大手配送業者5社を比較!サービスの種類や料金、選び方を解説

EC事業を行うにあたり、発送業務は重要なプロセスの一部です。商品を顧客に届ける役割を担う配送業者は、事業の成功を左右する要素のひとつでもあります。しかし、配送会社によって料金体系やサービス内容は大きく異なり、選択するのは簡単ではありません。

この記事では、大手配送業者5社(ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便・西濃運輸・福山通運)の特徴や配送料金、割引制度について詳しく解説します。また、配送業者を選ぶ際の判断基準についても紹介します。

配送業者とは

配送業者とは、荷物を集荷し、届け先まで運ぶサービスを提供する事業者のことです。日常生活やECビジネスにおいて欠かせない存在で、全国各地へ商品を届ける重要な役割を担っています。

配送に関連する用語には似たものが多く、混同しがちです。それぞれの違いを整理すると以下のようになります。

運送:人や物を場所から場所へ動かす広い意味を持つ言葉(移動手段)
宅配:主に宅配便などの物流サービスを指し、個人宅や指定先に荷物を届けることを指す(サービス)
配達:荷物や商品を手元に届ける行為全般。新聞配達や出前なども含まれる(行動)

関連記事:配送管理システム(TMS)とは?導入メリットや選び方、おすすめサービスも紹介

大手配送業者5社の特徴を比較

日本の物流市場において、大手配送業者5社はそれぞれ異なる強みと特色を持っています。事業規模や商品特性に最適な配送パートナーを選択するためには、各社の特徴を把握することが重要です。以下の表で各社の主要な特徴と相性がよい事業者をまとめました。

配送業者

主な特徴

おすすめの事業者

ヤマト運輸

宅配便シェア1位、配達スピード重視、返品・交換サポートサービスがある

迅速配送を重視する企業、返品が多い商品を扱う企業

佐川急便

大型荷物対応、チャーター便充実、飛脚航空便で遠隔地への翌日配送が可能

大型商品を扱う企業、沖縄・北海道などへの急送が必要な企業

日本郵便

小型荷物の低価格配送

コスト削減重視の企業、小型商品を中心に扱う企業

西濃運輸

企業間物流特化、運送保険付きサービスがある

大量発送がある企業、高価格商品を扱う企業

福山通運

法人向け特化、大容量輸送、翌日の早朝8時までに配達できるサービスがある

大量出荷企業、営業時間前に配達が必要な企業

ヤマト運輸

ヤマト運輸は、宅配便の取り扱い件数で業界トップの配送業者です。全国に展開する営業所のネットワークが、スピード配送を可能にしています。回収や返品手続きの代行サービスが充実していることも特徴です。

夕方発送で翌朝指定配達ができるサービスもあり、時間指定やスピードを重視するEC事業者に向いています。特に割れ物や精密機器を扱う場合は、補償体制やサポート面で安心できる選択肢といえるでしょう。

サービス名

特徴

規格

料金目安

宅急便

一般的な宅配サービス

3辺計200cm以内・30kg以内

940円~

宅急便タイムサービス

翌朝10時または17時までに配達可能

3辺計200cm以内・30kg以内

宅急便料金+オプション料金330円~

ネコポス

小型商品を郵便受けに配達

縦31.2㎝以内・横22.8㎝以内、厚さ2.5cm以内、1kg以下

要確認

宅急便コンパクト

小さな荷物を安価に送れる

専用BOX(縦25×横20×厚さ5cm、縦24.8×横34cm)

650円+専用BOX70円

クール宅急便

冷蔵(0〜10℃)・冷凍(−15℃以下)で鮮度を保って配送可能

宅急便サイズに準拠

宅急便料金+オプション料金275円〜

クロネコゆうメール

印刷物などを郵便受けにお届け、安価で大量配布に適す

長辺34cm以内(下限14cm)・短辺25cm以内(下限9cm)・厚さ2cm以内・重さ1kg以内

要確認

クロネコゆうパケット

小型商品を郵便受けに配達、追跡可、全国一律料金

3辺計60cm以内・最長辺34cm以内・1cm以内、2cm以内、3cm以内・1kg以内

要確認

参考:宅急便|ヤマト運輸
参考:宅急便運賃一覧表:全国一覧|ヤマト運輸
参考:宅急便タイムサービス | ヤマト運輸
参考:ネコポス | ヤマト運輸
参考:宅急便コンパクト | ヤマト運輸
参考:クール宅急便 | ヤマト運輸
参考:クロネコゆうメール | ヤマト運輸
参考:クロネコゆうパケット | ヤマト運輸

佐川急便

佐川急便は、全国に展開する飛脚宅配便の配送網と法人向けの柔軟なサービスが魅力の大手業者です。個人宛ての宅配だけでなく、家具や家電などサイズの大きな商材も扱い、トラック1台貸切のチャーター便などに強みがあります。また、飛脚航空便を活用すれば、離島や遠方にもスピーディーに配送できます。

特に沖縄・北海道などに頻繁に出荷が必要な事業者や、大型商品を扱う業種には、コストとスピードの両面で有力な選択肢となるでしょう。

サービス名

特徴

規格

料金目安

飛脚宅配便

一般的な宅配サービス

3辺計160cm以内・30kg以内

910円~

飛脚航空便

翌日午前中に遠方まで配送可能

3辺計160cm以内・30kg以内

1,705円~

チャーター便

トラック1台貸切で大型荷物も配送可

要相談

個別見積もり

飛脚ラージサイズ宅配便

飛脚宅配便では扱えない大型荷物に対応

3辺計260cm以内・50kg以内

2,600円~

飛脚クール便

冷蔵・冷凍により鮮度を保持して配送

3辺計140cm以内・30kg以内

飛脚宅配便・飛脚航空便料金+クール料金275円~

参考:飛脚宅配便│SAGAWA
参考:飛脚航空便│SAGAWA
参考:チャーターサービス│SAGAWA
参考:飛脚ラージサイズ宅配便│SAGAWA
参考:飛脚クール便│SAGAWA

日本郵便

日本郵便は、全国の郵便局ネットワークを活かし、手軽で低価格な配送サービスを提供しています。郵便事業で培った配達網により、他社では対応困難な離島や山間部への配送も可能です。

小型の荷物や書類、サンプルなどの発送に向いており、配送コストを抑えたいEC事業者に適しています。郵便受けに配達するサービスも多く、購入者の受け取り負担が少ないのも魅力です。

サービス名

特徴

規格

料金目安

ゆうパック

一般的な宅配サービス

3辺計170cm以内・25kg以内

820円~

ゆうパケット

小型商品を郵便受けに配達

3辺計60cm(長辺最大34cm)以内・厚さ3cm以内・1kg以内

250円~

レターパック

書類やカタログなどを配送

A4サイズ、厚さ3cm以内(レターパックライト)、4kg以内

430円(レターパックライト)、600円(レターパックプラス)

チルドゆうパック

冷蔵温度帯で保冷して配達

3辺計150cm(長辺最大100cm)以内・25kg以内

ゆうパック料金+チルド料金225円~

参考:ゆうパック|日本郵便
参考:ゆうパケット|日本郵便
参考:レターパックライト|日本郵便
参考:チルドゆうパック|日本郵便

西濃運輸

西濃運輸は、法人向け配送を得意とし、企業間物流の取り扱い量トップを誇ります。資材調達段階から保管、輸送に至るまで、社内の連携体制を活かして一括対応しており、大量出荷の輸送に強みを持ちます。

また、破損リスクの高いものや高価な商品向けのサービスもあるので、丁寧な取り扱いが必要な商品を販売する事業者に適しています。

サービス名

特徴

規格

料金目安

カンガルー宅配便

一般的な宅配サービス

3辺計130cm以内・20kg以内

935円~

カンガルー貸切便

トラック1台貸切で大量配送可能

車1台分

要問い合わせ


カンガルーPostalメール便

カタログやパンフレットなどを全国に配送

36cm×25cm×3cm以内・3kg以内

要問い合わせ

参考:カンガルー宅配便|西濃運輸
参考:カンガルー宅配便 料金表|西濃運輸
参考:カンガルー特急便|西濃運輸
参考:カンガルー貸切便|西濃運輸
参考:カンガルーPostalメール便|西濃運輸

福山通運

福山通運は、法人向けの配送サービスが充実しており、大量輸送や時間指定配送に強みがあります。全国に拠点を構え、ダブル連結トラックや鉄道との連携を活かした効率的な物流網を確立しています。特に同一エリア内や大阪市内から名古屋市内などでは即日配送が可能です。

1回あたりの出荷数が多い事業者や、営業時間前の納品が必要な業種には、頼りになる選択肢といえるでしょう。

サービス名

特徴

規格

料金目安

フクツー宅配便

一般的な宅配サービス

3辺計160cm以内・30kg以内

1,000円~

ジェットオーバーナイトサービス

翌朝8時・9時・10時に時間指定可能

要問い合わせ

要問い合わせ

福山グリーン便

同一エリア内即日配送

3辺計100cm以内・10kg以内

要問い合わせ

クール宅配便

要冷蔵商品を5℃~10℃で保冷して配送

43cm×70cm×40cm以内

要問い合わせ

参考:フクツー宅配便|福山運輸
参考:フクツー宅配便料金表|福山運輸
参考:ジェットオーバーナイトサービス|福山運輸
参考:福山グリーン便|福山運輸
参考:クール宅配便|福山運輸

大手配送業者5社の配送料金を比較

配送業者によって、サービス内容や送料には違いがあります。ここでは、大手5社の配送料金を、サービス別に比較します。

基本の宅配便サービスの場合

配送サービスでよく使われる大手5社の宅配便サービスの料金を比較しました。東京都内で60サイズの荷物を送る場合、料金は以下の通りです。

配送業者

サービス名

重量

60サイズ料金(東京都内)

ヤマト運輸

宅急便

2kgまで

940円

佐川急便

飛脚宅配便

2kgまで

910円


日本郵便

ゆうパック

25kgまで

820円

西濃運輸

カンガルー宅配便

2kgまで

935円

福山通運

フクツー宅配便

2kgまで

1,000円

参考:宅急便|ヤマト運輸
参考:飛脚宅配便│SAGAWA
参考:ゆうパック|日本郵便
参考:カンガルー宅配便|西濃運輸
参考:フクツー宅配便|福山運輸

冷蔵・冷凍便の場合

冷蔵・冷凍が必要な荷物には、各社が提供する低温輸送サービスが便利です。一般家庭でも利用でき、食品や医薬品の発送に使われます。

料金は通常便にオプション料金が加算される形で、配送地域や荷物のサイズによって異なります。都内で60サイズの冷蔵・冷凍便を送る場合のサービスを比較しました。

配送業者

サービス名

重量

対応温度帯

60サイズ料金(東京都内)

ヤマト運輸

クール宅急便

2kgまで

冷蔵0~10℃・冷凍−15℃

1,215円

佐川急便

飛脚クール便

2kgまで

冷蔵2~10℃・冷凍−18℃以下

1,185円

日本郵便

チルドゆうパック

25kgまで

冷蔵温度帯

1,045円

西濃運輸

──

──

──

──

福山通運

クール宅配便

──

冷蔵5~10℃

要問い合わせ

参考:クール宅急便 | ヤマト運輸
参考:飛脚クール便│SAGAWA
参考:チルドゆうパック|日本郵便
参考:クール宅配便|福山運輸

海外発送の場合

国際展開を目指すEC事業者にとって重要な海外発送サービスは、国内配送と異なり、通関手続きに係る手数料などが加算されるため、配送料金が高額になる傾向があります。

各配送業者によって対応エリアや料金体系が大幅に異なり、追跡機能や保険の有無などもサービスによって違います。配送日数は発送方法や送付するエリアにより変わるため、商品特性や顧客ニーズに応じた選択が必要です。

以下の表は、2kgの荷物をアメリカに送る際の料金を主要配送業者別にまとめたものです。

配送業者

サービス名

重量

料金(アメリカ向け)

ヤマト運輸

国際宅急便

2kg

3,700円

佐川急便

飛脚国際宅配便

2kg

12,390円(スモールパーセル〈ビジネス小荷物〉)

日本郵便

EMS

2kg

7,900円

西濃運輸

カンガルー国際宅配便

2kg

17,629 円

福山通運

フクツー航空便

要問い合わせ

要問い合わせ

参考:国際宅急便国別ガイド | ヤマト運輸
参考:飛脚国際宅配便 料金表│SAGAWA
参考:EMS|日本郵便
参考:カンガルー国際宅配便|西濃運輸
参考:フクツー航空便|福山運輸

大手配送業者5社の料金割引を比較

各配送業者は、荷物の量や利用方法に応じた料金の割引制度を設けています。割引の条件や割引額はそれぞれ異なるため、自社の配送スタイルに合ったサービスを選ぶことがコスト削減の鍵になります。下記の表を参考に、事業内容に合った配送業者を検討しましょう。

配送業者

主な割引制度

ヤマト運輸

・持込割 荷物1個につき100円引き(クロネコメンバーズ会員は150円引き)

・クロネコメンバー割 送料が10%または15%割引

・にゃんPay 送料が12%割引

・デジタル割 荷物1個につき60円引き

・往復割引 荷物1個につき200円引き

・複数口減額制度 荷物1個につき100円引き

・営業所受け取り 荷物1個につき60円引き

佐川急便

・持込割引 荷物1個につき100円引き

日本郵便

・持込割引 荷物1個につき120円引き

・同一あて先割引 荷物1個につき60円引き

・複数口割引 荷物1個につき60円引き

・ゆうパックスマホ割 荷物1個につき180円引き

・郵便局受取割引 荷物1個につきスマホ割180円+100円引き

西濃運輸

・営業所持込割引 カンガルー貴重品輸送サービス 荷物1個につき110円引き / カンガルービジネス便 荷物1個につき110円引き / 自転車イベント便 自転車1台につき300円引き

・往復割引  自転車イベント便 往復で500円引き

福山通運

・持ち込み割引 荷物1個につき200円引き

・止め置き割引 荷物1個につき400円引き

参考:お得な割引・サービス | ヤマト運
参考:クロネコメンバー割 | ヤマト運輸
参考:にゃんPay | ヤマト運輸
参考:飛脚宅配便│SAGAWA
参考:ゆうパック お得な割引|日本郵便
参考:ゆうパック 郵便局アプリ|日本郵便
参考:カンガルー貴重品輸送サービス|西濃運輸
参考:カンガルービジネス便|西濃運輸
参考:カンガルー自転車イベント便 輸送料金|西濃運輸
参考:カンガルー自転車イベント便 自転車輸送注文|西濃運輸
参考:フクツー宅配便料金表|福山運輸

配送業者を選ぶ際のポイント

ネットショップやEC事業では、配送業者の選定がコスト削減と顧客満足度向上の重要なカギとなります。ここでは、配送業者を選ぶ際に押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。

1. 事業内容や商品の特徴を考慮する

配送業者を選ぶ際は、まず自社の事業内容や扱っている商品の特徴を整理しましょう。例えば、生鮮食品など温度管理が必要な商品ならクール便、書類や小型商品の発送が中心ならポスト配送型のサービスが適しています。また、急ぎの配送が求められる生活用品などを扱う場合は、即日・翌日配達ができる業者を選ぶとよいでしょう。

配送手段が商品とマッチしていないと、顧客満足度の低下につながります。最初に「何をどう届けたいか」を明確にすることが大切です。

関連記事:最適な物流拠点戦略は分散型?集約型?|メリット・デメリットを解説

2. 決定する前に担当者に相談する

配送業者を決定する前に、担当者に相談して詳細を確認することが大切です。その際に月間の発送量や繁忙期の傾向などの販売データを提示すると、より適切な価格・プランの提案を受けることができます。セール時期や季節によって出荷量の変動が見込まれる事業者は、それらの情報も共有しておきましょう。

また、サポート体制や集荷時間の柔軟さなども、実際に話してみて初めてわかることがあります。契約前には、配送会社の担当者と納得がいくまでやり取りを重ねましょう。

3. 料金の安さだけに固執しない

配送料はコストとして重視すべき要素ですが、安さだけを基準に配送業者を選ぶと、思わぬ事態が発生することがあります。料金が安くても、配達の遅れや荷物の破損が多ければ、顧客の信頼を損なうリスクが高まります。また、時間帯指定などのオプションの有無や、サポート体制の質も重要なポイントです。

万が一のトラブル時に対応が不十分だと、ショップ側の負担も大きくなります。多少の価格差があっても、対応が丁寧でトラブルが少ない配送業者を選ぶ方が、結果的には安心につながるでしょう。

4. 受け取りについても考慮する

配送を考える際には、「届ける側」だけでなく「受け取る側」の利便性にも配慮が必要です。特に一人暮らしや日中不在の家庭では、再配達の手間が大きなストレスになることもあります。

不在時にも対応できる置き配やコンビニ受取、宅配ロッカーの利用ができる業者は、顧客にとっても利便性が高くなります。また、受け手に配達予定日を知らせるサービスなどがあると、再配達の削減にもつながり、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。サービスの柔軟性も、配送業者選定の大切な判断材料のひとつです。

5. 複数の配送業者の利用を検討する

配送業者を一社に絞るのではなく、複数の業者を使い分ければ、柔軟な対応とコスト削減が可能になります。例えば、大型商品は福山通運、小型商品は日本郵便、急ぎの商品はヤマト運輸など、用途に応じて最適な業者を使い分けることで、顧客満足度とコストパフォーマンスの両立が実現できます。

また、複数社と契約すると価格交渉もしやすくなり、配送トラブル時のリスクヘッジになることもメリットです。配送ニーズに応じて、最適な組み合わせを検討しましょう。

まとめ

主要な配送業者5社(ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便・西濃運輸・福山通運)は、それぞれに独自のサービスや強みを持ち、対応エリアや配送スピード、オプションサービスなどに違いがあります。こうした特徴を踏まえた上で、同一宛先割引や持込割引、大口契約などを活用すれば、発送コストを抑えることも可能です。

ただし、割引条件やサービス内容は業者ごとに異なるため、自社の事業形態や配送ニーズに合った選択が重要です。また、荷物の量が多い場合や複数の配送会社を使い分ける場合には、送り状の発行や料金比較に手間がかかることがあります。

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