配送管理システム(TMS)とは?導入メリットや選び方、おすすめサービスも紹介
昨今、少子高齢化による労働力の不足に加え、ドライバーの時間外労働が年間960時間に制限される「2024年問題」によって、物流の滞りが懸念されています。
EC等の拡大により宅配すべきものは増加する一方でドライバーの稼働可能時間が制限される中、配送管理システム等でのデジタル化による業務改善が必要な状況です。
本記事では、配送管理システムとは?というところから、システムの導入によって得られるメリット、選び方などを解説します。
実際の配送管理システムの例も挙げていますので、選定の参考にしてみてはいかがでしょうか。
配送管理システム(TMS)とは?
配送管理システム・輸配送管理システム(TMS:Transportaion Management System)とは、「商品を工場や倉庫から出荷して、お店や消費者の手元に届けるまで」の輸配送業務を効率的に管理するシステムです。
具体的に、配送管理システムでは、配車の計画や車両の追跡など、配送に関するさまざまな作業をひとまとめにして管理できます。
これにより、運送の手配等がスムーズにおこなえるので、商品をすばやく正確に届けられるのです。
また、どの商品をどのように届けるかなどを最適化できるため、配送のコストを抑えることもできます。
このように、配送管理システムは、物流管理において配送管理業務を効率化するためのシステムなのです。
配送管理システムの主な機能3つ
配送管理システムには、たとえば以下のような機能が搭載されています。
1. 配車計画・管理
配車計画・配送計画・管理機能は、配送管理システムの中心となる、運送事業者に必須の機能の一つです。
配車計画機能には、今までバインダーへの手書きやエクセルでおこなっていたような手作業をそのままデジタル化できるようなものから、配送ルート等の計画をシステムが自動立案してくれるようなものまでさまざまなものがあります。
一方で、配車管理には複雑な条件を考慮しなければならないなど、デジタル化できるのかと疑問が残る部分もあるかもしれません。しかし、物流制約条件等の細かな条件を加味した計画を立案できるものもあります。
このようなシステムを活用すれば、配車計画にかかる業務時間を大幅に減らすこともできるのではないでしょうか。
2. 配送コストの管理
配送管理システムには、配送にかかる運賃計算を自動でおこなう機能を持ったものもあります。
トラックの走行量やガソリン代、通行料などのさまざまな費用を踏まえた配送費用を自動で算出することができるシステムを利用すれば、管理にかかる負担やコストも削減することができます。
その他にも、配送にかかる賃金や、車両別の収支なども含めた全体的なコストを管理することができるシステムも存在します。
3. 追跡(動態管理)
配送管理システムによっては、配送の追跡(動態管理)が可能なものもあります。
動態管理は、リアルタイムな車両の位置情報やドライバーの現在の状態がわかるため、トラブル発生時に柔軟な変更が可能になるなど、より合理的に配送業務を進める上で役立ちます。
また、ドライバーの状況がデータ化されるので、労務管理をより正確におこなうことも可能です。
このように、配送管理システムの中には、配送業務の合理化に役立つ動態管理機能が備わっているものもあります。
配送管理システムを導入するメリット3つ
本項目では、配送管理システムを導入することでどのように課題を解決できるのか解説しています。
1. 業務効率の向上につながる
配送管理システムを導入することで、配送業務にかかる時間を減らせるため、業務効率の改善が期待できます。
たとえば、システムによっては、荷物の積み下ろしを予約できる機能があるため、無駄な待ち時間を削減可能です。
さらに、配車計画・配送計画の効率化は物流コストの削減につながるほか、2024年問題の中心であるドライバーの稼働可能時間の低下にも対応しやすくなります。
このように、配送管理システムを導入することで、配送業務全般の効率化が実現可能です。
2. 業務の標準化により誤出荷や品質劣化の防止につながる
配送管理システムを導入することで、業務の標準化が期待できます。
なぜなら、今までは従業員の経験によって配送計画や車両の選定がおこなわれていた部分を、システムにより自動で最適化できるためです。
これにより、だれが配送計画をおこなった場合であっても、誤出荷等のミスや、配送計画の乱れによる品物の品質劣化を防ぐことができます。
ミスや品質劣化を防ぐことができれば、結果として顧客満足度も向上し、クレーム等を抑えることも可能です。
3. 配送状況の把握がしやすくなる
配送管理システムを取り入れることで、配送状況をより把握しやすくなります。
配車管理システムの中には、GPS等によって現在の車両の位置がわかる機能や、ドライバーがスマートフォンで状況報告できるアプリを備えたものもあります。
配送状況を可視化することで、臨機応変な対応が可能になるほか、「いつ荷物が届くの?」などといった配送先からの問い合わせにも対応可能になるのです。
配送管理システムを選ぶ時のポイント3つ
本項目では、配送管理システムを導入する上で大切な、選び方のポイントを紹介しています。
よりスムーズに配送業務を進めるためにも、以下のポイントを参考に自社に合ったシステムを選びましょう。
1. 解決したい課題や必要な機能を洗い出しておく
配送管理システムを探す場合、解決したい課題や必要な機能をしっかりと洗い出しておくと選定がスムーズに進みます。
あれもこれもとたくさんの機能が使えるシステムを導入しても、状況によっては必要ない機能が多いのにもかかわらずコストが大きくなってしまうことも考えられるため注意が必要です。
たとえば、配車に課題を感じていて効率化したい、こんな機能がほしい、自社が利用しているサービスと連携したいなど、課題や必要な機能はさまざまでしょう。
これらをあらかじめ洗い出しておくことで、より適したコスト・機能の配送管理システムを選ぶことができます。
2. 目的や予算に合わせた導入形態のシステムを選ぶ
配送管理システムと一口に言っても、サービスによって提供形態に違いがあるため、確認しておくことが重要です。
配送管理システムには、以下のような導入形態のものがあります。
- クラウド型
- オンプレミス型
それぞれの形態により導入の際に発生する費用に大幅な差があるほか、カスタマイズ性などにも違いがあるため、目的や予算に合わせて選択するとよいでしょう。
クラウド型
クラウド型の配送管理システムは、インターネットを通じてアプリケーションにアクセスして使うシステムです。
クラウド型の特徴としては、初期費用が少なく、自社サーバーなどの準備やメンテナンスが不要で手軽に導入しやすい点が挙げられます。
一方で、月額費用がかかる場合が多いため、ランニングコストによっては最終的な費用が高くつく可能性もあります。
また、ある程度のカスタマイズが可能なシステムも存在しますが、次に説明するオンプレミス型と比較すると柔軟性は劣るといえるでしょう。
オンプレミス型
オンプレミス型の配送管理システムは、会社に合わせて開発するためカスタマイズ性に優れています。
一方で、開発が必要なため導入に時間がかかるほか、自社サーバーや専門の担当者が必要なのがデメリットです。
導入費用も高く、メンテナンスコストもかかるケースが多いため、企業規模や環境によっては導入のハードルが高い可能性もあります。
自社に合わせた特殊なシステムを希望している場合にはおすすめです。
3. 使いやすさを重視する
配送管理システムを選ぶうえでは、使いやすさも重要です。
なぜなら、今までシステムを使っていなかった場合などはとくに、使用方法が浸透するまでに時間がかかってしまったり、従業員のストレスになったりする可能性も考えられるためです。
カスタマイズ性が高くさまざまな機能があったとしても、従業員が使いこなせない場合は本末転倒になってしまうため、初めてシステムを導入する場合は、使いやすさも重視するとよいでしょう。
操作感や画面の見やすさなどを確認したい場合は、問い合わせや資料請求のほか、トライアルで使ってみるのもおすすめです。
その他にも、困ったときに助けてくれるサポートの窓口が充実しているとなおよいですね。
配送管理システム3選
本項目では、配送管理システムの例を紹介します。
今回紹介するのは以下の3サービスです。
- 輸配送管理システム(TMS)ULTRAFIX
- TUMIX配車管理
- LOGI-Cube EXPRESS(ロジキューブ エクスプレス)
①輸配送管理システム(TMS)ULTRAFIX
出典:輸配送管理システム(TMS)ULTRAFIX
輸配送管理システム(TMS)ULTRAFIXは、拡張性の高い配送管理システムシリーズです。
独自アルゴリズムによる配送計画を中心に、積付や進捗管理等、多岐にわたるソリューションを提供しています。
ベテランの経験に頼りがちな配送計画がシステムによって誰でも管理できるほか、現場のドライバーはスマホを使って簡単に報告が可能など、効率化を実現する機能が豊富に搭載されているのが特徴です。
シリーズ内には動態・進捗管理システムやバース予約機能などのソリューションがあり、それぞれを連携させることも可能となっています。
【機能・サービス】
- 配送計画システム
- 動態・進捗管理システム
- 積付計画システム
- 運輸管理システム
- トラック予約受付システム など
【料金】
- 要問合せ
②TUMIX配車管理
出典:TUMIX配車管理
TUMIX配車管理は、クラウド型の配車・業務管理システムです。
クラウドを活用した一元管理により、同じ情報の複数回入力が不要になります。
また、操作性についても、配車表はマウス一つで簡単に操作できるなど、使いやすい仕組みになっているのが特徴です。
請求や明細は配車と連動しており、フォームのカスタマイズも可能となっています。
手配進捗が従業員同士でリアルタイム共有できるため、連携力の向上も期待できます。
【機能・サービス】
- 配車表
- 実務帳票
- 分析資料
- 受注一覧
- クラウドDB
- スマホアプリ など
【料金】
- 配車計画:月額16,800円/配車係用ID
- 事務員用ID:月額3,000円/事務員ID
- 乗務員向けスマホアプリ:月額700円/乗務員(最低料金7,000円)
③LOGI-Cube EXPRESS(ロジキューブ エクスプレス)
出典:LOGI-Cube EXPRESS
LOGI-Cube EXPRESS(ロジキューブ エクスプレス)は、日計表管理システムを基本とする運送業者向けのサービスです。
オプションとして以下のシステムを追加することができます。
- 日報管理システム
- 配車支援システム
- 運転者台帳システム
- 車両台帳システム
このうち、配車支援システムでは、受注処理から配車日計表の作成まで、クリックだけの簡単な操作で実行可能です。
配車内容は「配車ボード」で見える化できるほか、データを日計表管理システムに連動することができるのも特徴です。
【機能・サービス】
- 売上実績・支払い管理
- 過去運賃の検索
- 売掛・買掛管理
- 請求管理
- 燃費計算
- 配車日計表作成
- 運転者情報管理 など
【料金】
- 要問合せ
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システムを使って配送業務をスムーズに
今回は、配送業務を効率化する配送管理システム(TMS)について解説しました。
さまざまな機能をもつ配送管理システムを活用すれば、業務効率の改善とともにコストの削減にもつなげることができます。
また、事業によっては、配送管理システムを出荷管理システムや倉庫管理システムなどと組み合わせて利用することで、さらに業務効率を改善することができるのではないでしょうか。
これらの便利なシステムを大いに活用して、物流における業務効率やコストを改善していきましょう。
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