かならぼはFujikoやMENCOS、GALLZなどのブランドを展開していて、プチプラコスメとして多くの部門で1位をとっています。SDGsに対する意識を高く持っており、地球にやさしいパッケージや資材を利用しているのも特徴です。

かならぼは中国展開する際に、主力商品の一つである「フジコポンポンパウダー」の一点突破という戦略をとりました。結果としてKOLを活用したマーケティング施策がうまくいき、爆発的なヒットを記録したのです。

さらに中国の消費者から情報が拡散されていき、自然とほかの国での売上アップにもつながりました。

越境ECでは化粧品のニーズが高い!うまく取り入れよう

本記事では越境ECを始めようと考えている方に向け、越境ECのメリット・デメリットや成功ポイントを解説しました。越境ECの市場規模は年々拡大していますし、今後もその傾向は続くでしょう。海外発送は大変な部分もありますが、うまく導入できれば売上アップが見込めますよ。

特に狙い目となるジャンルは、化粧品の販売です。日本の化粧品は海外でも信頼されており、中国や東南アジアを中心に大きな注目を集めています。ただ越境ECで化粧品を販売するに当たっては注意点もあるので、事前に確認しておくことが大切です。

化粧品の越境ECには成功事例も多いので、参考にしてくださいね。化粧品の販売を通して、越境ECを成功させましょう。

Ship&coを使えば越境ECの出荷業務を効率化できる

送り状発行システムShip&co

化粧品に限らず、海外に商品を発送する際は、発送にかかる時間やコストが問題です。発送に時間がかかると顧客の不満につながりますし、発送コストが高いと利益率が下がってしまいます。

そんな時に役立つのが、送り状発行システムのShip&co。煩雑な出荷業務を効率化し、作業時間のおよそ9割を削減することができます。Webアプリとして利用しても良いですし、API連携すれば自社システムに組み込むことも可能です。

ユーザーからは「伝票作成の手間が省け、出荷ミスが減った」「困った時は日本人スタッフに対応してもらえる」といった声が出ています。

Ship&coの基本情報

  • 料金プラン:
    • 月額割引プラン:1,100円(税込)/月~ ※複数の設定あり、ご利用件数に応じて設定件数を選択
    • エンタープライズプラン:要問合せ ※月に5,000件以上発送する方向け
  • 対応ECプラットフォーム:Amazon、eBay、Shopify、WooCommerce など
  • 対応運送会社:ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便、DHL、FedEx、UPS など

Ship&coは海外の運送会社とも連携できるうえ、送料の比較見積もりも可能です。常にお得な運送会社を選べるので、発送コストを抑えられますね。

Shopifyを使っている方には、Shopifyアプリもおすすめです。ぜひShip&coを活用して、スムーズに越境ECを始めましょう。