D2Cとは?メリット・デメリット、B2Cとの違いもわかりやすく解説!

  • D2Cってどのようなビジネスモデル?
  • B2Cなどとはどう違うの?
  • D2Cのメリットやデメリットについて知りたい

今回は、上記のような疑問をお持ちの方に向けて、「D2C」とは何か?をわかりやすく解説します。従来のB2C等の定義と異なる点や、メリット・デメリットについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

D2Cとは?

D2Cとは?

D2C(DtoC=Direct to Consumerの略)とは、ブランドやメーカーが自社商品を直接消費者と取引するビジネスモデルです。販売の媒体としては、自社のECサイトが主流となっています。

2007年ごろから取り入れられ始めたD2Cですが、現在では国内外でも数多くの企業が参入しています。

D2Cでは、ブランドECサイトやSNSを通じて、自社の世界観や強み・良さなどをすべて直接ユーザーに伝えることで、プロダクトだけではなく体験やストーリーも求める消費者をファンとして獲得することができるのが特徴です。

これにより、消費者とより強い関係を構築し、LTV(Life Time Value)を向上させ企業の成長につなげるのが狙いといえるでしょう。

D2Cはなぜ取り入れられた?

D2Cはなぜ取り入れられた?

顧客とメーカーが直接コミュニケーションを取るD2Cは、なぜ近年多くの企業に取り入れられているのでしょうか。

その背景としては、たとえば以下のような理由が挙げられます。

  • ミレニアル世代の増加
  • ネットショッピングの普及
  • 重視する価値の変化

ミレニアル世代の増加

現役で働くミレニアル世代の増加も、D2Cが増える背景のひとつとして考えられています。

ミレニアル世代は、1980~1990年代に生まれた世代でY世代とも呼ばれます。上の世代と比較して所得水準が低めで、好景気の経験も少ないため、コスパの良い商品を求めるというのが特徴の一つです。

そのため、ミレニアル世代にとっては、D2Cのように、仲介のチャネルを通さず価格を抑えた形で販売される商品のほうが購入しやすいともいえます。

その他にも、以下の項目で紹介するような変化は、ミレニアル世代を中心にもたらされているものです。現代のマーケティングにおいて、ミレニアル世代のニーズにこたえるD2Cのようなビジネスモデルは刺さりやすいといえるでしょう。

ネットショッピングの普及

D2Cが取り入れられる理由のひとつとして、ネットショッピングの普及が挙げられます。

スマホ、PC等の普及とともに、現在ではだれでも気軽にインターネットで買い物ができるようになりました。

実際、総務省統計局による2023年の「家計消費状況調査」においては、二人以上の世帯におけるネットショッピングの支出金額は前年比10%の増加となっています。さらに、ネットショッピングの支出金額と利用割合ともに、2002年の調査開始以来より過去最多の結果となりました。

このように、ネットでの買い物は近年大変身近な存在です。

D2Cは、自社ECを通じて商品を販売することなどから、現代のネット社会と相性がよく、取り入れやすい手法ということなのでしょう。

重視する価値の変化

D2Cが流行した理由として、人々が重視する価値に変化が起こっている点も挙げられます。

たとえば、従来は所有物によって自分の価値が決まる、と考えている人々が目立ちましたが、現在では「どのようなことに興味があるか」「どんな活動をしているか」をより重視する人も増えてきました。

これにより、「モノからコト」への価値観の変化が訪れ、さらにその先の「コト付きのモノ」を求める時代へ突入しているといえるでしょう。

D2Cは、独自のストーリー性や世界観を押し出し、商品(モノ)とともに体験(コト)も提供するスタイルが特徴で、現代の価値観に沿ったビジネスモデルといえるのです。

D2Cのメリット

D2Cのメリット

D2Cには、以下のようなメリットがあります。

  • 直接顧客と取引することで手数料が省ける
  • 顧客データを直接入手できる
  • マーケティングが自由にできる

直接顧客と取引することで、手数料が省ける

D2Cマーケティングでは、間に小売店や広告代理店を挟まないため、その分の手数料を省くことができます。

手数料を省いて直接顧客に商品を販売することで、収益をあげやすいというのが特徴です。

さらに、手数料分商品の販売価格を抑えれば、「可能な限り安く買いたい」というユーザーのニーズにも応えることもできます。

ブランドやメーカーが小売店等を通じて商品を提供する場合、ユーザーは手数料が上乗せされた状態で商品を比較検討することになり、結果として購入にいたらないケースもあるでしょう。

D2Cでは、このような価格面においても、他社商品に対し有利に立てる可能性があります。

顧客データを直接入手できる

D2Cでは、顧客と直接取引をおこなうことから、当然顧客データを直接入手することができます。

従来の販売形態では、販売サイトや業者を通した商品の販売により、顧客データを明確に蓄積することが難しいケースが多くありました。

一方、D2Cの場合は、自社商品は自社ECサイトにて販売するため、サイトでの回遊データや、ページによる成果の違いなども見ることができます。

これにより、自社商品の改善やマーケティング施策において重要なデータ分析がしやすくなるというのもメリットです。

マーケティングが自由にできる

D2Cでは、自社による商品マーケティングを自由に試していくことができます。

小売店等を介して商品を販売する場合、キャンペーンや広告はその販売業者によってある程度制限されてしまうことがあります。

たとえば、モール型のプラットフォームを通して商品を販売するのであれば、そのモールがおこなうイベントに合わせてキャンペーンを打つなどの形になりがちですね。

しかし、D2Cでメーカーが直接販売をおこなう場合は、自由にそれらのキャンペーン等をおこなうことができます。自社商品の強みや良さをもっとも高めるマーケティングも、自由に進めることができるのです。

D2Cのデメリット

D2Cのデメリット

D2Cのデメリットには、たとえば以下のような点があります。

  • ブランドを認知してもらう必要がある
  • システム等の構築にコストがかかる
  • 現在では競争が激しい

ブランドを認知してもらう必要がある

D2Cを始めるうえでは、自社ブランドをどのようにして消費者に認知してもらい、新規顧客の獲得ができるのかを考えなくてはなりません。

ブランドを認知してもらうためには、商品の魅力が高いことはもちろん、効果的な認知拡大方法を見つけていく必要があります。

従来の販売モデルのように小売店やモール等を介して商品を販売するのとは異なり、認知を広げるための工程も含めて自社でおこなう必要があるため、その分手間がかかるといえるでしょう。

システム等の構築にコストがかかる

D2Cに取り組むうえでは、自社でECサイトを用意し、関連するシステムについても構築する必要があります。

チャネルを通して販売をおこなう場合は、自社は商品の製造に必要なシステムを用意すればよく、販売に必要な環境・システムはチャネル側が用意しています。

しかし、D2Cの場合は、販売にあたって必要なシステムも合わせて自社で用意する必要があるということですね。

その中で、必要なシステムやサイトデザイン等によっては、大幅にコストがかかってしまう可能性もあるのがデメリットといえるでしょう。

また、自社でサイトやシステムを運営していくにあたっては、メンテナンスや改善にもコストがかかります。D2Cを取り入れるためには、これらのランニングコスト面も考慮する必要があるということですね。

現在では競争が激しい

現在では、D2Cを取り入れる企業が増え競争が激しくなっているという点についても、考慮する必要があります。

D2Cが取り入れられ始めたころは、そもそも同様の形態で商品を提供している企業が少なかったことから、成果を出すことは現在よりも難しくなかったと考えられます。

しかし、現在では、D2Cのスタートアップ企業の参入障壁の低さからライバルが増えているほか、単価競争が起こり薄利多売の状況になっているケースも見られるのです。

D2Cビジネスモデルと従来のビジネスモデルの違い

D2Cビジネスモデルと従来のビジネスモデルの違い

本項目では、D2Cと混同されやすい従来の販売モデルについて、それぞれの違いを解説します。

  • D2CとB2Cの違い
  • D2CとB2Bの違い

それぞれの販売モデルの違いについて理解することで、自社に適した形態について考えることができます。

D2CとB2Cの違い

B2C(BtoC=Business to Consumer)は、企業と消費者が取引をおこなう形態全般を指す言葉です。

D2CとB2Cは企業と消費者の取引がおこなわれることから同じように感じられますが、D2CはB2Cの一種でありつつ、「製造者(メーカー・ブランド)」が「直接」顧客と取引するという特徴を持っています。

たとえば、従来のB2Cの場合、メーカーが商品の企画や製造を担当し、それを小売店等が仕入れてから消費者に販売していました。D2Cでは、小売店や卸業者を通さず、販売、さらには顧客の購買データの取得も含めて自社で担当する、という点に違いがあります。

D2CとB2Bの違い

B2B(BtoB=Business to Business)は、企業と企業が取引をおこなうビジネスモデルです。

D2Cの取引相手は消費者となるため、企業同士で取引をおこなう形態のB2Bとはこの部分で根本的な違いがありますね。

D2Cビジネスモデルを取り入れている企業の例

D2Cビジネスモデルを取り入れている企業の例

実際にD2Cを取り入れている事例としては、以下のような企業が挙げられます。

  • DUO
  • BOTANIST
  • FABRIC TOKYO
  • Snaq.me など

それぞれのD2Cの成功事例については、以下の項目で具体的に紹介しています。 成功事例から、D2Cの販売戦略を学びましょう!

DUO

「DUO」は、「プレミアアンチエイジング」の展開する有名クレンジングバームです。

プレミアアンチエイジングでは、D2Cという言葉も浸透していなかったころからデジタル販売に注力し、顧客一人ひとりに合った接客をおこなうことで、購買を促進しています。

たとえば、プレミアアンチエイジングのDUOを含むブランドでは、WEB接客ツールによって初回訪問のユーザーと常連ユーザーで接客を分類したり、チャットボットで対話をおこなうことで顧客に合った商品を紹介したりするなど、個人に対するアプローチが秀逸です。

さらに近年では、よりDUOの認知度を拡大するための施策としてTVCMを打ち出すなど、自社ブランドをより成長させるためのマーケティングを積極的におこなっています。

BOTANIST

「BOTANIST」は、「株式会社I-ne」から発売されているボタニカルシャンプーです。

シャンプーの市場は大手が多数を占めている中、後発であるBOTANISTが成功したのには、徹底した販売戦略が背景にあります。

シンプルでおしゃれなデザインはもちろん、それに見合ったやや高めの価格、そして成分のよさによって、BOTANISTは独自のポジションを確立しました。

また、Instagramでのブランディングも成功し、認知拡大も大幅に進んだといいます。

このような販売戦略により、BOTANISTはわずか3年の間に急拡大を遂げたのです。

D2Cとして、世界観やブランディングの発信が成功した例といえるのではないでしょうか。

FABRIC TOKYO

「FABRIC TOKYO」は、オーダーメイドのスーツを提供しているブランドです。

その特徴は、店舗での採寸によるオーダーメイド体験とオンライン注文の手軽さの両立を可能にしていることといえるかもしれません。

FABRIC TOKYOは、オーダーメイドでありながら、D2Cとして中間に業者を挟まないために、他のオーダーメイドと比較して低価格化に成功しています。さらにテクノロジーの活用により、より工場との連携をすばやくすることを実現。

このように、FABRIC TOKYOは利便性と顧客満足度の向上を実現したD2Cブランドといえるでしょう。

Snaq.me

「Snaq.me」は、定期的にお菓子を届けるサブスクリプションサービスです。

CEOが「マルシェで買えるようなおやつを食べたい」という思いから始まったSnaq.meは、どのようにしてECでビジネスを実現するかという視点で設計されました。

Snaq.meは、ただお菓子が届くだけではなくパーソナライズされた商品が届くのが特徴で、ユーザーの好みに合わせて100種類以上のなかから8種類のお菓子が選ばれてきます。

Snaq.meでは顧客との接点も重要視しており、お菓子に対するフィードバックや各媒体での接触、電話による顧客の声の聞き取りなどもおこなっているのが特徴です。

D2Cを成功させるポイント

D2Cを成功させるポイント

現在競争が激しいD2Cを成功させるポイントとしては、以下のような点は最低限でも意識する必要があります。

  • D2Cに向いた商品を見極める
  • 顧客との関係性を築く
  • 独自の世界観や価値観で差別化する
  • 支払い方法の選択肢を豊富に用意する

D2Cに向いた商品を見極める

D2Cに取り組む際は、市場規模やニッチなニーズを調査して、より適した商品を見極めることが重要です。

D2Cに適している商材としては、たとえば、特定のニーズを満たすジャンルの商品(コスメ・健康食品など)や、伝統的な魅力を持つ工芸品なども挙げられます。

なお、総務省の統計によると、二人以上の家計でネットショッピングに使われる金額のうち、中でも食品21.3%、旅行関係費19.5%、衣類・履物が10.4%が割合として多いという結果が出ています。その他にも、家電・家具などは7.4%の割合を占めていますね。

このような統計も参考にしながら、よりD2Cに向いた商品を見極めることが重要です。

顧客との関係性を築く

D2Cでは、顧客との関係性がより深めやすいとともに、重要なポイントとなってきます。

たとえば、関係性を深めるのは、問い合わせによるカスタマーサービスだけではありません。現在は、企業と消費者がSNSや自社のコミュニティを通じたコミュニケーションを取ることも可能です。

より日常的にユーザーとコミュニケーションを取ることで、商品へのフィードバックが得られやすくなる可能性もあるほか、顧客からの好感度や信頼度が高まる効果も得られるでしょう。

独自の世界観や価値観で差別化する

D2Cでは、自社の世界観や価値観を通じて、他社との差別化をすることが重要です。

モノがあふれており探せばさまざまな商品が手に入る社会で、ユーザーは機能性だけではなく、そのブランドが伝える世界観や体験に魅力を感じます。

逆にいえば、独自の世界観に惹かれたファンを増やすことができれば、そのブランドは機能性等で比較される土俵から外れ、「この世界観を持つブランドだから買う」という層を獲得することもできるのです。

たとえば、ある旅行用品メーカーでは、自社サイトでセール情報を打ち出すのではなく、人物や風景を中心としたギャラリーを構築し、旅に出たくなるような世界観を伝えています。

このように、ユーザーが魅力的に感じるブランディングをおこなうことが、D2Cの戦略では重要です。

支払い方法の選択肢を豊富に用意する

D2Cは基本的に、自社ECを通じて商品を提供する形態となります。

そのため、消費者が利用できる支払方法は幅広く用意しておくのが理想です。

代引き・クレジットカード払いのほか、コンビニ払いやPayPay等のオンライン決済など、顧客が必要とする支払い方法の幅は広がりつつあります。

希望の支払い方法がないから買うのをやめた……。という機会損失がおこらないよう、選択肢は豊富に用意しておくとよいでしょう。

各モデルとの違いを理解して自社に合う施策を

今回は、D2Cとは?という点を中心に、他ビジネスモデルとの違いやメリット・デメリットなどを開設しました。

D2Cは、自社ECを中心に顧客へ直接商品を提供する形態で、他社との差別化によりファンを獲得することができればLTVを向上させることのできるビジネスモデルです。

一方で、近年ではD2Cを取り入れる企業も多く、資金力や商品の選定、ターゲティングによっては激しい競争に巻き込まれてしまう可能性もあります。

従来のB2C・B2B等とD2Cの違いを理解し、より自社に合う施策やビジネスモデルを取り入れていきましょう。

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